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「かわいい声」と言われること。



今年読んだnoteの記事の中で、記憶に残っている記事がある。



この文章を読んだとき、
それまで自分が思っていたもやもやを、身近な言葉で優しく言語化してもらえたように感じた。

全人類に読んでみて欲しい文章のうちの一つである。


(以下、安原さんの記事を読んでから読み進めていただけると解像度が上がるので嬉しく思います。)



3年前に、音声配信を始めた。趣味として。
配信をしていると、「声かわいいですね」と言ってもらえることがある。
それはとてもありがたいし嬉しいことでもあるのだけれども、反応に困ることもある。

当初、私はこの違いについて、「声かわいいですね」には2種類あるからだと思っていた。
にどねに対して女性的な魅力を感じた上で言っている場合と、そうでない場合があって、前者だともやもやしてしまうのかな、と。

前者だと、自分の持つ女性性を消費されてるような感じがして嬉しくないんだろうな、とか
人として見られる前に女性として見られているのが嫌なんだろうな、とか。

でもこれって、より正確には「期待値が大きいとしんどい」のかも知れないと最近ふと思った。


「声かわいいですね」の向こう側に、勝手な期待があるとしんどい。

声がかわいい、というところに
性格が良さそうとか、清楚な感じとか、いつも穏やかで器が大きいとか、きっと部屋がきれいとか、人に優しいとか
なんかそういう、「素敵なにどねさん」を期待されて想像されていると、反応に困るのかなと。




例えば私が

「煙草を吸ってる」

と言ったら


あなたは、がっかりするだろうか。



イメージと違うって思う?
煙草を吸うにどねさんは嫌だなぁって思う?




もし、「イメージと違う」と思ったとしたら
その「イメージ」はあなたがあなたの中で作り上げたものである。

「女性性」もキーワードとしては確かにあると思うけれど、それをもう少し突き詰めていくと、期待という要因に集約されるのではないかと思った。


それともう一つ、安原さんの記事を読んでいて「あ、これ」と思ったことがある。

 そもそも、自分だけがチヤホヤされる状況だって別に嬉しいものじゃない。そのかわいい子の横にいる、話しかけてもらえてない女の子はそのかわいい子の友達で、その状況を楽しく思う人なんて実際はごくわずかな気がする。

 かわいいねとみんなの前で言うということ。
 それは、かわいいねと言われない人を作るということ。
 よく話題に上がる「男の前で態度が変わるぶりっ子な女性」は実際は少数派だと思う。男が集団で勝手に特定の子をチヤホヤして、そうでない人をほっておいてる。


確かに、「みんなの前」で言われると反応に困る。
これはライブ配信中に感じたことがある。


私自身も、不躾ながらやってしまっていたことがあるのだけれど、例えば複数人いる場で「かわいい」とか「モテそう」という言葉を投げかけたら、言われた人も言われてない人も居心地が悪くなる、あの感じ。


なので、配信で素敵な声の人に出会っても、前ほど軽率には伝えないようにしている。(つもりである。)
伝えるときは、できるだけ人が多い時には言わないことと、タイミングに気を付ける(脈絡無く伝えない)こと
それから、「イケボ / カワボ」「かっこいい声 / かわいい声」という言葉をなるべく使わないようにしている。

「イケボ」「カワボ」という単語を私もよく使っていたけれど、控えるようになった。
それは、自分が言われた時に寂しい気持ちになったからだ。

「カワボ」と言われると、「カワボ」というラベリングをされて
「カワボ」というボックスに、「あなたはこっちね」と入れられるような感じがあって

「カワボだから」と言われると、突き放される感じがした。(もちろん言っている方はそんなつもりは全然無いと思う。)


もし声が素敵なことを伝えたいなと思ったら、性別に関わらない単語を使ったり(これは冒頭の話にも繋がる)、具体的に「あなたの声のこういうところが好き・良い」と伝えるようにしている。
誰にでも当てはまる言い方より、きちんと自分に向けて選ばれた言葉の方が、嬉しいのではないかと思うから。


3年前に始めた音声配信という趣味を通して、「声かわいいですね」と言っていただくこともあったけれど、声だけじゃなく、話し方や考え方が好きと言ってもらえたり、共感してもらえたりしてきた。
それはとても嬉しかったし、幸福なことだと改めて思い、感謝している。


音声配信という趣味は、話すだけじゃなく聞く楽しみもあって、魅力的な声の方もたくさんいらっしゃるけれど
素敵な声ですね、と伝えるときには、反応に困る方の伝え方はできればしたくない。

上面だけを見ないようにしたり、勝手に期待をしないようにしたり
言葉を丁寧に選んだり
それは決して、簡単なことではないと思うけれど。


「かわいい声」と言われたり、声を褒められることについては、これからも折に触れて考えていくと思うけれど、今回はこの辺で。

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