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ネットで話題となってる「チュチェ思想(主体思想)」は中国の日本侵略裏工作なのか?!それとも…。

TwitterやYouTubeで沖縄や北海道の政治ネタを漁ると「チュチェ思想」なるものを見た事がある人は少なくないだろう。

このチュチェ思想を沖縄の琉球民族や北海道のアイヌ民族で先住民族活動をしている人に浸透させて独立・日本分断を計画していると一部の保守層が信じている。

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しかし、筆者も立場・主張・思想が保守と自認しているが、私はそのような陰謀論を信じる気は全く無いし、信じられない理由があるので、それらを話したいと思う。

主体(チュチェ)思想とは

「主体(チュチェ)」は、哲学およびマルクス主義の用語「主体」を朝鮮語に変換したもので、さらに北朝鮮では「自主独立」や「自立精神」を意味する場合も多い。主体思想は「常に朝鮮の事を最初に置く」との意味でも使われている。金日成は、主体思想は「人間が全ての事の主人であり、全てを決める」という信念を基礎としている、とした。

金日成が1955年12月28日にした演説で「思想的研究における教条主義および形式主義の除去と「主体(チュチェ)」の構築」」と言ったのが、チュチェ思想の始まりとされており、それまでの北朝鮮はソビエト連邦から思想等を真似ていたが、ソビエト連邦で巻き起こっていたスターリン批判が北朝鮮国内にも波及する事を恐れて作ったものとも言われている。(※一説では金日成が1930年代の18歳の頃の演説にチュチェ思想に言及されたとされているが、資料も無く海外では信憑性が無いとされている。)

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中ソ対立の中、北朝鮮は1972年の憲法改正でチュチェ思想を公式な国家思想としてマルクス・レーニン主義と置き換えて、チュチェ思想は全てのスターリン主義国家を継承する、計画的な位置づけであると説明した。

これだけ見ると危ない思想に思えるだろうし、その点は筆者も同意をするが、何故この北朝鮮の政治思想「チュチェ思想」を中国が日本に浸透させて日本分断を図る裏工作をしてる、というファンタジーになるのか。

民族自決とリンクする

チュチェ思想の説明の冒頭で記載した一部に「北朝鮮では「自主独立」や「自立精神」を意味する場合も多い。」とあるように、チュチェ思想というのは民族自決権を有さない民族または先住民にとって良い考えになる。

では何故、チュチェ思想に自主独立や自立精神の意味が込められているのかと言うと、金日成がとても影響を受けたと言われる「朝鮮民族主義歴史学」が関係している。

「朝鮮民族主義歴史学」を簡単に説明すると、全てを朝鮮民族中心に考えるもので、日本の朝鮮半島統治を植民地支配と言ったり、対馬や竹島を自国の領土と言ったりするのは全て朝鮮民族主義歴史学から来るもの。桜や剣道なども韓国起源とか言うのも、これから来ているトンデモ歴史学。

この朝鮮民族主義歴史学は日本統治時代の1914年に、申采浩(シンサイコウ)という人物が満州で高句麗、渤海を遺跡調査してから提唱し始めたと言われている。

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日清戦争まで続いた中国王朝の冊封体制下からやっと清国から独立したと思いきや儒教まみれの李氏王族や上級階級らの事大保守により、親露派となり腐敗・搾取され結果、日本に安全保障上の観点から併合された事で「腐敗したのは中国からもたらされた儒教のせい」「日本は古事記、日本書紀に基づいて、スサノオや神武天皇の兄弟や神功皇后という伝説的な人物が新羅を支配したから植民地史観だ」と、儒教的歴史学と日本の植民地的学問の両方に不満を感じ、同じ時代の朝鮮人は「奴隷精神」があると思い、朝鮮人による真の独立を抗日運動にて訴えるようになる。

そして朝鮮民族主義歴史学は開化派である李承晩や多くの朝鮮人に影響を与え、終戦後、暴力的な抗日運動を展開していた朝鮮人は北に穏健派の李承晩は南となった。

このように朝鮮民族の独立に強く関係している朝鮮民族主義歴史学に強い影響を受けた金日成が創った、チュチェ思想には独立精神などの意味が込められている。

余談だが、竹島と対馬に関して、申采浩(シンサイコウ)と交友のあり、朝鮮民族主義歴史学の研究者であり提唱者でもあった崔南善(チェナムソン)が関係している。

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竹島は李承晩ラインを引く際、韓国政府の兪鎮午(ユチンゴ)が、崔南善に「歴史的に見て自国の領土と言える島はあるか?」とに尋ね、竹島が自国領として確信できる程度の説明を受けただけ。また、対馬は倭寇に囚われた同胞を対馬に上陸して救ったから、というのが根拠でる。

チュチェ思想浸透工作が中国の理由

中国がチュチェ思想を日本人に浸透させて分断工作を仕掛けているという確固たる証拠は当然ながら無い。

理屈として、戦時中も北朝鮮を操っていたのは中国だからと言うみたいだが、それは間違いで、戦時中に中国を操っていたのはスターリンであり、中国共産党はスターリンの指導・指示を受けて朝鮮人を操っているのは歴史的資料を見ても明らかである。

つまり、中国がチュチェ思想を日本人に浸透させて日本分断を工作していると言うのは、こじ付けであり、陰謀論。

歴史を知らない人や、あまり歴史が詳しくない人が理由を聞けば納得するかも知れないが、他国民に思想を植え付け分断工作を図るという大国家戦略が、いちジャーナリストにバレるというのは北朝鮮の工作も中国の工作もポンコツ過ぎる。笑

どこがチュチェ思想を広めている?

日本に主体(チュチェ)思想研究会なるものがあるみたいだが、調べてみたところ研究会以外にも主体(チュチェ)思想を広めていた団体がある!

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まさか…と思ってページを見たら、しっかり「日本こそ、主体思想を!」と書いてあり、まさか保守を自称する宗教団体が主体(チュチェ)思想を広めていたとは…。

ん?まてよ…たしか…。

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チュチェ思想から国民を守る会の仲村覚は確か…

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元幸福信者だったのか、道理で主体(チュチェ)思想に詳しい訳だ。笑

確かに主体(チュチェ)思想は危ないとは思うが、中国がチュチェ思想を日本人に浸透させて分断工作を仕掛けている、というトンデモ話を信じてお金を落としてはいけない。

そもそも元北海道議員の小野寺まさるの北海道中国侵略ネタは全てデマ・印象操作が確定している。気になる方は他の私のnote記事をご覧になって欲しい。

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