Nick D 【ロサンゼルス発ビジネスパーソンのための冒険のすすめ】

16年に渡る中南米での生活を経て流れ着いたロサンゼルスの生活も十余年。カリフォルニアか…

Nick D 【ロサンゼルス発ビジネスパーソンのための冒険のすすめ】

16年に渡る中南米での生活を経て流れ着いたロサンゼルスの生活も十余年。カリフォルニアからトレイルランニング、トライアスロン、国立公園でのキャンプなどを中心に、読んだ人が心騒ぎ何かしたくなるようなストーリーをお届け。【ブログ】http://nick-d.blog.jp

マガジン

  • キャンピングカーで野生動物の宝庫へ

    イエローストーン、グランドティトン国立公園を夫婦でRVで周るアウトドア アドベンチャー。キャンピングカーを初めてレンタルする際の注意点も満載。

  • トライアスロンをやってみたいけど・・・

    トライアスロンって興味はあるけどなんだか大変そう、と躊躇している人に始めの一歩を踏み出してもらおうと書いてみました。海スイムへの恐怖心いっぱい、おまけにバイクも借り物で参加した初めてのレースから、少しづつ成長して何とかアイアンマンレース完走まで漕ぎつけた情けないアスリートのストーリーです。

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書籍化されました!【アメリカ大自然を走る】

愛犬ブラウニーとの思い出を綴ったストーリー、「ブラウニー&ミー【命への向き合い方】」を書いたのが2022年8月。あれから暫くブログ投稿を休んでいました。その間何をしていたかというと、実は出版社と契約を結んで、商業出版の準備をしていました。そして、この度、晴れて「つむぎ書房」という出版社から正式に本を出す事になりました。商業出版に至った経緯はまた別の機会にご案内したいと考えています。本のタイトルは「アメリカ大自然を走る ~アラフィフからの自分探しの旅~」。その名が示す通りランニ

    • ランナーズハイ【ザイオン・コロブキャニオン】

      ヘッドランプは必要ない。走り始めてから1時間。スタート時点ではうす暗く平面的だった周囲の景色。漸く立体感を伴うものとしてその姿を現し始めた。悴んでいた指先もすっかり温まった。気温は10度を超ただろう。太陽の光は未だ高い峰々に遮られ、コロブ・キャニオンの谷間には達していない。 先ほどから何度ため息をついただろうか。「はぁ~」、おそらく顔もにやけているだろう。「あ~気持ちいい」、今一度声に出す。一緒に走っている者がいれば、「うるさい、いい加減静かにしろよ」と怒られても致し方ない

      • ブラウニー&ミー【命への向き合い方】

        ~愛犬が天国に旅立ってそろそろ2ヶ月。気持ちの整理も付いてきたので思い出と共に心の内を書いてみました~ ブラウニーは幸せな一生を送れたのだろうか。答えのない問いである事は分かっている。夏の初めに永い眠りについた、心優しいゴールデンレトリーバー。11歳と4か月の生涯だった。生後6か月で我が家の一員となり、すぐに私たち家族にとってかけがえの存在となった。 (若かりし頃のブラウニー) 海、山、湖、砂漠、何処へ行くのも一緒だった。水遊びがことのほか好きだった。初めて川遊びに連れ

        • ひとり故郷の東村山を走る時に僕の想う事

          時計の針は午前四時を少し回ったあたりを指している。また目が覚めてしまった。4年ぶりの一時帰国中の日本。毎晩遅くまで旧友たちと酒を酌み交わしているが、時差ボケのためニワトリの様に、日の出とともに目が覚めてしまう。通常の生活においては、アラームをセットしなければ10時間だって眠り続けることが出来るというのに、何という事だろうか。 東京都東村山市。この地で生まれ、23歳まで過ごした。梅雨が明けて猛暑の7月。夏時間を採用しているロサンゼルスとの時差は16時間。日本の午前4時、ロスで

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          3本
        • トライアスロンをやってみたいけど・・・
          5本

