暖候期を振り返る(2022年春〜夏)
以前、筆者の地元贔屓かつ備忘録的に暖候期の振り返りを書いたが今回はその第二弾。まずは気象庁HPから夏場の概況を。
ジェットコースター
「強烈な梅雨の中休み」と言われたように世間では6月下旬から7月前半にかけての異例の高温がクローズアップされた。しかし、当地に限ってみれば6月上旬はむしろ平年よりも気温が低く、日差しも少なかったのが目立つ。まさにジェットコースターのように1ヶ月の中で気温が変動した。
県内にある観測点の6月の日別極値統計を見ると低温の記録と高温の記録、どちらも上位にランクインしている一方で、月平均気温はそこまで極端な数字になっていないのが興味深い。
なお6月27日は最上地方で大雨となり新庄市、特に末広町などで浸水被害が発生した。
山形地方気象台のHPより
2022年6月の天候(山形県)
https://www.data.jma.go.jp/yamagata/pdf/synopsis/2022/06.pdf
猛暑一転、梅雨の明けない夏へ
「梅雨明け十日」の言葉があるように、梅雨明け直後は夏の高気圧が勢いに任せて暑さをもたらすが、徐々に息が切れてくる。「北国の夏は短い」とも言われるように梅雨が明けたと思ったら、まもなく秋雨前線と名前を変えた停滞前線が伸びて来て、そのまま夏を終えることも少なくない。そしてこのタイミングこそ、北日本にとって大雨災害への警戒が、一年のなかでいちばん必要な時期であったりする。
幻とはなったが6月中と言う異例の早さで梅雨が明けた東北も、太平洋高気圧の息が切れた7月中頃から度々大雨に見舞われることとなった。
①7月15日から16日は宮城県北部を中心に大雨となった。浸水キキクルの黒色が広がった時間帯もあって、大崎市内を中心に浸水や河川の氾濫が相次いだ。
②8月3日から5日は東北ほぼ全域で大雨となり、日本海側を中心にキロクアメ(キロタン)や顕著雨、大雨特別警報が相次いで発表される事態となった。
③8月8日から約10日間、再び青森県津軽と秋田県北部を中心に東北の日本海側で広く大雨となった。深浦特別アメダスでは②③の累積により、月間の降水量が1000ミリを超える記録的な雨量となった。
台風14号
山形県内陸部は、四方を山に囲まれ複数の盆地から構成されるその地形ゆえに、案外、気象災害の経験値に乏しい。 特に強風害についてはその傾向が顕著だ。
そんななか2022年9月上旬に、2019年台風19号(ハギビス)以来3年ぶりとなる、暴風警報(最大風速18m/s以上≒最大瞬間風速35m/s以上を予想または観測)が発表された。風雨のピークが、休み明け朝の通勤・通学の時間帯とも重なることから、交通機関の計画運休や公立学校の休校などの措置が取られた。
ただ、蓋を開けてみれば山形市の最大瞬間風速16m/s(やや強い風に相当)が、内陸部における観測値のピークとなった。
数字上は「風に向かって歩きにくくなる。傘がさせない。樹木全体が揺れ始める。電線が揺れ始める。高速運転中では横風に流される感覚を受ける。」と言った影響があるが、盆地と言えども年に数回は観測している風である。