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退院後の心配事

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NICUから自宅退院した後の心配事 まとめ
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NICU退院後の心配事1:母乳の飲み

NICU退院後の心配事1:母乳の飲み 入院中に面会に行くと 看護婦さんが毎日体重を測っていて、 ちゃんと体重が増えていると 赤ちゃんが、ちゃんと飲めているサインのようで安心でしたね。 入院中の直接母乳は、授乳の前後で体重を細かく測って 何グラム飲みとったか、看護婦さんが記録していて どのくらい飲んだか数字でわかって安心でしたね。 哺乳瓶に入っているミルクや母乳は 量がわかって安心でしたね。 多くの入院中の赤ちゃんは、 3時間ごと授乳の時間がきて、 毎回おおよそ同じよう

NICU退院時の心配事2:薬がうまく飲めなかったら?

薬と聞くと、とても大切で、絶対に飲ませないといけないと思ってしまいがちなので、 退院生活が楽になるように 具体例を説明しましょうね。 NICUを退院する赤ちゃんが飲む薬は限られています。 メインのものを説明しますね。 ①貧血のお薬(インクレミンシロップとか、フェロミア顆粒とか) 貧血のお薬は鉄剤です。 貧血はほっておいたら、発達へ悪影響なので、貧血のあるうちは毎日鉄剤を飲むことになります。 ただ、数回飲めなかったからといって、貧血が急に進行してしまって症状が出ることはあり

NICU退院時の心配事3:薬を吐いちゃったらどうする?

看護師さんたちはピュッと上手に薬を飲ませます。 でもいざ自分でやろうと思うと、赤ちゃん口を開けなかったり、動いたり、よだれが凄かったり なかなか上手くいかないものです。 まず、何の薬を処方されているのか確認してみましょう。 NICUを退院する時に持ち帰る飲み薬は主にこの3つです。 ・貧血の鉄の茶色のシロップまたは粉薬 ・複合ビタミン剤の黄色の粉薬 ・ビタミンKのシロップで1個ずつ包装されているもの これが多くの子が持ち帰る薬です。 他、持ち合わせた合併症や基礎疾患によっ

NICU退院時の心配事4:便秘の対応

早産の赤ちゃんは生後しばらくは便秘体質の子が多いんです。 入院中に浣腸や肛門刺激のやり方を習ったお母さんもいるのではないでしょうか。 早産児が便秘になる理由はいろいろなことが複合的に絡み合って起こっています。 ひとことで言うと排便機能が未熟だから、ってことですが、胎内にいる間はウンチはしなくていいので、まぁ、そうですよね。 赤ちゃんの腸の長さと腸の動きの発育、腸からの水分の吸収の具合、腹筋の発達、イキミのバランスなど、様々なことが絡み合っておこります。 早い子は予定日頃に

NICU退院時の心配事5:デベソになってきた!

へそが出てる!退院後の早産時に多い訴えです。 へその緒が取れて、へその消毒(現在では全くしていない病院もありますが)も落ち着いた頃でしょうか。 お母さんは赤ちゃんにも慣れて、赤ちゃん自身も大きな声で泣いて自己主張するようになった 頃の、早産出身の赤ちゃんによく聞きます。(満期産の子にも起こりますが) 簡単にいうと、へそから風船のように脱腸してきて、腸がグシュグシュ触れる状態です。 生まれてすぐは臍の下の筋肉が完全に閉じていないので、大泣きしたりしてお腹に力がかかった時に、

NICU退院時の心配事6:苦しそうにうなる

多くのママさんは『うなる』 とか、 『うんちがしたくて、苦しそうにしている』 『寝ている間ずっとウーウー言ってる』 などと表現します。 赤ちゃんは退院が近くなった頃から 赤い顔をしてお腹に力を入れて、オヤジのようなうーうーと言う唸り声をあげてゴロゴロすることが増えます。 大抵、目はつぶっていて、半寝の状態のことが多いです。 ママから見るととても苦しそうに見えることもあるようですね。 実はこれは生理現象で、 お腹が張って苦しいわけでも、ウンチがしたくて踏ん張っているわけで

NICU退院時の心配事7:お熱が出たらどうする?

