ブラック企業経営再建_001

【寄稿】つぶれかけブラック企業経営再建思考実験~買収から売却まで~

こんにちは、こんばんは、ごきげんよう         
ビジネス系実用同人サークル「副業出版」代表の竜崎です。
noteではスモールビジネス情報を主に発信してまいります。

今回の記事は、会社の事業の1つを自分のものにした宮本氏が、「もし会社自体を買収していてたら・・・?」という仮説に基づいた記事です。

個人がどうやって会社を買収するかについて考察されています。あくまで宮本氏の思考実験ですので、本当に買収するのであれば、買収についての深い知識や本書のアレンジが必要となります。

しかし、「自分には買収と縁がないから」と思うような方でも、ある程度は自分でもできそうだと思わせてくれるため、買収についての入門編としてはとても良い本です。

後編からが有料の記事です。
本記事のpdf書籍も以下のサイトで販売しています。
【副業出版 ホームページ】
https://sideline-publisher.jimdofree.com/%E5%AE%AE%E6%9C%AC%E3%81%97%E3%81%92%E3%82%8B/

目次

著者紹介

1. 売られた名誉と、ネタにする権利
2. もしもあの時この会社ごと買っていたら
3. クソ共相手のデューデリジェンス
4. 屈辱のゴールデンパラシュートと、経営権の譲渡
5. 卑怯者の経営再建
6. 持たない経営と、アウトソーシング
7. 売りやすくなったら、イグジット
8. 終わりに

注意!
この作品の買収の部分は、あくまでも著者の思考実験です。
実際に実行したわけではないので、実際に行おうとすればいろいろ違う部分があると思います。

著者の紹介

宮本しげる
高校卒業後、フリーター、非正規、派遣、ブラック企業、ニート、フリーランスなどを渡り歩く、下流ソムリエ。
アパートに食べ物がなかったので、実家に帰り弟のカップ麺とアイスを盗み食いして追い出された35歳児。
現在地方で給料の高い工場で契約社員をしつつ、副業で復業のフリーランス。
既婚で1女の父。(2018年時点)
詳しい経歴は、自著「超絶ブラック企業体験・脱出記」に記載。

【ネット出版社「副業出版」 著者ページ】
https://sideline-publisher.jimdofree.com/%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E6%9B%B8%E7%B1%8D/%E5%AE%AE%E6%9C%AC%E3%81%97%E3%81%92%E3%82%8B/ 

【note 記事ページ】
https://note.mu/niigata_meisan/n/n25fc2c9cc80a 

1.売られた名誉と、ネタにする権利

ブラック企業の元社長としたこの最後のやり取りは、いつの事だったかもはや思い出す気もないが、内容は印象的だったのでよく憶えている。

「未払い給料の不足額、15000円を支払って欲しいのだけど。」
私がかけた電話に出た元社長は、
「法律ではらわなくていい事が決まった。払う気はない。」
の一点張りで、謝罪の言葉などなく、私のどんな提案にも聞く耳持たなかった。

勤めていた頃から、私の人生でトップを突っ走るほどのクソでカスな奴だったが、ここまでだとは思わなかった。
どうせ払う気はないのだろうから、15000円に代わるもので貰おうと思ったが、自己破産直後のこの人はたいしたものは持ってないだろうから、
「じゃあ、未払い給料の代わりにおたくの会社でのエピソードをネタにする権利をください」

これにはさすがに驚いたらしい。
はっと言いかけたのを電話口で確かにきいた。が、
「勝手にしろ」
と言われ、電話は切れた。

なるほど、この人にとって、自分の名誉は15000円よりも安いらしい。
未払い給料をもって料金は先払いしてあるし、使用制限のない定額使い放題なのだから、擦り切れるまで使わせていただく。

2.もしもあの時会社ごと買っていたら

せっかくなので簡単にこの会社の事を説明する。
リーマンショック後の派遣切りにより、勤め先の事業所が閉鎖したため、ハローワークで応募してこの会社に入った。

豆腐と油あげの製造や卸しをする、従業員10人ほどの食品会社だった。
仕事は製造と配達のみ。
株式会社ではない。
私に関しては給料は10万円を切る月も多く、休みがない時期が続いた。

食品会社とは思えない経営者の衛生観念で、数々のクレームを呼んだが、悪いのは従業員という感じで経営者は責任を転嫁した。
損するのは自分なのに。

この会社を辞めた人間はみんな、ここの商品は生涯不買を決意するほどのブラックぶり。
別件で心が弱っている人間をかばうことなく追い込み、自殺者も出したとの事。

設備投資という名の浪費と、クレームによる罰則金、元社長の意味不明な高給、そして何よりも無能な経営によって、二千万円の負債を抱えていた。(私が事業のひとつを乗っ取った時点の負債。詳しくは拙著「超絶ブラック企業体験・脱出記」に記載。ちなみに倒産時は5000万円。)

そんな会社で、私は、私1人に丸投げされて立ち上げた新規事業を乗っ取った。
(こんな経営者が相手だったから乗っ取った。そうでもなければ、乗っ取りなんかしない。私にも節度はある。)

買収や乗っ取りのやり方については、本を数冊読んだ程度だが、かなり簡単に乗っ取ることができた。
大変な勉強になったし、この頃の経験は今でも役立っている。

だけど、もし、この会社ごと乗っ取っていたらどうなっていただろう。

実際にここの経営者は、私以外の従業員が遅れた給料を請求すれば、
「じゃあお前が経営してみろ!いつでも売ってやるぞ!」
なんて逆切れしてたし。
(私については、本当に買収しかねないから、警戒されて言われなかった。)

会社を買収する交渉、経営を立て直す必要があるのでそのあたりを交えて考察してみる。

3.クソ共相手のデューデリジェンス

会社を買収するとなれば、一番重要なのは、その時点の本当の会社の価値や資産、つまり会社の不動産や現金や預金、持っているノウハウや得意先、現在の売り上げや利益、持っている設備などの資産と、会社の借入金やリース残高、従業員の人件費やリストラにかかる費用、運転にかかる経費を事細かに知らなくてはならない。

そのためにデューデリジェンス、いわゆる財務状況の調査が必要になる。
会社側から提出されるものが正直なら何の問題もなく次のステップに進めるのだが、私が勤めたこの会社の経営者がまともなものを提出するとは思えない。
というか、どこの会社も多少盛ると思う。

そこで、デューデリジェンスを行える会社などに依頼することになる。
専門家を通して財務を調査し、買収にいくらまでなら支払えるのかを決めておかなければならない。
ちなみに中小企業のデューデリジェンス料金は50~300万円らしい。
結構高いけど、隠れた借金があったりするので、これはしておいた方が良いと思う。

ただ、ここの経営者は公文書すら偽造しかねないので、事前に訴訟の手配と、提出される財務諸表が噓偽りないものであることとその罰則を記した公正証書を取り交わすべきである。

そんなこんなで、納得できるまで調査し、納得できないと思えば、買収自体取りやめた方がいい。

4.屈辱のゴールデンパラシュートと、経営権の譲渡

調査の結果が納得できるなら、次は

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