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第11章、第二都市(寮の3階、1番奥の部屋と二人部屋)ー2「この星の警戒レベルを、5に引き上げました。」


 太字の()は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
()の中の文字は、作者による注釈です。  

 この章では、ショッキングなシーンが登場します。
 前回と同様、登場人物たちの声や動作で表現しております。
 気の弱い方はご注意ください。大丈夫な方は想像してください。
 
 以前noteの方に、「noteの総ページ数が20ぺージを超えました」という題名で
「寮の機械室の下から、あるものが見つかり状況は一変します。」と書いたのですが、実際に一変するのはこの章から、のようです。

作者より





レベル5とその原因


寮の1階と3階を合わせた見取り図です。
登場人物たちは、右上の二人部屋の周辺でいます。

 
「キング、ありがとう。」と、私は礼を言う。
「お、おお、って、お前は何を・・腹が減っとるのでは、なかったのか?」
「中を見てから。」
 階段の方から、アルテミスが上がって来たので
「アルテミスが、話があるって」
「もう、ひどいわね。」とアルテミス、顔は笑っている。
 その後ろから、市長さんがついて来ている。
 校長先生も再び上がって来たので、私は
「校長先生、都市の人たちや学校の人たちは、みんな中庭に行きましたか?」
「えっ!?・・あっはい、私は、みなさんが来ないので・・・。」
「アルテミスから話があるそうなので・・・。」と私が言うと
 アルテミスは深呼吸をして
「こちらの部屋(上記の見取り図の3)の窓枠に付いていた液体を調べた結果、ライガの唾液と判明しました。よって、銀河連合により、この星の警戒レベルを5に引き上げました。」(液体の経緯いきさつについては、第8章-9の目次3を参照してください。)
「え、ええー!?」とみんな
「なんだと!」とキング
「レベル5っていうのは、宇宙船がこの星に来ることを禁止するってことなんだけど・・・。」と私
「それぐらい知っとる!」
 市長さんと校長先生も
「ええ!?」と驚いている。
 私は続けて
「で、そのレベル5になった原因のライガというのが、人喰いイモ虫って言われてて」
「人喰いイモ虫・・・。」と、キングが頭をかかえている。
「たぶん、寮母さんに化けた異星人が、2年前に連れて来たんだと思うんだけど、卵からかえってさなぎになるまでに2年ぐらいかかる。で、人間を食べるのは、ずっとじゃなくて蛹になる前だけなんだけど、それがこの結果なのね。」と二人部屋の中を指差す。
「それで今は、人間を食べた後、どこかの地下に蛹で眠っていると思う。で成虫になると1mぐらいかな?」
「そうね。」とアルテミス
「羽を広げると5mぐらいになって、その星の人間を食い尽くすようになる。」
「退治はできぬのか?」とキング
「できるよ、できるけど、できたら蛹の時に殺したい。成虫になったら被害が大きくなるし難しくなる。」
「うーーーん・・・・・。」とキングは考え込んでいる。



ライガについて

 校長先生がアルテミスに
「あの、さなぎから成虫になるまで、どれぐらい、かかるんですか?」
「3ヶ月です。」
「そんなにですか! だったら、早めに見つけて殺せば・・・。」と市長さん
「そうですね・・(私に)死体の様子から見て、それほど日数は経ってないんでしょ?」
「うん。」
私は部屋の中を覗き、私の部下たちも覗き込んでいる。
「木は、消化を助けるためって。」とバッカス
「うん、人間だと、なかなか消化しきれないので、木をたくさん食べる。だから木のベッドだけなくて、鉄のベッドだけがあった。」
「ええ!?」
校長先生が驚きの声を上げる。
「本当ですわよ、私たちのお部屋、ベッドが2台しかありませんの。」とナナと
ミミ
「こっちは3台しかない。鉄のベッドが」とヒアキッソス
「こっちも。」とサイケ
「こっちは、5台ある、鉄のベッドが」とトカレフ
「ええー!?・・・・。」
校長先生は、開けてもらったナナとミミの部屋を見て絶句している。
(各部屋の状況については、8章-9を参照してください。)
「で、これは良い話なんだけど、並木道の木が今も枯れてないから、この辺に蛹はいないと思う。蛹になったら、土の中の木の根っこから養分を吸い取っていくから、その周囲の森林も枯れていく。だから、市長さんと校長先生は、都市の人たちに木が集団で枯れている所がないか、あれば私たちに言うよう伝えてください。それが蛹を見つける手がかりになるので・・・。」
「どれぐらいの大きさとか、枯れる範囲がわかれば・・・。」と校長先生
 アルテミスが
「どれぐらいの大きさか、というのは、ちょっと言えないわね。山全部が枯れることがあるから・・・周りの木は元気なのに、その内側だけ枯れている所があったら、ちょっと怪しいわね。」
「わかりました。」
校長先生と市長さんがうなずく。
 1階の出入り口の扉が開いて
「校長、市長、食べましょう!」と、体育教師が大声で呼びに来た。
「まだ、ちょっと部屋の中を見たいので」と私が言うと
「わかりました。」と言って、2人は階段を下りて行った。




