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ボイスアクター

2023年6月。
スタンドエフエムという音声配信プラットフォームを利用して極々一般的な話題を配信していた私だったのだがボイスアクターとしての活動も始めた…
スタエフを中心に活動してる声だけの演劇集団


メンバーは川端さんという方のスカウトによってスタエフ配信者のなかから集められた。

収録(稽古)の様子は例えばこんな感じだ。
川の上流から大きな桃のようなものが流れてきたと思ってセリフ言って!


川端さんから怒鳴られる。
(えっ?それって桃太郎の話じゃない?と思うわけだが、出来上がった作品はスノーカントリーという作品だった)


ストーリーの全貌を我々アクターは完成まで知ることはない。言われたセリフを川端さんに送るだけ。


川端さんがそれら集めたセリフを加工、編集し、一本の劇として完成させスタエフで披露する。有料。
言葉だけの演劇。
川端さんの口癖は「声を粗末にするな」である。

まだボイスアクターになりたての頃は、スタンドエフエム内で日常のたわいないことを話していると、川端さんから叱られた。
売り物バラまくなんてありえねぇぞ!!?
最初はわけがわからなかった。

つまり我々ボイスアクターの声は商品なのだ
ほんとかよ?
最初は思ってた…
あり得ないと💦

しかし、川端さんの加工編集した劇がスタンドエフエムで公開されるやいないや、私の過去放送はいいねの数が1000を越えた。
川端さんからスタエフの過去放送を全て削除しろ!と連絡がはいる。

劇は想像を越えるような作品に仕上がっていたのだ。
効果音などを駆使したその音声劇は洋画大作並みの迫力で、実際海外からも音声劇制作のオファーが舞い込んでいるらしい。

尚且つそんななか驚いたのが、ファンからの要望である。
役者とファンといえばサインかと思うだろうけれども、我々ボイスアクターの場合は声を求められる。

「声・・一言もらえませんか?」と言ってくるのだ。
それに対して川端さんからは自分独自のサイン用ボイスを用意しろと言われた。

結果、
私はファンから声を求められると
「お疲れ様です」という声を送ることにした。

声を送り、それを聞いたファンからは
嬉しくて眩暈がしましただとか、生声ありがとうございます震えが止まりません!といった嘘だろと思うようなことを言われるようになった。


伊豆で踊れ!
眠れる男


次から次へと作品は公開された。
作品名は川端康成をパクってるんじゃないかと思うところもあったが不気味なほど無言で受け入れられた。。

スタエフでの収益は相当な額となったらしく、私の出演料も億に届きそうなものとなった。
プラットフォームでは通信障害が頻発したのだが、川端さんはスタエフに拘った

なぜそこまで拘るのか聞いたことがある。
川端さんは小さな声で、
フォロワーがいるから
と、なんだか訳の分からないことを言ってきた。


2024年。
私たちの劇団はいよスタエフ以外にも表現の場を見出した。
一万人ものボイスエキストラを総動員して作られた音声劇は東京ドームで初披露となった。
超満員のドームで音声劇が流され、終了時には一部興奮した客の暴動まで起きた。。

その現場にいたと思われる川端さんから写真が送られてきた。満面の笑みを浮かべた髪の長い女性。
川端さんだ。

#創作大賞2023
#オールカテゴリ部門




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