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ポニーテールができるようになった

朝起きて、鏡を見ると最近長くなってきた前髪が崩壊している。
なぜかいつも右側の髪の毛は外側にはねる。

洗面所に行き、ブラシに水をつけて髪の毛を梳かす。
まだ少し見慣れない、髪の毛が長くなった私。


成人式を翌年に控えたある日、母がこう言った。
「理来の髪の毛を結った姿が見たいなあ」

小学校のころから高校を卒業するまでずっとショートかボブだった。

髪の毛が短い人あるあるだと思うんだけど、ちょっと伸びただけでうざったく感じてすぐ切るから長くするなんて無理。死ぬまでショートでいるつもりだった。

その日から必死に伸ばして、ワカメを食べたり頭皮マッサージをしたり。

当日はちゃんと髪が結える長さにまでなった。
美容師さんが綺麗に飾りをつけてくれたから、久しぶりに会った友達も褒めてくれた。何より母が嬉しそうで、本当に良かった。

成人式は終わったけれど、私はまだ切っていない。

以前はショートが私らしいと思っていた。
髪が長いとお風呂はめんどくさいし、床に落ちた髪の毛がすごく気になる。枝毛も目に付くから電車に乗って暇なときはじっと見ちゃう。
でも、ポニーテールができるようになったから切らない。

ポニーテールに憧れていた。

私も髪の毛をきゅっと結んで、ゆらゆらさせたいなあと思っていた。女の子がポニーテールをしているのがとても好きだった。

まだうまくできない。
鏡を何度も見ながらでないと、どこか取りこぼしたりぐしゃっとなってしまう。よく見ているつもりでも変な形になってしまう。二十歳になっているが、これまで髪の毛を結うなんてしたことがなかったからとても下手。でも憧れていた髪型ができるようになったのが嬉しい。

おばあちゃん、妹の髪の毛をきれいに早く結ぶのが上手だったなあ。


ちょろい女子大生の川添理来です。