短編小説 飴

ムカつく

なんでそんな顔でこっちを見る

「こっち見んな」

「なんでさ、いいじゃん別にぃ」

いいわけないだろ。

好きなんだよ

でも、好きな人いるんだろ

だからさ……

「ウザイこと、この上ないからこっち見んな」

俺を見ないでくれ

見透かされたら、惨めなんだよ。

「うぷぷっなにそれ?」

友達の関係でも辛いんだ

ほっといてくれ

どうしようもないのが滲み続けてるんだ。

「とにかく、ほっといてくれ」

「ちぇ、ケチ臭いねぇそんなんだとすぐにハゲちゃうぞ。あっ、飴食べる?」

スカートのポケットから飴を取り出す姿に心が揺れる。


「なぁ」


「なに?」


「好きだ」


「へっ?」

「好きだ」



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