NICU退院時の心配事4:便秘の対応

早産の赤ちゃんは生後しばらくは便秘体質の子が多いんです。
入院中に浣腸や肛門刺激のやり方を習ったお母さんもいるのではないでしょうか。

早産児が便秘になる理由はいろいろなことが複合的に絡み合って起こっています。
ひとことで言うと排便機能が未熟だから、ってことですが、胎内にいる間はウンチはしなくていいので、まぁ、そうですよね。

赤ちゃんの腸の長さと腸の動きの発育、腸からの水分の吸収の具合、腹筋の発達、イキミのバランスなど、様々なことが絡み合っておこります。
早い子は予定日頃には浣腸なしで排便できるようになる子もいますが、
上にあげたことの発達のバランスが取れてくるまで、半年間くらい浣腸や肛門刺激やお薬のお世話になる子も多いです。

さて、
よくある質問を挙げてみましょう。

①どのくらい出なかったら、なんとかしなきゃならないんですか?
②浣腸や肛門刺激を続けて、癖にならないんですか?
③浣腸や肛門刺激が怖いんです。
④いつになったら自然な排便できるようになりますか?

①便の間隔
退院日頃には1日に10回以上便をする子もいれば、浣腸や肛門刺激をしないと出ない子もいます。
出にくい子やお腹が張りがちな子は通常入院中に1日に1〜3回は看護師さんが浣腸や肛門刺激をして便を出していました。
私の理想は、
『退院してからは、1日1度は便を出したい感じです。』
大人だって1日1回快便が理想じゃないですか?
中には2〜3日に一度のペースの子もいるのですが、お母さんが赤ちゃんのペースがつかめない間は、1日1回、お風呂前とか、朝起きた時とか、決まった時間に便をする生活リズムをつけるとやりやすいと思います。
1日に3回ではママも大変でしょう。

②浣腸は癖にならないのか?
大人が便秘を薬に頼って癖になりやすいのは、環境要因や生活習慣が複雑に絡んでいるからです。
便をしたいタイミングに限って、ゆっくりトイレに行く時間がないとか、他の用事を優先させたりなど、24時間オムツの中にしていい赤ちゃんとは事情が違うってことですね。
赤ちゃんは綿棒や浣腸薬で肛門が刺激されると、直腸肛門反射がおこり、肛門を囲んでギュッと締めている外肛門括約筋と言う筋肉が弛緩して、便が出ると言う仕組みです。
通常は、便が肛門近くまで来ると、便のかたまりによって直腸肛門反射が起こるのですが、
それを外からおこしてあげようと言うのが、浣腸や肛門刺激の理論です。

反射なので、神経や筋肉を損傷させるような怪我でもしない限り、消失することはありませんし、筋肉が慣れて弛緩しっぱなしってことはまずありません。

③怖い
これもよく聞きます。
健診の場などで、やってもらうと、恐る恐るツンツンしたり。
肛門って、バナナウンチが通るくらい簡単に広がるので、そこに浣腸薬や綿棒を入れる事は怖い事はありませんし赤ちゃんは痛くもなんともないはずです。
泣いていてお腹に力が入っているとうまくいきませんが、リラックスした状態の赤ちゃんでは、すっと入ります。うまくいくと、気持ち良さそうに機嫌が良くなりますよ。
肛門の中の腸の中は、体の中ではなくて、身体の外なので、身体の中に入れるイメージは捨て去りましょう。お口の中、と同じくらいのイメージです。
たっぷりとオイルやクリームを使って滑りを良くして痛くないようにするってのがポイントですね。

④いつまでやるの?
上にも書きましたが、退院頃には必要ない子もいます。
半年くらい、お世話になる子もいます。
お子さんの便の発達には個人差があるので、毎日少しサポートしてあげながら見守ってあげましょう。
便秘になる特別な病気を診断されてなければ、ずっとは続きません。長くても0歳のうちだけでしょうね。

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