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もう一つ、考えたいこと…


 池袋の事故についてここnoteに書いたばかりなのだが、また同じような悲惨な事故が起こってしまった。“もしやこれもハイブリッド車か?”とも、一瞬、思ったのだが、神戸市バスはハイブリッドバスを8台、保有をしているものの、画像を見る限り、このバスは違うようだ。

   また、バスは人を轢いた後にブレーキですぐに停止しているので、池袋のような「暴走事故」というよりも、運転手が“ブレーキを踏んでいたのにバスが急発進し、人をはねてしまった”と言う通りの事故。ブレーキがかかっていたので速度自体はゆっくりだったが「急発進事故」の一つと考えた方が良さそうだ。

    勿論、運転手のブレーキを踏む力が緩んだとかいったヒューマンエラーの他にも、エンジンの回転数がいきなり上がるとか、アイドリング・ストップ&スタートシステム(ISS)の不具合などのマシンエラーの可能性もない訳ではないので、これもちゃんとした調査はしてほしいのだが、この事故からtwitterやネットなどでは、どうも話が全く違う方向に行っているようだ。

  私あてにもツイートが来たが、“神戸の市バスの運転手はすぐに逮捕されたのに、池袋の事故を起こした元官僚が逮捕されなかったのは変”とか、“池袋の運転手の方だけをマスコミが「容疑者」ではなく、「さん」付けで呼んでいる”、“池袋の運転手の名前を出さないマスコミが多い”…etc。

    要するに、池袋で事故を起こした運転手は天下りで大企業の副社長まで務めた元エリート官僚だからマスコミや警察に特別扱いをされているのではないか?、という憶測や怒りを呼んでいるらしい。

 この事については上のハフポストの記事も説明しているが、市バスの運転手とは違い、本人もケガをしていて病院に運ばれたので逮捕しなかった、という警察の言い訳も一理はあるので何ともいい難いし、逮捕されなかった以上、マスコミが「容疑者」と呼ばなかったり、実名を伏せるのも納得出来ない訳でもない(勿論、警察やマスコミが人によって態度を変えること自体は当たり前のようにあることなので、今回もそうではないとは全く言い切れないが…)。

  で、私が言いたい、考えてほしいことは、実はそのことではない。そもそも今回の事故を起こした運転手の実名をマスコミが報じる必要があるのか?という点なのだ。

  今回の事故もそうだが、犯罪や事件が起きた段階では、まだその人物の責任とも有罪とも確定した訳ではない。その段階で、マスコミに実名を公表されて社会的制裁を加えられるのは明らかな人権侵害だし、どう考えても理不尽。

 何よりもしその後の裁判などを通じて、無罪になったり、嫌疑が晴れたとしても、マスコミはそのことを犯罪や事件が起きた時と同じような分量では決して報じてくれない。多くの人が抱いた“あいつは犯罪者だ、悪い奴だ”という印象は拭えないし、名誉回復は困難。加えられた社会的制裁の補償も得ることは出来ないのだ。

 また、そもそも実名を公表することに一体どんな意味、意義があるのだ?

 確かに政治家などの場合は、国民が選挙で選ぶ時に重要な判断材料ともなる訳で、マスコミが実名を公表する事は公益にも適う。が、一般人の場合は単に世間の好奇心に応える為に過ぎない。犯罪者に社会的制裁を加えるという意味ならば、別に実名は報道されなくても、罪を犯せば会社をクビになったり、学校を退学させられたり、収入の道を絶たれたりする訳で、それで十分な筈。

 つまり、事件や犯罪が起きた時にマスコミが実名を報道することには何の公益性もなく、ただただ世間の愚劣な好奇心に応える為。いわゆるゴシップ記事と同じで、それによって視聴率を上げたり、売り上げを増やすというマスコミの利益の為でしかないのだ。

 私はそれこそ「実名公表」に公益性のある政治家や公人の疑惑や事件、犯罪を除いて、マスコミは犯罪や事件での全ての「実名公表」を一切止めるべきだと思う。加害者だけではなく、被害者も世間の好奇の目に曝される必要は全くないし、被害者も仮名で十分な筈だ。

 また、マスコミが実名を公表することで、犯人や加害者だけではなく、その家族までもが袋叩きにされるこの国の現状では、「実名公表」はやらない方がいいのではなく、マスコミが絶対にやってはいけない重大な「人権侵害」でしかないと思うのだが…。



※phot by https://matomedane.jp/page/27724

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