【記事考察】"役に立たない"けど、意味があるブランディング


とある平日の通勤中、こんな記事にぶつかりました。

皆さんは、ご覧になりましたでしょうか。社内にも共有したところ多くの人から反応がありましたので、この記事を自分なりにまとめます。
まずは、書かれていることを簡単に抜粋。

1.記事概要(抜粋)

山口周氏:問題を分析的に、ロジカルに解いていくっていうことの価値が、どんどん減っていくだろうなということを考えるためのフレームがあります。

世の中で売れているモノっていうには必ず、「役に立つ」っていうベネフィットか、「意味がある」っていうベネフィット、どちらかがあります。「役にも立たないし意味もない」っていう商品は、世の中に存在できません。

これマーケティングの専門用語でちょっと難しく言うと機能的便益、functional benefitと言います。一方で「意味がある」っていうのは、マーケティングの用語で言うと情緒的な便益とか自己実現的便益、personal benefitとか言います。僕は「役に立つから買ってる」「僕にとって意味があるから買ってる」と、そういう言い方のほうが平たくていいんじゃないかなと思いますが。


日本車を、例に。

おそらく過去10年の間で、特殊な自動車じゃなくて、いわゆる自動車メーカーが「新車」として生産した車で一番高額な車っていうのは、Jaguarが販売した1960年型のJAGUAR E typeのレプリカだと思います。ル・マンで優勝した車を20台だけ限定生産したんですね。その20台だけ限定生産したものの、新車の定価が2億円です。で、即日完売ですね、当然。
これは何を言ってるかっていうと、「役に立たないけど意味がある」っていう自動車は2億円で売れるんです。で、「役に立つ自動車」っていうのはせいぜい100万円から300万円でしか売れないっていうこと。何を言ってるかっていうと、「役に立つ」っていうことに価値がもうない時代になってるんです。

コンビニに並んでいる商品を「役に立つけど、意味はない」「役に立たないけど、意味がある」に分けてみると、

コンビニでもっとも多くの種類を備えている商品とは?
みなさん、コンビニエンスストアを思い出してみてください。コンビニは店舗がすごくちっちゃいので、なるべく物品の数を少なくしたい、っていう欲求があります。当たり前のことですよね。なるべく品数多くしたいんで、1個で済むものは1個にしたい。

だから文房具の棚見ると、ハサミもカッターものりもセロハンテープも、基本的に1種類しか置かれてません。ですから、多くの商品が1種類しか置かれてないんですね。

そんなコンビニエンスストアですが、棚が狭いのでなるべく商品の数少なくしたい、種類を少なくしたいよと考えているにも関わらず、200種類以上置かれている商品があるんですけれども、みなさん何だかわかりますか?
200種類以上コンビニに置かれている。1商品カテゴリーで200種類。

そう、タバコですね。飲料はもちろんたくさんありますが、オレンジジュースだけで見てみるとやっぱり2種類とかです。一番清涼飲料でたくさん種類あるのは、おそらく缶コーヒーだと思うんです。日本人、缶コーヒー大好きなので。おそらく5、6種類ぐらいあるんじゃないでしょうか。
タバコは200種類ぐらいあるんですね。つまり、多様なブランドが生き残れる市場だっていうことなんです、タバコは。で、文房具っていうのは1個しか生き残れてないってこと。
なぜそういうことが起こるかっていうと、文房具は「役に立つけど意味がない」んです。約に立つけど意味がないところっていうのは、「役に立つ」っていう物差しが1個しかないので、一番役に立つ会社とか商品が、1個だけ世の中にあればそれでOKなんです。いらないんですよ、2位とか3位とか。

一方で、意味っていうのはいろいろな種類があるので、どんどん多様化するっていうことなんですね。ですからタバコは多様化します。あとお酒も多様化します。みなさん、逆のコンビニって考えられないでしょ? タバコを買いに行ったら1種類しかないんですよ。「うち、セブンスターしかないんですよ」って。「なんだ、マルボロないのか」「セブンスターにしてください、いいでしょ同じでしょ」とかって言われて、「いや同じじゃないよ!」。その代わりハサミが200種類置いてある。考えられないでしょ、そんなコンビニエンスストア(笑)。

また、GAFAについても触れています。

GAFAの内、Appleだけが「意味」の世界で闘っている
PilkingtonとかCorningとか、そういう会社はアメリカでグローバルに何社かで棲み分けてます。ああいうかたちで何社か棲み分けるのはなぜかというと、移動にコストがかかるからなんですね。移動にコストがかかると、グローバル化のスピードはゆっくりになります。

で、一番体積がちっちゃいのが何かっていったら、電子ですよ。一番ちっちゃいわけです。Googleっていうのは電子を売ってるわけですから。ITのサービスですからね。電子は一番体積あたりのコストがたぶん低いので、「役に立つ」っていう市場では1社だけになっちゃう。

ですからGoogleとAmazonとFacebookっていうのは、「役に立つけど意味がない」っていう市場で、しかも電子を売り物にしてるので、世界的にシェアがある。ミクシィが負けてしまったのは当たり前のことですよね。その「役に立つけど意味がない」って市場で戦ってるわけですから。

唯一の例外はAppleで、あれはやっぱり買う人にとっては、なんらかの意味を持って買ってるケースが多いと思います。ですからGAFAの中で唯一の仲間はずれはAppleで、役に立ってしかも意味があるっていうところで買われてるのに対して、残りのGoogleとFacebookとAmazonというのは、役に立つというところで生きてるということですね。

出典: GAFAのなかで、Appleだけが「意味」の世界で闘っている
グローバル競争で生き残るのに必要な、たったひとつの考え方https://logmi.jp/business/articles/321348

2.記事考察

つまり、極端な話、「役に立つけど、意味がないもの = 1つでいいし安くていい(価格の限界がある)」「役に立たないけど、意味があるもの=いくつも何度でも欲しくなるし、高くても買ってくれる可能性がある」ということ。
日本の企業は、「ものづくりは一流、マーケティングは二流、ブランディングは三流」なんて言われますが、元来、"役に立つ"商品の開発が得意で、"意味がある"商品の開発は苦手です。
日本の企業の多くが、「役に立つけど、意味がない」市場で戦ってるっていうことは、遅かれ早かれ勝者として生き残るか、そこから敗退するかっていう頂点を決めるための血みどろの争いになります。(もうなっていますね。)

今、日本企業に求められる「"意味のある"商品づくり」。私の日々の業務は、企業やブランドのリブランディングのコンサルテーションですが、この記事を通じて、ブランドには2つのチェックポイントが必要だと改めて感じています。ひとつめは、ステータスとか見栄とかとはまた違う "そのブランドには、手の届く範囲の自分らしさがあるかどうか"。もう一つは、SDGs,エシカル消費をはじめとする"そのブランドには、唯一無二の社会的な存在意味があるかどうか"。言葉自体は新しくもありませんが、日常業務に追われないようにするには、とてもいいチェックポイント。この記事は とても上質で役に立つし意味もあるWEB記事でした。

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