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フランスのコンセルヴァトワールCRRに入学のための準備と実際


フランスで子供に音楽を習わせていると、音楽という芸術に対する国を挙げての熱意とその裾野の広さに驚きます。このことは、個人レッスンをやめてコンセルヴァトワールでレッスンを受けさせるようになった後に特に強く感じるようになりました。

本場で習わせてあげられてよかった、と心から思います。

お子さんをコンセルヴァトワールCRRで学ばせたい、または、ご自身がコンセルヴァトワールCRRで学んでみたい、と思っている方。どんな様子なのか、どんな質問をされるのか?気になりませんか。

コンセルヴァトワールとは無縁のフランス人や在仏の長い日本人に聞いてもわかりません。フランス滞在が長くなるにつれ、普通の生活の中でコンセルヴァトワールについてのあれこれを耳にすることがあるのではないか?と思っていましたが、全くありませんでした。こういうことは、実際に受験したり通っている人でしか知り得ないようです。

もっとも、コンセルヴァトワールCRRと言っても、フランス全土に40箇所以上もありますから、それぞれのコンセルヴァトワールで様々な面で違いがあると思います。すべてのコンセルヴァトワールCRRのやり方を調べ上げてこの紙面上で情報を提供することはできません。

しかし、違いがあるということを了解した上で一例を知っておくということは、事前の対策に役立つだけでなく、実際の現場でも落ち着いて対応することができるという点で有用です。

2017年9月に、子供がフランスのコンセルヴァトワールCRRに入学しました。いまではすっかり馴染んでいて、先生方にElle est vraiment musicienne!なんて評価をいただいてます。

私は、自分が時間をかけて知り得たことを本当に知りたい人にだけ伝えたいので、有料記事といたします。これは、私が子供を受験させる前に知りたかったことでもあります。

ここでは、実際の実技試験の様子や質問内容の他、実際に受験させてみて、当日こういうところは注意した方がよさそうだと思ったこと、当日どんな質問をされたのか。より有利に選考されるための準備、複数の先生がいる専攻をご希望で特に習いたい先生がいる場合にはどうしたら良いのか。ソルフェージュの事前対策はどのようなことをしていたか。さらに、結果に疑義があった場合にはどうするのか、入学後に気をつけた方が良いこと、入学後にレベルが合わないと思った場合どうするか、などについても実例を挙げて詳説しています。

子供を確実にコンセルヴァトワールに合格させたいという方はもちろん、コンセルヴァトワールってどんなところ?と興味のある方や、お子さんがまだ小さいけれど近い将来コンセルヴァトワールで音楽をやらせてみたい、とお考えの方に参考になると思います。

!注意! ここでは、子供の通うコンセルヴァトワールCRRがフランス中の何処のCRRなのかについては明記していません。専攻についてはなんとなくわかるようになっています。


1 まずはじめに

読み進める前に頭に入れておいたほうが良いことを書いておきます。


各コンセルヴァトワールCRRで申し込み段階で少しづつ違いがあるということ

フランス全土に40箇所以上あるコンセルヴァトワールCRRは、選考にあたって個々に違いがあります。必ず、受験するCRRのホームページで募集要項をチェックしましょう。

たとえば、このような違いが見られます。

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