テレタビーズの最期

テレタビーズ介護局

 おなかでブンブンブン蜂が鳴るを八十年ほど鳴らしてきたテレタビーズにブーブークッションを与えると、そういう鳴き声の架空の動物を次々と映しだす

 ブンブンブン一糸まとわぬくまさんブンブンブン一糸まとわぬらっこ鞠脱いでいるまりもなどどんどん映っていくのだが、かつてはある蜂がテレタビーズのおなかのなかでこそ分節されて解放されたという映像手記が蜂淘汰圧力とテレタビーズ淘汰圧力がかすかにシンクロし、みなが映像手記をほんの数年だけ大量に観る時期などすぐに終わってしまい、そこで自由になった蜂がテレタビーズのおなかのなかでどうなったのかわからないが、次々映るブンブン一糸まとわぬ動物たちのさまざまな身体の欠損映像や樹木状に接合されたクマやカバやラッコたち大犀まてかいナマケモノたちはみんなある時間のふくろうに笑われ、そのおなかのなかの笑いの移動たちやくすくす動きからある薄暮光をおもいだしたのかテレタビーズはいま急にまぶしそうにしておなかを中心に横転し続けてどんどん転がって壁にぶつかってまたころころこちらに転がってくる

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