        記事

          迷える者 & 迷わざる者 in Valley of Fire

          戦争、貧困、地球規模の環境問題。目の前にある世界、そしてそこに横たわる現実は子供の頃に夢見た未来からは程遠い。日々悩み迷える者も少なくない。自分が誰なのかを探し求める者。生きる目的を見出せずに迷宮を彷徨う者。そして、炎の谷の奥深くで道に迷い途方に暮れる者・・・ 端から道はないので、「道に迷う」と言う表現は適切ではないかもしれない。しかし、我ながら呆れる程よく道に迷う。初めてのルートでの長距離ランやトレッキングの際には、地図を読み込み入念な準備をする。よって道に迷うことはあま

          レッドロックの真ん中で「将来の夢」を想う

          傍らには、薄茶色のサンドストーンとピンク身を帯びた火山岩からできた塔の群れ。それらは、丁寧に装飾を施された古代神殿の石柱の様に見える。改めて角度を変えてみる。まだら模様の細長い茎に茶色の帽子、野菜と共に鍋に入れられたキノコのようにも見える。古代神殿とキノコでは、ゴッホの絵画とモグラほどの差がある。まぁ、見ようによって何にでも見えるのだろう。 マウンテンバイクのタイヤが砂地で空回りする。砂深い急勾配は押して上る。岩が散乱する下りはスピードを緩める。自らの足で走った方が格段に速

          トレイルに潜む「地表のミミズ」と「ピンクの羊」

          その日は、朝早くから緑色の風が吹いていた。空は混ざりっ気のない青一色。どこまでも続く丘には、膝ほどの背丈の草花が生い茂る。その斜面を蛇行する一筋のトレイル。線をなぞるように、一歩一歩と足を前に進める私。その心は空の青にも負けないほどのブルーに染まっていた。それも、かなり濃い、泣きたくなるような、極めて惨めなブルーだ。 Leona Divide 100km。ロサンゼルス郊外の自宅から30分程度のところで催された地元のトレイルレース。朝6時から夜8時半まで走り続け、14時間30

          トレイルに潜む「地表のミミズ」と「ピンクの羊」

          恐竜の砂漠でエナジー・チャージ

          「とーちゃんがハイジになっちゃったよ~」娘が小さい時によく言っていた。ふっと思い出して懐かしい気持ちになった。 5kmほどの軽いハイクのつもりで水も持たずに歩き始めた。気が付いたら10㎞以上走っていた。メキシコ国境にほど近いコロラド砂漠にあるアンザ・ボレゴ・デザート州立公園。ほどよく冷えた朝の風が心地よい。数時間前まで傍らにいたハイジはアルプスの山に戻ったようだ。 (アンザボレゴの乾いた山間を駆け降りる) 多忙な日々が続いたり、天気に恵まれずに長いあいだ外遊びができなく

          100㍄レースの闇+その先に待っているもの

          【前編】100マイルレースの闇 風に乗ってゴール周辺の歓声や熱気が運ばれてくる。完走者を称えるマイク越しの声が聞こえる。濃い霧と湖の畔に茂る木々に遮られ、未だ緑色のアーチで飾られたゴールは見えない。残された距離は1㍄を切っているだろう。あと数分で100㍄(160㎞)の旅が終わる。心と体が震えている。それは喜びや達成感よりも、むしろ安堵から来るものだろう。 極限に達している疲労、距離に比例するように増幅してきた膝の痛み。それら全てが過去のモノとなろうとしている。この瞬間のた

          ひとり闇の中を走るときに僕の考える事

          深夜3時。静寂に支配されたトレイル。真っすぐ走っているつもりが、眠気で頭がボーっとして右の路肩へとふらつく。時折、前後に振る自分の腕が腰に付けたランプの光かりを遮り、巨大な影となって路面を横切る。初めてその影が現れた時は、急に動物が襲い掛かって来たかと思い、声を上げて驚いた。 ロサンゼルスの北、約50㎞。このあたりには未だ野生動物が多く生息している。コヨーテやシカは頻繁に見かける。極めて稀にではあるが、ブラックベアーやマウンテンライオンの目撃情報もある。 灯りは殆どなく、

          グランドキャニオン南北リム往復ラン【後編】R2R2R 闇の中へ

          往路ではきつい勾配に喘ぎ、背後の景色を楽しむどころではなかった。下りでは先程とは打って変わって気持ちが高揚している。軽いステップを踏みながら絶景を楽しむ余裕もある。顔を真っ赤にして上ってくるハイカーにも元気よく挨拶。と思いつつ、苦しむ人達を横目に、自分だけ上機嫌は良くない。声のトーンを少し抑えよう。そして、上りのハイカーに道を譲るのを忘れないようにと、先程の自分の苦労を思い出し戒める。 (上りでは振り返って見る事ができなかった絶景。景色は素晴らしいが、よく見るとかなり怖い)

