安倍

「政治」を壊した安倍の2399日

    私がこのnotoに初めて投稿したのが「安倍晋三という独裁者」という一文だったのだが、つい先日もこういった内容のツイートを投稿させて貰った。

   長期政権が徐々に権力を増して独裁化するという話はよくあるが、安倍の場合は全く違って、そもそも最初から「独裁」を目指した政権だったのだ。

   振り返れば、安倍は12年前、2007年9月26日に自らの無能さから、小泉に禅譲された政権をたった一年で放り出す破目になる。
その直接の理由は参院選での大敗北だった訳だが、その敗北に至った原因は、閣僚の不祥事などをマスコミが厳しく追及したことによる「辞任ドミノ」だし、何でもかんでも強行採決で突破するような強引な政権運営に対する官僚による離反、とくに、人事管理のあり方と再就職規制問題を一方的に強化し、さらには能力・実績主義を押し付ける「国家公務員制度改革基本法」への官僚の反発が強かったのが一番の要因。

   つまり、安倍は自分に従わない「マスコミ」と「官僚」のせいで選挙に負け、それこそ下痢ピー状態で政権の座を追われることになった訳で、そこから何を教訓として学んだかも明らかだろう。

   勿論、安倍の総理大臣としての無能さは証明済みの訳だから、普通はそのまま政界引退となっていく訳だが、安倍はまだ年齢が若かったことと、小泉のお陰で一強となっていた派閥内に有力候補がいなかったこと。
そして、拉致問題などを通じて急速に勢力を拡大しつつあった「日本会議」という極右勢力の後ろ楯を得たこと。
更に「民主党政権の崩壊」という天から舞い降りた幸運(国民には悪運だが…)によって、2012年12月26日に政権の座に返り咲くことになる。

    そして、2013年10月の国会には内閣法の改正案を提出。2014年5月には各省庁の幹部人事を官邸が一手に握る「内閣人事局」を誕生させる。

   この「内閣人事局」によって首相官邸が人事を握ったことによる弊害は自らも官僚であった前川氏による、この映画「新聞記者」でも流された座談会での発言を見て貰うのが一番だが、これで第一次安倍政権が崩壊する要因になった「官僚」の離反は完全に封じ込めたといっていいだろう。

  そして、もう一つは「マスコミ」対策。こちらもほぼ同時期、2013年の10月25日にはNHKの経営委員会に作家の百田尚樹と評論家の長谷川三千子という、日本会議に通じる極右のお仲間、二人を委員として押し込む。そして2014年1月25日には自らの支援者であり、こちらも極右の財界人、JR東海の葛西会長の推薦で籾井勝人をNHKの会長に就任させる。これで官僚と同じくNHKでの人事も安倍の首相官邸が全て握ったと言っていいだろう。

   マスコミ対策はそれだげはない。2015年の『週刊ポスト』5月8・15日号によれば、安倍首相は2013年1月7日から15年4月6日までだけで、計50回、高級飲食店でテレビ局や新聞社の幹部と会食しているというのだ。

  首相と会食する主なメンバーは、田崎史郎(時事通信解説委員)、島田敏男(NHK解説副委員長)、岩田明子(NHK解説委員)、曽我豪(朝日新聞編集委員)、山田孝男(毎日新聞特別編集委員)、小田尚(読賣新聞論説主幹)、石川一郎(日本経済新聞常務)、粕谷賢之(日本テレビメディア戦略局長)、阿比留瑠比(産経新聞編集委員)、末延吉正(元テレビ朝日政治部長)などで、例えば、2013年12月16日(月)、永田町山王パークタワーの高級中華料理店「溜池山王聘珍樓」で会食したのは、田崎史郎、山田孝男、曽我豪の3氏。翌2014年12月16日(火)、西新橋の「しまだ鮨」には、前年の同じ日に会食した先の3氏に加え、小田尚、石川一郎、島田敏男、粕谷賢之の4氏が参加した。2015年6月24日には、ほぼ同じメンバーで、胡麻ダレ鯛茶漬けの始祖の銀座「あさみ」で会食している。

     この所謂、“安倍の寿司友”というマスコミへの饗応だけではなく、実は異常に多い安倍の外遊も同行記者団ということで、マスコミ各社の記者が一緒にタダで外国旅行にいける訳で、その目的の一つはこちらも税金を使ったマスコミへの饗応と言っても過言ではない。

    その一方で「飴と鞭」、マスコミへの恫喝も忘れてはいない。

この2014年の選挙の時だけではなく、官邸からの恫喝や圧力は強まるばかりなのは誰でも知っていること。

 こうして「マスコミ」も、人事を握られた「官僚」と同じく安倍に一切逆らえない存在となった訳だが、それだけではない。

2013年8月8日には安保法制に関連して小松一郎フランス大使という、司法経験の全くない人間を“憲法の番人”とも言われる内閣法制局長官に押し込むという人事も行っている。

   司法でも、安倍官邸とも深いつながりがあり、あの甘利を不起訴にした張本人の黒川弘務を法務省の事務次官にすえたが、更に今度は検察のトップ検事総長にしようともしているらしい。

     また、このnoteでも書いたが、最高裁長官や最高裁判事の人事でも慣例をやぶるような意図的な人事が行われ、遂には最高裁判事15人全員が安倍が選んだ人間という事態に陥っている。

     安倍による支配は検察、裁判所だけではない。

   この事件で名前が知られるようになった警察官僚の中村格は現在、警察庁官房長に出世。警察庁長官への昇格も噂されているらしい。

   国会の衆参両院で2/3を超える圧倒的多数を握っているだけではなく、司法も自らの配下で固め、「官僚」や「マスコミ」も牛耳る…これこそが独裁ということだし、二度目の安倍政権が誕生した瞬間から今までずっと行われて来た安倍の政治そのものなのだ。

  さらに言えば、モリカケ問題や財務省の文書改竄問題、勤労統計の不正などの問題でこりたせいで、安倍は公文書をつくらない、官僚に記録をさせないということまでし始めている。

  官僚、公務員のもっとも重要な仕事は文書を作り、それを保管すること。例えば民事訴訟などでは公務員が職務上作成した文書だけは正しい、真正に成立した公文書と推定するなど、その重みははかり知れない。そもそもこういった法令なども含めた公文書に基づいて世を治める「文治政治」こそが政治の基本。

   これすらも止めてしまった安倍の政治は独裁というだけではなく、もはや政治ですらないのだ。

  この安倍の政治ですらない独裁が始まって、今度の日曜日で2399日…そう、その日は参議院選挙の投票日でもある。この日で安倍が壊した、この国の政治を立て直すきっかけを得ることが出来るのか、それともそのまま政治が壊れたこの“安倍の国”が翌日も、2400日以上も続いていくのか、その大きな分岐点に私たち国民は立たされていることを忘れてはいけない。

                                                                                 

                                                                           ※Phot by 首相官邸HP

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