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疑問をもつこと、調べること…


  4月30日の平成天皇退位の儀式で、安倍首相が国民を代表して天皇に述べた言葉が話題になっている。

『天皇皇后両陛下には、末永くお健やかであらせられますことを願ってやみません』というべき所を『…願っていません』と言ってしまっているのだ。

 で、問題は、このツイートが発端なのかどうかは判らないのだが、“安倍首相が『願って已みません』なのに「已(や)みません」の漢字を読めずに「いません」と間違って読んでしまった”という話や噂がtwitterなどで流布し、ついには、こんなまとめまで出来ている点なのだ。


 ただ、疑問に思ったのは、昔の人や小説家ならばともかく今の世の中、「やみません」を「已みません」と書くことはほぼないし、普通は「止みません」か「やみません」と書く筈。

 で、実際に調べてみたら、首相官邸のHPにこの式辞の原稿がそのままアップされているのだが、やはり「已みません」ではなく「やみません」と平仮名で書いてあるし、逆にその直前の「お健やかに」の部分には安倍が読めないと思ったのか「お健(すこ)やかに」とルビが振ってある。

 肝心の動画は官邸HPからはなぜか削除されてしまっていて、上のツイート経由でしか見られないが、動画を確認して貰えば、やはり「お健やか」の部分でちょっと詰まり、安倍が「あらせられますこと」を「あられますこと」と言い間違え、言い直したせいでその後が支離滅裂になっているのが判る筈。

 「お健やか」にも「お健(すこ)やか」とルビを振っているのだから読めなかったとも思えないし、結局、滑舌の悪い安倍が「あらせられますこと」を言えなかったのが原因と考えるのが妥当。そういう意味では、今回の失態はちゃんと下読みをしなかったのか、若しくは、この程度の原稿もちゃんと読めないのか、という文脈でこそ批判すべきなのだろう。

 こう私もツイートしたように、安倍に批判的な人間としてはどんなカタチであれ、マスコミが伝えない安倍の失態や無能さが広まることは歓迎なのだが、“「已みません」を読めずに「いみません」と読んだ”という説が流布していくことには疑問を感じざるをえない。

 何しろ首相官邸のHPを見れば、安倍が読み上げた原稿がそれこそ漢字のルビもついたままアップされているし、動画も官邸HPからは削除されてしまったがネットでは見ることが出来る筈。

 つまり、“「已みません」を読めずに「いみません」と読んだ”説を流布している人の多くは官邸HPの式辞原稿や動画を見ないまま、他人からの「伝聞」をそのまま信じてしまっているのだろう。

 事件や事故、とくに海外の出来事などでは一次情報を私たち自身が入手することは難しいし、マスコミ報道も含めての「伝聞」に頼らざるを得ない部分があるのは確か。ただ、そんな中でも「この話は何かおかしくないか?」という疑問を持つことは出来る筈だし、ある程度は調べることも出来る筈

 今回の話などは、「やみません」を「已みません」と安倍が読む原稿に書くか?という疑問を持って、首相官邸のHPを調べたり、実際の動画を見れば簡単に間違った説、伝聞が流布していると判る筈。

 勿論、今回の「伝聞」は悪質なデマとかそういう話ではないし、この「伝聞」を信じたからといって大きな間違いに繋がる話でもない。ただ、だからと言って、何かニュースを見たり、何か話を聞いた時に、疑問をもつことと調べることを蔑ろにしてはいけないし、その手間や作業を惜しんでしまえば私たちは簡単に騙されてしまう、ということは常に念頭において置くべきだろう。


※Photo by  首相官邸HP(宮内庁撮影)

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