二人部屋の中と、ソウイチロウが言ってた面白い物


二人部屋の見取り図です。

 バッカスが、二人部屋の中を覗き込み
「あの、ここ(3階の手すり)にいたやつらって、こいつらだったのか?」
(11章-1「犠牲になった女性たち」)
「うん。」と私
 ソウイチロウが入って、鼻歌まじりで歩き回る。
 アオバやヨシツネも入った。
 副隊長は出入り口に立って、天井から床までじっくり見回している。
 その後ろからルナの部下たちも、今度は落ち着いた表情で覗き込んでいる。
 私はソウイチロウに
「何かわかった?」
「一旦、口の中に入れて骨だけ出すんすね。」
「うん、固いものが苦手みたい、木は食べるんだけどね・・・朝、言ってた面白い物と、どっちが面白い?」
「んー朝のやつかな? (10章-1)  これはなんか、なんの意思も感じないっすね。ただ食べるために殺した、ってだけで、それに、これ、誰かが歩いてますよ。」
「うん、たぶん、そこの窓を閉めに、向こうに行ったんだと思う、ここの寮母さんに異星人が化けていたのを、マーズちゃんが殺したんだけど(6章-2)・・朝、言ってた面白い物、って私も教えて。」
「・・・良いっすけど、さっき見たら、絵が飾ってあったんすよ。」
「うん、それでも良いよ。」
 ドアの外ではマーズちゃんが、へたりこんでいるトカレフたちに
「お前らなあ、これぐらいでバテてたら地獄になんか連れていけねえぞ!」
「いや、あれで気分が悪くなったんじゃ、なくてですね・・・・・。」
「あのA地区のやつで・・・。」
などと、言い訳している。
 再び、キングとクリスが見に来たので、私はそこから離れ、手すりの所で青白い顔で座り込んでいるオフィーリアの所まで行き
「お部屋で休んだほうがいいよ。今日はたくさん頑張ったんだし・・・。」
「そうですよ、姫。」とナナ
「澪様のおっしゃる通りです。」とミミ
 タガメもうなずいている。
 藍白が、彼女の前で背中を見せて座り
「姫、私の背中に」
 オフィーリアは素直に背中に乗ると、藍白は立ち上がり、部下たちも一緒に奥の部屋に入って行った。
 フローラが
「私、頑張りますわ。」と変な気合を入れている。
「いいよ、頑張らなくて。」と私
「そうですよ、姫。」とヒアキッソス
「僕、まだ気分悪い。」と、ヒマワリは口を押さえている。
「でも、これぐらいで、へこたれてたら、地獄になんて行けないんでしょ?」
「大丈夫だよ。血の池以外にも、観られる所は色々あるから。」
「血の池!? 血の池ですって?」と驚き後ずさる。
「う、うん・・・ほら、ヒマワリ君が気分悪いって、ヒアキッソス君たちも奥の部屋、使って良いから。」
「すみません、ありがとうございます。ほらっ、ヒマワリ、行くぞ。」と手を引こうとすると
「おんぶ。」
「しょうがないなぁ。」
背負って、奥の部屋へと歩いて行く。
 その様子を見ているローズは、フローラの方を選んだようだ。


第三都市の状況について

 フローラが
「私、なんとなくお母様が「大地がうごめいている。(1章-5)」と言った意味が    わかりましたわ。「半年から1年(3章-2)」って言った意味も」
「うん、ひょっとしたらさなぎを見つけたのかもしれないね。」と私、ローズもうなずいている。
「なに!?」とキング
 私はキングに
「ガイアって、今、王宮にいる?」
「えっ!?」
そして思い出そうとし、クリスに目を向ける。
「見かけません、もしかしたら・・・。」とクリス
 私は「うん。」とうなづき
「いつ帰るの?」
「きさま!」
「そうじゃなくて、キングがいなくなったら、みんな怪しむじゃん、ただでさえ 4人の女神とその部下がいないってのに。」
 マーズちゃんもうなずき
「お前がいなくなったら、誰が指揮を取るんだよ?」
「なあ、アルテミスが「第三都市に不穏な空気が流れてる」(7章-1)って言ったけど、それじゃねえのかよ?お前が来た理由。」とバッカス
「お、お前ら・・・・」
キングが怒りで顔を赤くする。
 ルナの1番目の部下アーサーが
「それは違います。確かに不穏な空気が流れていますが、もし亡者が現れた場合に、どう対処したらいいか見学に来たまで、です。」
(さすが、ルナの部下だけはある。)
「そ、そういうことだ。」
キングは立ち直り(図星だろ、まあ、いいか・・。)
「じゃ、いつまでいるんですか?」と私
 ルナの他の3人の部下たちも、彼に目を向ける。(知らないのか?)
「ルナ様からの指示があるまで、です。」
(それって・・・大丈夫か? 第三都市、と王宮・・・いや、ルナのことだから何か考えがあるのかも・・・。)
「大丈夫なのか? 第三都市は、お前らまで、いなくなったら・・・。」とマーズちゃん
 アルテミスが、珍しく自信なさげに苦笑いしながら
「ルナのことだから、きっと考えがあるのよ。たぶん・・・・・。」と目をふせる。
(たぶん、って・・・。)
「こっちは、こいつ(私)もいるし、その部下も3人いるから全然平気だぜ・・・。」とバッカス
 部下たちも、うなずいている。
「まさか、とは思うけど、王宮をこっちに移すの?」と私
「えっ!?」
女神たちや部下たち、布団をかついで二人部屋の隣の部屋(1番上の見取り図の3)から出て来た藍白とタガメも、私に目を向ける。
「そ、そうなんですか?!」
ルナの3人の部下たちは、アーサーに詰め寄っている。
 アーサーは、頭を押さえ深いため息をついた。(あれ、図星?)
 1階出入り口の扉から
「あーおいしかったわ。」
エルザたちが入って来た。そして上を見上げ
「あら、まだ・・・・。」
「あーじゃあ、食事をしながらゆっくり、自己紹介もまだ、だし・・・。」
 私たちは、階段の方へと歩き始めた。


次回

第12章ー第二都市(中庭)
1、「ルナって今晩あたり、来ると思う?」


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