見出し画像

「経済」を壊した安倍の2385日

  参議院選挙を目前にして、安倍が胸を張るような数字が発表された。

  選挙戦の演説でも、早速、この数字を使って“アベノミクスで強い経済が実現された”と強調。問題になった年金もこの“強い経済を持続させれば解決出来る”とまで言い出している。

  これは本当だろうか?

勿論、嘘だ。
上の記事にもある通り、これまで59.9兆円と見込んでいたが、所得税が約4000億円上振れしたのがこの史上最高の税収の最大の要因だが、この額は単にソフトバンクグループが子会社の上場で受け取った多額の配当で税収を約4000億円押し上げただけ。つまり、神風が吹いただけで、ロイターもこれから税収が増えていくような部分、「土台増はゼロ」と酷評している。

   それどころか、安倍は絶対に触れないが、本当はもっと重要な数字も同時期に公表されている。

 厚生労働省の「国民生活基礎調査」で、私たち国民の1世帯当たりの平均所得が2016年から8万6000円(-1.5%)も減少。2017年は551万円6000円となり、「生活が苦しい」と訴える人も57%と2%近くも上昇したのだ。

特に子供がいる世帯では6割以上が「生活が苦しい」と答えているのだから、これは重大事と言っていいし、そもそもこの「平均所得551万円6000円」という数字さえも、ごく少数の高額所得者によって押し上げられた統計のマジックに過ぎない。

    実際、平均所得以下の世帯が6割を超えるし、中央値で423万円、数が最も多い最多層の世帯の所得は300万円以下に過ぎないのだ。  

それもその筈で、安倍はアベノミスクの成果を強調するが、現実には私たちの平均所得はほとんど伸びていないし、物価を考慮した実質賃金ではもっと悲惨なことになる。

 過去20年間、世界各国はリーマンショックなどの落ち込みはあったものの実質賃金を順調に伸ばしているのに日本だけが下落。時給だけを見ても日本は9%減少と主要国で唯一のマイナス。アベノミクスが始まってからも実際の賃金は一向に上がっていないのがよく判る。

それだけではない。逆進性があって所得の低い庶民ほど負担の思い消費税が20年前に比べて13兆も増えたのに、累進性のある所得税や法人税は12兆円も減っている。また介護保険料が10年前に比べて45%急増したり、健康保険の保険料などの社会保険負担も増加している。

  つまり、私たち多くの国民は賃金も上がらず、税金や社会保険などの負担ばかりが増えている訳で、日々、生活が苦しくなっているのが実状。

  事実、安倍政権のアベノミクスで成果と言えるのは、「株価の上昇」「失業率の改善」しかない。   
ただ、その株価もリーマンショック後の世界の急激な経済成長とアベノミクスによる円安誘導でもたらされたもの。下のグラフで見れば判る通り、ドル建てでみれば株価は倍になどなっていないのだ。

「失業率の改善」についても、下の図を見れば一目瞭然。

2015年頃から人口の最も多かった団塊世代が大量に退職し、その子供たちはロスジェネ世代で非正規のまま。今の新卒の世代はロスジェネ世代の半分しかいないのだから、内定率が高いのも、失業率が低いのもアベノミクスのお蔭でも何でもなく当たり前なのだ。

   結局、安倍の経済政策、アベノミクスとは何かと言えば、それを一番よく表しているのがこの絵。

   金融政策による「円安誘導」と日銀や私たちの年金GPIFなどの資金まで注ぎ込んだ「株高政策」こそがアベノミクスという安倍の経済政策の本質だし、それは大企業と富裕層を豊かにしただけなのだ。

    大企業と富裕層だけが豊かになっても、多くの国民が貧しくなれば国の経済は成長などしない。

日本の国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費は低迷したままだし、上のグラフで判るようにGDP世界第三位と言いながらも、米国や中国の経済成長においていかれているだけ。
国際通貨基金(IMF)による最新の世界経済見通しでも、日本は19年に実質GDP成長率が1.0%、20年に0.5%と先進国中最下位でしかないのだ。

   安倍が政権に返り咲いてから今日7月7日で2385日。その安倍のアベノミクスとかいう経済政策はただ格差と貧困を拡大しただけ。
更に株価維持の為に年金GPIFの資金を大量に注ぎ込んで昨年末には大損失を出しているし、日銀は株を買い過ぎてユニクロなど多くの企業で事実上の大株主になる異常事態まで招いている。

   そう、安倍はこの国の「経済」をその土台から壊してしまったことを私たちは知るべきだし、それを知らないまま「経済の安倍」などという言葉に言葉に騙されて、選挙に臨んでしまっては取り返しのつかない過ちを冒してしまうのだから。

※Phot by 首相官邸HP

twitterやYouTube「日本国黄帝チャネル」では言えなかったこと、言い足りなかったこと、ニュースや様々な事柄をTVや新聞は決して伝えない視点で発信していきますので、あなたの考えるヒントになれば幸いです。