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日本クオリティでCRM運用したい、という話

「どうしても日本クオリティで顧客とつながりたくて、サポートしてもらえませんか?」

そんな相談を持ち掛けてきたのは、ECサイトでの直販を中心にファンを増やしている日本の新興スポーツ用品メーカーが新規マーケット開拓のために作ったアフリカ圏の現地子会社の方でした。

子会社の立ち上げに合わせて赴任した担当者の方曰く「日本で当然のように行えていた、仕事上の管理ルールや報告・連絡・相談みたいなものが、ここでは通用しない。営業活動においても同じで人それぞれやり方もまちまち、成績が悪ければ解雇すればいいや、みたいな感じでカルチャーショックを受けてる。」

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こんにちは。
ベンチャー、スタートアップ、中小企業専門に、ZOHOやSalesforceの運用支援をしている虹雲ワークスです。

この仕事をしていると、本当にさまざまな業種業態の方からクラウドCRMの活用について相談をお受けします。
世の中には、こんなにもたくさんのビジネスと、それぞれの顧客とのつながり方があるんだな、と仕事を超えた驚きや尊さを感じることもしばしばです。
そんな経験を、システム開発技術の話ではなく、ストーリーとして伝えられたらと思い、noteをはじめました。
(この話は実体験を基にしていますが、あくまでフィクションですのでそのつもりで読み物として楽しんでもらえたら幸いです。)

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冒頭の担当者の方は続けました。
「海外に出てみて初めて、日本の業務管理の緻密さや、顧客とのコミュニケーションにおいても細部にこだわるクオリティが高いことに気づいたんだ。そして、日本のメーカーである我々がこの国に進出してきての最大の強みは「日本的な」業務クオリティ、極端に言えば「おもてなし」を再現することなんだ。自分たちが日本でやってきたクオリティをこの国で再現できれば必ず伸びる。そのためにCRMを活用していきたい。

クラウドCRMの構築や運用について、日本はカスタマイズ主義、海外はデフォルト主義だと言われます。
例えば、商談のステージの区切り方ひとつとっても、欧米ではCRMが最初から持っているデフォルトの区切り方をそのまま採用し、自社のビジネスプロセスをシステムに合わせていくアプローチが多いと聞きます。

一方、日本では自社の仕事のやり方が先にあって、システムをカスタマイズして自社に合わせていくことが多く、細かい作り込みを要することが多いです。

海外のデフォルト主義は、働く人にとっては業種が同じならどこの会社に行っても同じように仕事ができる反面、企業ごとの特性や強み、差別化ポイントをシステムに反映しずらく、営業やカスタマーサービスによって違いを出すことが難しくなります。
一方、日本のカスタマイズ主義は、自社でしか通用しないやり方になってしまうデメリットはある一方、自社のこだわりや差別化要素をシステムに組み込むことで営業やカスタマーサービスによる差別化や最適化を実現することができます。

よく、日本国内では日本企業のネガティブな点として「強すぎる企業文化」「他社で通用しない個別最適」が指摘されますが、特に新興国においては有効に機能する場合も多いのかもしれません。
そして、私のようにクラウドCRMの導入や運用を支援する役割を担う立場に期待される役割として、日本クオリティの再現に自信をもって取り組みつつ、日系海外企業に対して現地との丁寧なコミュニケーションで定着を図っていくようなスキルは重宝されるのではないでしょうか。

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さて、冒頭の担当者さんとは半年ほど導入から運用定着化までをご一緒させて頂きました。
現地にもクラウドCRMのコンサルのような人はいるようですが、そもそもの日本クオリティやカスタマイズ文化を理解できず、話が合わなかったそうです。
結局、一度もリアルでお会いしないまま日本クオリティのCRMを新興国に定着させる、というプロジェクトを進めました。

Zoomなどのオンラインミーティング、Slackなどのチャットツール、(多少英語は話せるのですが)翻訳までもオンラインでリアルタイムでできてしまう今、日本企業の海外進出にセットでクラウドCRMを持っていく、というのはアリなのかもしれません。
実際、私もここ数年で海外日系企業からの相談がかなり増えました。
北米やヨーロッパ圏よりも、アジア圏、アフリカ圏、中南米が多いので、やはり日本クオリティが通用しやすい地域というのはあるのでしょう。

でもどうしても最後までキツかったのは「時差」でした。アフリカ圏も場所によりますが、ビジネスタイムがまるっきりずれているとちょっと大変ですね。
現地でのビジネスはすこぶる順調なようで、担当者さんとはCRMの導入パートナーとして、というよりは、日本クオリティを信じる同士、みたいなノリで仲良くなり、今度日本に帰国した際には食事にでも、ということになりました。

クラウドCRMを通して、改めて「日本クオリティ」に目を向けてみませんか?






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