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「司法」を壊した安倍の2375日

  先日、最高裁が地裁、高裁の判断を覆し、異例の「再審決定取消」を行った。

   私もこうツイートしたが、この「大崎事件」では何と3回も再審開始の決定が出されているのに、それを無視して再審決定を取り消したのだから、これは1975年5月20日の「白鳥事件」の再審請求の時に最高裁で出された判断「再審請求においても『疑わしいときは被告人の利益に』という刑事裁判の大原則が適用される」という「白鳥決定」を事実上、破棄したとんでもない判決というしかないし、以降は被告が絶対に犯人ではなかったケース、それこそ真犯人が名乗り出たというような場合でもない限り、再審は行わないという決定に過ぎない。

何より驚きだったのは、この決定が検察上がりの裁判長・池上政幸だけではなく、小池裕・山口厚・深山卓也・木澤克之の最高裁判事5人の「全員一致」による判断だったこと。

   そんな中で、もっとも注目して貰いたいのは、今回のとんでもない決定を下した5人、そして大谷直人最高裁長官を含めた最高裁判事15人が全員、安倍内閣が指名し、天皇が認証した点、つまり安倍首相が選んだ人物だということなのだ。

     
 最高裁判事は内閣の指名、つまり首相が選ぶことにはなってはいるが、公平性を保つ意味もあって、「裁判官出身6名・弁護士出身4名・検察官出身2名・行政官出身2名・法学者出身1名」という振り分けが慣例になっている。その結果、それぞれの出身の最高裁判事が退官した場合は、日弁連とか検察とか法務省とかがそれぞれ次の判事を推薦することになっているので、首相はそれを追認するだけ……これが今までの最高裁人事だったのだ。

(勿論、それでも「裁判官出身6名・検察官出身2名・行政官出身2名」の10名は事実上、“司法官僚“と呼ばれる同じ立場の人間なので、最終的には最高裁は国や政府に有利な判断をする仕組みにはなっているのだが、その辺りのことはここノートのマガジンでも書いているので、興味のある方はご一読下さい)

 ところが、安倍内閣はこの慣例を破ったのだ。

   詳しくは上の記事を読んで貰えば判るが、弁護士の大橋正春最高裁判事が退官したのに、安倍は日弁連が出した推薦名簿を無視。後任に何と弁護士ではなく、元々は学者で弁護士登録をしてまだわずか一カ月という山口厚を指名したのだ。

   これでそれでなくても4名と少ない弁護士出身者が3名になった訳だし、弁護士出身の判事ならば絶対に賛成出来る筈もない今回の再審請求の取り消しの判断でも、実は弁護士でも何でもない山口厚最高裁判事だからこそ取り消しに賛成するようなことになったのだろう。

   さらに、彼のとんでもない判断は今回の再審請求だけではない。

   これなどは正に安倍が小躍りして喜ぶ判決だし、慣例を無視してまで自分を最高裁判事に取り立ててくれた安倍に対する恩返しのような判決と言っていいだろう。

  そして、もう一人。今回の再審決定取り消しの判断に賛成した弁護士がいる。これが木澤克之最高裁判事。

 この人物も勿論、安倍が3年前に指名した最高裁判事だが、加計理事長と同級生の上に加計学園の元幹部で、本人も安倍とゴルフをしたことがあるとなっては、もはや誰の為の最高裁判事なのかは明らかだろう。

   勿論、今回の「再審決定取り消し」という最高裁の判断そのものが安倍の命令などということはあり得ない。

ただ、安倍が自分と思想信条が違ったり、大嫌いな人間…つまり人権を重視するリベラルな考えの人間を最高裁判事に選ぶ筈がなく、最高裁判事全員が安倍が選んだ人間である以上、彼ら全員が今回の判決のように平気で国民の人権を無視するような裁判官であるのも明らかだろう。

   安倍が首相に返り咲いてから6年半、今日6月27日で2375日……これだけの長期政権の間に最高裁の裁判官15人が全員、安倍が選んだ人間になってしまっている、という恐ろしい現実は私たち国民はよく知っておくべき。

 安倍は「内閣の長」であり、自民党総裁として数の上では「国会の長」であり、その上、事実上の「司法の長」でもあるとしたら、それはもはや完全な独裁者でしかないのだから。

               ※Phot by 首相官邸HP

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