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「枯れない桜」という名の口紅

口紅を買うとき、もちろん色味、テクスチャー、価格のバランスが最重要なのだが、
いかにアガるかが女には大事なことも。
香水や口紅には名前、がつけられることがよくある。

人気のケイトのリップモンスター、勿論品番はありますが、色に名前がついている。
およそ桜カラーではないテラコッタ寄りの濃いサーモンピンク。
「散らない桜」じゃないんだ。

桜は枯れない。枯れる前に散るからだ。
単に語呂もあるかもしれないが。
散る、は若く美しいまま命を落とす、終えることだ。
枯れる、は経年劣化し、瑞々しさを失い、役割を終えて去ることだ。
美しいまま、ではなく、最盛期よりさらに美しい姿で枯れることは可能。

枯れ紫陽花をご存知だろうか。
私は紫陽花は枯れたもののほうが好きだ。
庭園では、首を落とさないと翌年に差し支えるから切り取り、水に浮かべたりするが。

なので、枯れない、という言葉に、なんだか若さにしがみつくみっともなさを少し感じつつ、
色味に惹かれて購入した。

枯れる、は普通はネガティブな意味合いだ。
潤いを失う。気力を失う。朽ちる、ほど腐らなくても、意欲を失いしぼんだ状態を普通はさす。

ならば、枯れない桜、は
短い命を精一杯咲き誇り続ける、散って死ぬのは時の流れで逆らえないが、その瞬間まで瑞々しく咲き続ける姿、をイメージした言葉なのかもしれない。

あえていわゆる桜色ではないこの口紅、
中高年女性を最もイキイキと明るく見せるオレンジ色で、枯れない桜のように一年中、まわりを魅了し続け輝くべし、という名前なんだろうな。

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