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単独親権か共同親権かの議論について

シングルマザーと同居してる恋人による虐待死、船戸結愛ちゃんのように母親の再婚相手による虐待死など、子供が亡くなった事件が報道される毎にSNS上では単独親権か共同親権の議論が過熱します。

ただ、これらは母親に限った話ではなく過去に神奈川県厚木市内で当時5歳だった理玖(りく)君が衰弱死して白骨化した状態で見つかった事件を忘れてはいけません。この事件は父親が交際相手の女性に現を抜かし、理玖(りく)君に十分な食事を与えなかった事が原因です。

日本は多くの諸外国が「共同親権」としている中で「単独親権」としていて、この「単独親権」というものが、親権者の”勘違い”を生んでいると私は考えています。一度、親権者となってしまえば、他人から干渉されずに子を養育する権利を得て、自分の保護下で子を育てることができる”天上天下唯我独尊の無双モード”になります。

中には「この子の親なんだから」と言ってお互い話し合って養育するケースもあると思いますが、それは稀でしょう。多くが”天上天下唯我独尊の無双モード”で、その多くは女性です。(事実、親権が母親に認められるケースが多いため)
面会交流では2時間しか会わせなかったり、自分は好きな男と会っているのに色んな理由を付けては子供に会わせなかったり、中には養育費を貰っているのに子供には全く会わせず養育費の支払いが止まったら差押えをする親もいるそうです。

「親権」について

まず、単独親権が良いのか共同親権が良いのかの議論の前に「親権」について見返してみよう。

親権とは、成年に達しない子の父母のもつその子に対する身分上および財産上の権利・義務の総称。未成年の子に対し親権を行う者を親権者という。

このように「親権」には、身分上と財産上の二つの権利を有しているのが分かります、身分上は「身上監護権」で、財産上は「財産管理権」になります。単独親権か共同親権かの議論で重要なのは「身上監護権」になるので、そちらを細かく見てみましょう。

「身上監護権」

一般的な意味での親権を指すもので、子供を監護し、成育するまで保護下に置きます。時には子供のために必要な懲戒(しつけ)をします。また、子供を代理して一定の身分行為をする権利が与えられています。それらの権利がどのようなものか見てみましょう。

監護教育権(民法 第八百二十条)
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
居所指定権(民法 第八百二十一条)
子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。
懲戒権(民法 第八百二十二条)
親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。
職業許可権(民法 第八百二十三条)
子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
2  親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
身分行為の代理権
子が幼いと身分行為について判断能力を持っていないので、次の身分行為は法定代理人である親権者の代理を認めています。
● 嫡出否認の訴えの被告になること
● 認知の訴えの提起
● 15歳未満の子がする子の氏の変更許可審判の申立て
● 15歳未満の子がする縁組の代諾
● 未成年が養親の場合の縁組の取消し
● 15歳未満の子がする協議離縁(ただし親権者になるべき者として)
● 15歳未満の子がする離縁の訴えの提起
● 相続の承認または放棄

ざっと見た感じで言うと、単独親権か共同親権かの議論で最も重要なのは「監護教育権(民法 第八百二十条)」にある監護の部分でしょう。
この監護には教育も含まれると見られることもあるみたいですが「監護及び教育」と条文でも分けているので、そこは明確に切り離すべきだと思います。

この監護を親権者だけにしているために、面会交流の問題や、交際相手・再婚相手の虐待があっても保護できない等の問題が起きるので、離婚しても子供の監護は共同にして、離婚後に子供を監護しないのであれば離婚届で選択をするようにするのが、一番早く現状を変えられると私は思います。

単独親権か共同親権のどちらかかと聞かれれば私は共同親権派ですが、現状の単独親権から共同親権に変えるには、物凄くハードルが高く、国会でもなかなか話は進まないと思います。

監護を離婚をした後も基本共同にすれば、子供にもきちんと会えるので自然と面会交流の問題も無くなりますし、きちんと養育費を払わないといけないと責任感も出てくるでしょう。

首都大学東京教授の木村草太さんは単独親権派みたいで、共同親権派の人達とTwitter上で議論をしているみたいですが、政治思想が左派・リベラルの人が共同親権ではなく単独親権なんて、ちょっと笑えます。

それに、下のTwitter内容の「子ども本人の意思を最重要視」と言ってますが、大好きなパパ(ママ)に会いたいと子供が思っても、親権者が疲れてるから嫌だなぁとか、顔を合わせるのも嫌!とか気分で会わせない親がいる現状を知って欲しいですし、子供からしたら離婚して欲しくない!でしょう。
だから単独親権や共同親権の議論において「子ども本人の意思を最重要視」なんてフレーズを出すと議論が拗れるだけで絶対に出してはいけないんです。

なお、第ニ弾として日本国士の本サイトで記事を公開しましたので、ご覧になってみてください。


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