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「感情」の政治

悪いのは「ポピュリズム」ではなく、その「ポピュリズム」が人々の正しい感情に訴えかけようとしているのか、それとも劣悪な感情に訴えかけているのかの差にしかない。 』という話を前回したが、その“感情”のことについてもう少し考えてみたい。

    徴用工裁判の判決への対抗措置として行われた韓国への輸出制限や愛知トリエンナーレの「表現の不自由展」での従軍慰安婦像の問題でも、今の私たちは毎日のように「反日」という言葉を目にし、耳にするが、そもそもこの言葉が何なのか考えたことがあるだろうか。

  「反日」とは、日本(日本国政府・天皇・企業・日本人・社会・文化・制度・歴史など)の一部または総体に対して反対・反発感情・価値観を持って行われている教育・デモ・活動・外交、それを行っている人物・組織・国家に対して使われる言葉  ~出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

  こんな解釈がウィキペディアには載っているが、こういう使われ方をするようになったのはつい最近で、それまでは「反日感情」という言葉がちゃんと使われていた。
それが、例えば反日感情を煽るような教育を「反日教育」、参加者の反日感情が強い行動を「反日行動」、反日感情を持つ国民が多い国を「反日国」と呼ぶようになり、結果、「反日」という、まるで日本に敵対することだけを目的にしている人物・組織・国家が存在するかのような使われ方をするようになったのだ。

   勿論、これは間違いで、そもそも正しくは「反日感情」という言葉なのだから、単に日本に対する好き嫌いの“個人的な感情”の問題に過ぎない。

  ところが、今の日本はこの本来は“個人的な感情”に過ぎない「反日」、あるいはその逆を意味する「親日」だけで、国家を区別し、外交も経済も判断する。
確かに「仮想敵国」という言葉があるように、経済的、軍事的な利益が相反する国家というのは存在する。ただ、それは相手の国との間にある好きとか嫌い、「反日」や「親日」といった“感情”が理由ではないし、そんな“感情”だけで動いている国などないのだ。

    事実、トランプは中国に対して矢継ぎ早に関税引き上げなどの制裁措置を繰り出しているが、これは米国の企業や市場を守る為であり、米国の利益の為。
根本的には米国が中国と経済的、軍事的覇権を争っているからだし、中国が米国が嫌いな「反米」だからだとか、米国が中国が嫌いな「反中」だからではない。

  それに対して安倍政権が行った韓国への制裁措置は半導体の原材料を輸出しないということで、日本の企業や製品を守る為ではないし、逆に輸出出来なくなって困るだけ。それでも韓国の企業や韓国政府が困ればいい、という単なる嫌がらせ。
トランプの対中制裁と違って、日本には経済的、軍事的利益もないし、そもそも日韓は米国を介して事実上の軍事同盟国で仮想敵国ですらない。
そこにはそれこそ韓国が日本が嫌いな「反日」だからとか、日本が韓国が嫌いな「嫌韓」だからといった理由しか存在しないのだ。

   こんな“感情”だけで外交や経済政策が行われ、“感情”だけで動く国家というのは本来ならばあり得ないのだが、その“感情”だけの政治こそが、今の日本、安倍政権の特徴であり、最大の欠点と言っても過言ではない。

   何よりこの安倍政権の“感情”だけの政治には、国としての経済的、軍事的、外交的な利益は何一つとしてない。ただ、国民大衆を煽動することによって自らの支持率を上昇させ、政権を維持するだけ。正に大衆を利用するという意味でのポピュリズムそのものなのだ。

   そして勿論、その安倍政権の“感情”だけの政治は、「反日」という言葉が人種差別やヘイトと表裏一体であるように、人間の劣悪な感情に訴えかけ、それを動かしている悪しきポピュズリズムなのは言うまでもないだろう。

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