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アメリカの多言語対応  あと一息!編

                             松井ゆかり

前編は優良編でしたが、今回はあと一息編。リンクを張ってありますので、読者の皆さんはぜひ日本語を選んで、日本国内で不思議な英語を読む外国人の方々の気持ちを疑似体験してみて下さい。

ニューヨーク市保健局 コロナ対応

さて、前編の国勢調査ほど予算もなく、リソースが限られている場合はどうなっているのか?米国の中でも一番多様性に富んでいると思われるニューヨーク市のコロナ対策に忙しいNYC Department of Health and Mental Hygiene。

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画面右上(赤丸)で言語が選択でき、日本語を選ぶと、Google翻訳のアイコン(画面左上 赤楕円)が現れました。(前編の国勢調査やハワイ州の場合は、日本語を選んでもリンクで飛んだ先のページに同様のアイコンは現れなかった。どうやら前の2例とは仕組みがちがう?)

冒頭のメニューバー、「約」?(一番小さい赤丸) これは「About」(担当部門の説明)でした。いろいろなリンクを辿ってお散歩しながら日本語を見ていると、笑えたり、残念な日本語発生率高し!そしてこんな言い訳もあり、いずこも同じ。。。

言い訳

たどり着いた一例、概要はわかるけど、日本語はなかなか微妙。

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例えば、「助ける方法」→「協力方法」、「健康と感情的な幸福」→「精神的」の事ね?「食物」→「食料・食費 支援」。このあたりは序の口。

「メリットの画面」→これは応用問題! メリット→補助金等の受給資格、画面→スクリーン(名詞は画面だが、動詞の場合、選抜するという意味)、つまり「補助金等の受給資格の審査!」。「家庭内暴力の生存者」(半殺しにされないと相談できないの?)→「被害者」。「失業にサインアップします」(なんだか楽しそう)→「失業届の提出方法」等。あと一息!の日本語

しかし、同時に自動翻訳は素晴しい助っ人になる事も実感。膨大な情報の概略を、さらっと把握するには有用だ、ゼロよりあった方が良い。ただ、せっかく使うなら、あと一息!一度だけでもネイティブが見直せば、プロ並みにするのは無理でも、明らかな間違いは防げ、質も向上する見直す労力も、コストも一から全訳に比べれば格段に楽なはず。惜しい!あと一息頑張って欲しい。

訂正依頼を担当窓口に伝えようか?と思う一方、コロナ対策でそれどころでない保健局、在留邦人も日系人も「難民です!」とか「義務教育受けてないのでアルファベットわからない」なんて人はまずいない。みんなマスクして、清潔に、お行儀よく暮らしている日系住民への日本語サービスの優先順位は相当低いだろう。

う~ん。自分が見たページについては訂正後の提案を入れ、プロ並みは無理でも日本語のプルーフリードができるボランティアが必要なら、このようなところで募集してみてはと改善策も提案する事を考えた。

一方で、自分がコロナ関連情報を日本語で入手する際はどうするか考えた。ナンバー1は在ニューヨーク日本国総領事館!在留届と共にE-mailを登録すれば、コロナ関連情報が毎日、日本語で送られて来る(→愛読中)。暴動や災害に関しての注意喚起メールも来る。HPにも詳細な情報が日本語で網羅されている。あとはケーブルテレビの邦人向け日本語放送。いずれも出典は各自治体のHPや記者会見とされている。情報源は同じだが、こちらの日本語の方がはるかに信頼がおけるので、大多数の人はGoogle翻訳の不思議な日本語などあてにもしていないのである。だから皆特にクレームもしないのではと思った。

この翻訳ページを頼りにするのは、失業届を出したい、食費援助や、社会保障が必要等のニーズがあり本当に困っている人である。そのような届出に日本語訳を付けるのであれば、誤訳では困る。本来なら認められる受給資格が認定されない等不利益を被る可能性ある。そんな重要な手続きの日本語説明に不安を感じたら、多くの人は多少難しくても原文の英語を読むのではないか?それなら、変な日本語より簡単な英語での指示の方が役に立つかもと思った。

                         (2020年11月02日)

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