          グランドキャニオン南北リム往復ラン【後編】R2R2R 闇の中へ

          グランドキャニオン南北リム往復ラン【前編】R2R2R 北を目指せ

          谷は漆黒の闇に包まれ、見えるのはヘッドランプの明かりが照らし出す小さなエリアだけだ。先程までぼんやりと見えていた巨大な怪物のような岩影は、夜のとばりが下りるのと共に姿を消した。グランドキャニオン、サウスリムに向かうブライトエンジェル・トレイル。4時間前に谷底にあるファントムランチを大勢のハイカーからの声援を受けて発ってから、誰にも会っていない。 (背後に薄っすらと見える岩陰も、やがて暗闇の一部となる) 聞こえるのは自らの荒い息遣い、靴がトレイルを蹴る単調な連続音、そして虫

          グランドキャニオン南北リム往復ラン【前編】R2R2R 北を目指せ

          アメリカ最高峰を駆ける【寄り道のすすめ】

          マッチひと擦りで山全体が火の海と化す。長年に渡る干ばつで極度の乾燥状態にある大地。記録的な猛暑。各地で嘗てないほどの大規模な森林火災に見舞われているカリフォルニア。 2020年夏。ホイットニー山(標高4,421m)へのチャレンジの機会を得た。アラスカを除く、アメリカ本土の最高峰である。10年前に数名の友人たちと、その頂を踏んでいる。その後、何度もパーミット(入山許可証)の抽選に申し込んできたが、見事にハズレ続きだった。5月から10月末までの期間、入山が認められるのは日帰りハ

          アメリカ西部キャンピングカーの旅【番外編】ダーティージョブの担い手

          アメリカでキャンピングカーをレンタルすると聞いて、まず思い浮かべるのは、ハリウッドのコメディー映画で見かける、汚水の処理ではないだろうか。慣れないキャンピングカーでの家族旅行。嫌々ついてくるティーンエイジャーの子供たち。お父さんが家族にいいところを見せようと張り切る。汚水の処理の場面でホースから “Sh*t” が噴き出す。お馴染みの光景だ。誇張されたコメディー映画なので、まさか実際に ”Sh*t” が噴き出す事はないとは分かっている。それでも、手や足に付くぐらいはあるかもしれ

          アメリカ西部キャンピングカーの旅【番外編】ダーティージョブの担い手

          アメリカ西部キャンピングカーの旅【後編】イエローストーン・あっちこっちで立ち往生

          前方にはテールランプの長い列が続いている。キャンピングカーのブレーキをゆっくりと踏み減速させる。渋滞の前方は見えない。道路脇にクマでもいるのだろうか。周りの皆もそわそわしているはずだ。停まった車の窓から顔を出し前方を見る。何も見えない。暫くは、動き出さないだろう。今思い返せば、この渋滞が、その後イエローストーンで経験する様々な渋滞のプロローグだった。 旅の6日目。性懲りもなく、また早起きをしてムース探をした。残念ながら今回は空振りに終わったが、前日スリーラン・ホームランを打

          アメリカ西部キャンピングカーの旅【後編】イエローストーン・あっちこっちで立ち往生

          アメリカ西部キャンピングカーの旅【前編】ムースを探して in グランドティトン

          耳元には、途絶えることなく続くプーン・プーンという羽音。半端な数ではない。周囲に幾つもの塊となって浮遊する蚊の群れは、霧のように見える。漂う塊の一つが事前演習でもしたかの様に、一糸乱れず連帯を組んでこちらに向かってくる。虫よけスプレーの鎧は全身にまとっているが、これほどの大群に効果はあるのだろうか。 グランドティトン国立公園の南東部を流れるグロスベンター・リバー(Gros Ventre River) の畔。数時間前にパークレンジャーに教えてもらったお勧めスポットだ。時刻は午

          アメリカ西部キャンピングカーの旅【前編】ムースを探して in グランドティトン