見出し画像

Let'sの好きな日本人

加 藤 麻 子

なぜ日本人はLet's が好きなのか?

先日「日本の英語を考える会」のメンバーであるロッシェル・カップさんが、彼女の人気ツイッターでこうつぶやいた。「なぜ日本ではLet's をつけたがるのでしょうか?」

画像1

ちょっと心当たりのあった私は、思いつくままにその理由(持論)を3つほどあげたところ、ロッシェルさんもフォロワーさん達も妙に納得してくれた。

画像2
画像3

上の画像は2020年11月17日のロッシェルさんのツイート投稿。下の画像は英語ネイティブ(英語話者)から見たイメージである。(Google翻訳)

このポスターは英語話者から見ると「お帰りなさい、福岡さん」と、まるで福岡が OUT OF TOWN (よその街に出かけて留守)だったみたいに聞こえるので、かなり面白い。

正しくは、WELCOME BACK "TO" FUKUOKA である。"TO"を入れるか入れないかでこんなに意味が変わるのだ。「お帰りなさい、福岡へ。」

そして、問題のLet's Enjoy Your Ride.

これは、世界的に有名なクルーザー型オートバイの広告である。ロッシェルさんの指摘通り、単純にEnjoy Your Ride. (楽しく乗ってください)とすればスッキリとカッコ良く聞こえるのだが、なぜかLet'sをつけてしまう。

日本人がLet'sをつけたがる理由

私の持論はこうだ。日本人がLet'sをつけたがる理由は主に3つあると思う。

1. 中学の英語の最初の授業で「〜しましょう」は 「Let's + 動詞の原形」と刷り込まれる。

2. Enjoy! といった命令文は、あなたに「命令する」ので失礼だと思い、Let's を入れると丁寧になると信じている。

3. Let's enjoy. は Let us enjoy. の省略形で、「私たちと一緒に楽しみましょう」つまり、あなたを私たちの仲間に入れてあげるのでオモテナシの心が表現できていると勘違いしている。

もう一つ挙げるとすると、最近の流行り言葉で「レッツ二次会」とか「レッツ居酒屋」といった和製英語を使うために、レッツで始まる文章に違和感がない。町興しのキャッチフレーズにも「レッツテイクアウト佐倉」(千葉県佐倉市のテイクアウト可能なレストラン。英語では、佐倉市をもって行かれそうな響き!)や、「レッツ岐阜」(岐阜県の情報ポータルサイト)、「レッツエンジョイ東京」(東京のイベント情報サイト)など、身近にレッツが溢れているのも一因かもしれない。

英語話者は、上記のポスターに Let's を使うのは、とても不自然に感じるという。加えて、訴求対象がマッチョな男性であることを考えると、極めて不自然だ。Let'sに代わる気の利いた英語表現を、広告代理店のコピーライターに学んでいただくのが早道かもしれない。

(2020年11月25日)




画像4

#変な英語 #英語学習 #英語教育
#日本の英語教育を考える
#機械翻訳 #和製英語
#英語翻訳
#ネイティブチェック
#広告代理店 #コピーライティング

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?