修正月齢3ヶ月までは繊細なケアが必要です。 修正月齢3ヶ月=予定日から数えて3ヶ月です。 この月齢に当てはまるようでしたら、すぐに病院に行きましょうね。 月齢3ヶ月までは繊細なケアが必要。 これは正期産児も同じです。 室温調整のところでもお話ししますが、 明らかに着せすぎや、部屋が暑くて熱がこもったなどでしたら、 調整して、体温を測ってみましょう。 その場合は大丈夫。 3ヶ月未満の発熱は ほとんどは風邪、ってのが大多数ですが、 赤ちゃんの症状はとても分かりにくく、 中に

NICU退院時の心配事8:予防接種

早産時の予防接種に関して説明を受けましたか? NICU退院後のフォロー外来の通院に組み込んでもらえると、あまり考えなくて良いので楽なのですが、 住んでる地区と病院の場所によっては、そうもいかない方も多いでしょうね。 自分で計画立てるのは大変です。 NICU退院前の入院中にヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンなどの初回の予防接種を済ませた子も中にはいるでしょう。 基本は:誕生日から数えて、やれるものはやってオッケーなんです。 (後でも書きますが、輸血をした子や手術を控えている子は除

NICU退院後の心配事9:シナジス

シナジスってなんだっけ?と思う方は読んで見てください。 早産児だけの予防注射みたいなのがあって冬の間だけ毎月受けましょうね。と言われていたアレです。 シナジスは簡単に言うと、RSウイルス感染という風邪を予防する(つまり重症化を防ぐ)注射です。 RSウイルスとは、冬に流行する風邪のウイルスで、人生で何度もかかります。 1シーズンに何度もかかる時もあります。大人や、大きい子がRSに罹患しても風邪程度で済むのですが、早産児は妊娠中に母体からの免疫の移行が少なく、乳幼児期には自身

NICU退院時の心配事10:夜寝ない?

NICUの夜中の面会は、お産後の入院中のお母さんを除いてとても少ないので 実は我が子が深夜にずっと起きてるとか 夜中の方が活発にミルクを飲むとか あまり知られていません。 午後の面会が比較的多い時間は、 母が来て安心するのか、 よく寝ている子が多い気がしてしまいます。 胎児の頃は、お腹の中で睡眠リズムは20〜40分ごと寝て起きての睡眠リズムを繰り返しています。 生後、赤ちゃんは寝たり起きたりを繰り返しながら、月齢とともに徐々に睡眠と覚醒の時間を延ばして発達していきます。

NICU退院後の心配事11:外来受診の頻度

NICU退院後の外来受診の頻度についてです。 まずは現実に即した具体的なお話をしましょう。 シナジスというお注射の適応の子、 退院時にしばらく続けるお薬がある子、 酸素や呼吸器、医療用の吸引器を持ち帰る子、 胃管をつけて帰る子、 モニターを持ち帰る子 など、 医療を自宅に持ち帰るお子さんは少なくとも1ヶ月に1度程度の受診頻度になります。 外来通院中に RSウイルス流行期(現在では9月から4月の間が流行期)のシナジス適応期から外れ、 内服薬が終了になり、 酸素や胃管、モニ

NICU退院後の心配事12:新版K式発達検査の説明

外来で患児の発達具合を数値化して見る検査で有名なもので 『新版K式発達検査』というものがあります。 前項でお話しした、ハイリスクフォローアップ研究会では 極低出生体重児の発達、知能検査として、 修正年齢1歳半(出産予定日から数えて1年半)、暦年齢3歳(お誕生日から数えて3年)で 『新版K式発達検査』を推奨しています。 早産、低出生体重児は、何らかの発達の課題を抱えるハイリスクグループであって、 運動や発達への支援や早期介入が必要な子供達の心身の発達度合いを他覚的に評価し 療

NICU退院時の心配事13:部屋の温度調整

真夏や真冬に退院する子によく質問を受けます。 一般的に赤ちゃんは小さくて非力なイメージのようで とても大切に扱ってあげなければと思うがあまり、 冷房が体に悪いとか、厚着にしてしまうお母さんが多い印象です。 寒かったら風邪を引かせてしまうのではないかと思うようですね。 確かに、病院なので、NICUの環境は温度は比較的一定ですが、 保育器から出て生活できている赤ちゃんは 現在の日本の住居環境では、 それほど心配しなくていいと言うのが医療者の意見です。 冷暖房設備のなかった

NICU退院後の心配事14:離乳食はいつ始める?

退院後の子を外来で診ていると、 離乳食はいつ始めたらいいでしょうか?と言う質問をよく受けます。 早産児はもちろん、育児雑誌に書いてあるような 一般的な月齢は当てはまりません。 なので、何が基準になるのかと言うと、 我が子の食事への発達具合をママ自身で見てみることです。 「赤ちゃんが食べたいと思ってそうな時期」がベストです。 さあ、まずは、我が子を見てみましょう。 食べたそうにママをじっと見てますか? よだれを垂らして欲しそうにしてますか? 試しに口元にスプーンを持ってい