NICU退院後の心配事9:シナジス

シナジスってなんだっけ?と思う方は読んで見てください。
早産児だけの予防注射みたいなのがあって冬の間だけ毎月受けましょうね。と言われていたアレです。

シナジスは簡単に言うと、RSウイルス感染という風邪を予防する(つまり重症化を防ぐ)注射です。

RSウイルスとは、冬に流行する風邪のウイルスで、人生で何度もかかります。
1シーズンに何度もかかる時もあります。大人や、大きい子がRSに罹患しても風邪程度で済むのですが、早産児は妊娠中に母体からの免疫の移行が少なく、乳幼児期には自身の免疫システムも発達途中なので、RSウイルスが重症化しやすいという特徴があります。
重症化して、入院してしまったり、ひどいと人工呼吸器の力を借りるような細気管支炎や肺炎を起こすことも無きにしも非ずなのです。
人生に一番初めにかかる時が一番具合を悪くしやすく、その後は何度もかかりますが軽く済むようになります。
その一番初めの感染の重症化を予防しようというのが、この注射の目的です。

みんなができるわけではありません。
シナジスの対象になるお子さんは、
 在胎28週以下の早産で、月齢12ヶ月以下の赤ちゃん
 在胎29週から35週の早産で、月齢6ヶ月以下の赤ちゃん
 過去6ヶ月以内に気管支肺異形成症(慢性肺疾患)の治療を受けている24ヶ月以下の赤ちゃん
 血行動態に異常のある先天性心疾患の24ヶ月以下の赤ちゃん
 免疫不全と診断された24ヶ月以下の赤ちゃん
 ダウン症と診断された24ヶ月以下の赤ちゃん
となります。
なので、説明の時にわかりやすく言うために、早産の子だけの予防接種、なんていう言い方をされたりすることもあるんですね。

実際にはシナジスは予防注射ではなく、予防するためのモノクローナル抗体というものを注射で接種します。
通常の定期予防接種の不活化ワクチンとか生ワクチンとかのように、ワクチンを打って抗体を作らせる予防注射ではなく、すでに薬として作られている抗体を摂取します。
ま、難しいので、予防接種みたいな注射って考えていただいて大丈夫です。

毎月、体重に応じた量を太ももに注射します。
他の予防接種には影響しないので、間隔を開けたりする必要はありませんし、同時接種も可能です。
主な副作用は発熱、注射部位の腫れ、痛み、神経過敏などです。
その他、頻度のぐっと低いものでは、発疹、お腹の具合が悪くなる、咳、鼻水、肝機能障害、白血球減少など報告されていますが、
重篤な副作用は過去世界中で3例しか報告されておりません。
副作用のリスクよりもずっとメリットの方が上回ると思います。

小さな足に注射をするのは痛々しいことではあるのですが、
赤ちゃんをRSウイルスから守ってあげましょうね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?