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脱サラ12日目、いまどこに立っているのか。

 会社を辞めて12日が過ぎた。あっという間だ。

 私はいまこの記事を大宮から横浜へと向かう電車の中で書いている。今日は購入した中古の軽トラが午前中に納車されたので、その足で埼玉に向かった。中古のスズキ・キャリィは埼玉のとある場所でキッチンカーへと生まれ変わる。

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 電車に揺られながら、「自分は電車を降りて歩いているんだな」とふと思った。例えるなら、サラリーマン時代は電車に乗っていたような感覚だった。その電車が各停なのか特急なのか、地上を走っているのか、それとも地下だったのか、それはわからないが、一つはっきりしていたのは、「このまま乗っていれば、どこかには着く」ということだった。

 自分にとって脱サラというのは、いわばその電車を降りる行為だ。降りたらどうするか。歩くか、走るか、次の乗り物を探すか。とにかく何かをしなければ、どこかに行くことはできない。自分で動き出さなければ、ずっとそこに立ち尽くすことになるのだ。


本日のBGM

 突然だが、ここで一曲かけたいと思う。できればこの記事は、↓の曲を聴きながら読んでもらいたい。特に深い意味はない。私が聴きたい気分だったのだ。スコットランド出身のバンドTravisで、曲は「Where you stand」。Travisは日本ではあまり知名度がないが、一言で言うならUKロックの良心みたいなバンドだ。


Where I stand

 退職してからおもに何をしているかと言うと、「キッチンカーの開業準備:ネットビジネス:クラウドソーシングでのライティング」が6:2:2という感じだ。加えて、退職に関する手続きや個人事業主になるために必要な手続きがある、はずだ。自分でもすべてを把握できている自信はないが、本やインターネット、先輩フリーランスの方の話を頼りに、抜けるとまずいことは押さえているつもりだ。「想像を絶するだらしなさ」には、私も心当たりがある。

 ネットビジネスでの収入はまだなし、クラウドソーシングの方もほんのわずかだ。キッチンカーに至っては初期投資に少なくはないお金が出ていっている。現状だけを見れば完全に貯金を食いつぶしている状態だが、不思議と焦りはない。キッチンカーにしてもネットビジネスにしても、信頼できる先輩経験者に出会うことができ、いまは「何とかうまくやっていけるんじゃないか」という気がしている。これは大きい。


「仕事だから」

 フリーランスとか個人事業主というのは責任もあるが、その分自由でもあると思っていた。そして、それは間違いではなかった。スーツや満員電車から解放され、毎日の予定は自分が好きなように埋められる。やりたいことにお金を使い、会いたい人にこちらから連絡をして会いに行く。

 休日という概念は驚くぐらいあっさりと消え去った。開業準備にしても、ネットビジネスにしても、ライティングにしても、あまり仕事をしているという実感はない。むしろ、時間が空けば進んでこのうちのどれかをしている。その時間が楽しい。

 仕事=我慢するもの、であるべきではないのではないか。

 脱サラを考えるなかで、日に日にその思いが強くなっていった。「仕事だから」 やりたくない仕事、興味がない業務に出会うと、無意識にそう言い聞かせていた。「仕事だからきちんとやらなくてはならない」

 本当に好きなことを仕事にできるとは限らないが、仕事を楽しむことはできるのではないか。その思いが抑えきれなくなったとき、私は脱サラを決意した。


結局は、「人」である

 サラリーマン時代に「我慢していたもの」は色々あったが、そのうちの一つは「しがらみ」だ。職場内の人間関係における悩みや社内政治。そういう「ないに越したことはないが、たいていあるもの」だ。必要悪と言い換えてもいい。もちろん、本当に「嫌な人」なんてそうそういるわけではないし、ストレスは他にも色々ある。けれども、突き詰めればすべてが「しがらみ」という言葉に集約できる気もする。私にとって、脱サラはこの「しがらみ」からの脱却を意味した。

 だが、それは人間関係を断ち切ったり、解き放たれることではなかった。むしろ、いまは会社員時代よりも「人と人のつながり」の重要性を実感している。十年来の友人や新しく知り合ったビジネスパートナー。多くの人たちの助けを借りて、いま私は何とか前進している。

 本やインターネットで情報収集する段階から抜け出せずにいた私は、ある日ツイッターで「脱サラする」と宣言した。その呟きがきっかけで新しい出会いが生まれ、私は新しい人生のスタートを切ることになった。「自分で事業をやってみたいが、何をどうすればいいかわからない」 そうやって踏み切れずにいた私に、ネットビジネスやキッチンカー開業のアドバイスをくれた人たちがいたおかげで、やってみようと思うことができた。

 学んだことは二つ。

・行動しなければ、何も変わらない。一番簡単な行動は、言葉にすること。
・本気で考え、心の底から欲すれば、必ずきっかけは訪れる。


 まだたいした収入もないし、成功には程遠い。それでも、毎日充実した人生を送ることができている。会社を辞めたことに後悔はないし、これからもしないと思う。順風満帆というには早すぎるかもしれないが、前途は洋洋なり。そう感じる。

 それがいま私が立っている場所だ。


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