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学級文庫を充実させよう

「本を読む子になってほしい」多くの教員や保護者が願っていることだと思います。もちろん、本でなくても何かに熱中することができれば、その子の学びは大きく広がっていくことでしょう。でも、本を読むことに慣れていたら、何かやりたいことが見つかったとき、本によって世界を広げることができます。子供たちには(もちろん大人たちにも)本と仲良しになってもらいたいと思っています。

そのために、どうしたらいいか。できることはたくさんありますが、まずはこの2つが大事だと思っています。「本が身近にあること」と「本を読む時間があること」。それを一番手っ取り早く実現する方法が「学級文庫の充実」です。

小学校では、図書の授業(図書室での読書する時間)を楽しみにしている子が多いのではないでしょうか。でも、図書の時間に借りられる本は2冊程度。しかも、高学年になると毎週図書の時間は確保できないことが多いです。さらにコロナ禍で、図書室の休み時間の利用を制限されている学校もあります。本が読みたくても本が手元になければ読めないのです。

そこで、学級文庫の出番です。学級文庫に魅力的な本があれば子供たちが読書するきっかけになるでしょう。では、どうやって本を集めればよいでしょうか?ここでは、3つの方法を紹介します。

その1:購入する

本って高いですよね。購入するにはとてもお金がかかります。でも、私は「本は心の栄養」「たくさんの子に読んでもらえば、安いもの」と思って、「これはぜひ学級文庫に置きたい」と思う本は買います。学級文庫の購入には古本屋を利用することが多いですが、話題の書であったり、どうしても今使いたいと思ったりするときには新品を買うこともあります。自分の子供に本を購入する時にも「うちの子が読まなくなったら学級文庫に入れよう」と思いながら買ったり…(笑)自分に言い訳しながら、それでも楽しく本を選んで学級文庫を増やしてきました。

私は、クラスの子供たちがいるからこの仕事を楽しく続けられている。子供たちにたくさんのことを教えてもらっている、そのおかげでお給料をもらっている。その恩返しとしてお給料の一部を学級文庫の購入に充てることに何ら躊躇することはありません(私の場合は。)金額に上限を決めて、時々は本を購入し、その本の楽しさを子供たちと味わえたら幸せだと思います。

去年は、隣のクラスの先生も積極的に学級文庫の購入をしていました。その先生の家の近くの古本屋には、1冊80円で古本が買えるコーナーがあるらしくて、
「昨日古本屋行ってきたんですよ。」
と話し始めると、大盛り上がり。
「『はじめてであうすうがくの絵本』1巻から3巻、どれも80円ですよ!すごくないですか?」
「すごいすごい!安すぎる!」
「もう絶版のこの本も、80円で手に入れちゃいました。」
「その作家さんそんな本も出しているんですね。私にも貸してください!」
こんな感じで、掘り出し物の発掘を一緒に楽しんでいました。私の家の近くにも80円均一やっている古本屋があればいいのに。

最近はネットでも古本が買いやすくなりましたよね。良い本をぜひ安く手に入れてください。

その2:もらう

買うのはちょっと…という人もいるでしょう。本がタダでもらえたら、一番いいですよね。本をもらうためには、「私、本をもらいたいです!」とアピールすることです。要はいろんな人と仲良くすることです。学校には、いろんな人が働いています。先生以外にも事務職員の方とか、ボランティアのおばちゃんとか…いろんな人に、「本がほしい」「お子さんが読まなくなった本があったらください」と声をかけておくと、あるとき、「この本もしよかったらいる?」と声をかけてくれます。まんが「日本の歴史」とか青い鳥文庫とかシリーズものをごそっともらえることもあります。

保護者に本の寄贈をお願いする場合もあります。保護者からどういう風に寄贈してもらうかは、学校の方針を確認してから行うようにしましょう。

もう一つ、わたしは、近所の図書館を愛用しているのですが、図書館の人と仲良くなるのもおすすめです。「学校の先生をしていて、学級文庫が欲しいので、リサイクル本があったらぜひ欲しいです!」と声をかけておいたら、リサイクル本の情報をいち早く教えてくれたり、公立図書館には向かない寄贈本を回してくれたりといいことがいっぱいでした。図書館の方は、学級文庫に置かれた本は子供が手に取る機会が多くなることをよくご存じです。リサイクル本には、図書館が選定した良書がそろっています。

本をもらう場合に気を付けた方がいいことは、自分の希望に合わない本も集まってくるということです。せっかくもらったものを無駄にするのはよくありません。もらったものを売ってお金にするのも良くないですよね。もらったからには、本がしっかりと活用できるようにし、譲ってくれた人への感謝を忘れないようにしたいですね。

その3:借りる

本を買うのも、もらうのもハードルが高いという人は、図書室から、まとめて学級用に貸し出しをしてもらうという方法はいかがでしょうか。

私の学校は、コロナが流行し始めてから、低学年は休み時間の図書室利用ができなくなってしまいました。そこで、学級に本をまとめて貸し出すということを行いました。もちろん、学習用に今授業で学んでいることに関連する図書をまとめて貸し出すことも行っていましたが、単純に読み物としてその子たちに合わせて50冊程度選んでクラスにおいてあげるようにしました。すると担任の先生から、「読む本があってよかった」と言ってもらえました。

まとめて貸りる方法は、学年で相談して行うとよいと思います。特に低学年は、絵本が中心ですぐに読み終わるので、まだ読んだことのないが本が教室に置いてあるのは大切なことです。司書教諭は学級文庫の状況などにも気を配り、先生方に声をかけるとよいと思います。

図書館の団体貸し出し制度を使って、図書館からまとめて借りられるシステムもあります。少し手間はかかりますが、いろんな本触れるのにとてもよいシステムですのでお勧めです。

本を借りるという方法で注意が必要なのは、本の紛失です。自分の本でも紛失されたら困ってしまいますが、借りている本を失くしたら担任の責任になりますので、借りている本の冊数を定期的に数えるなどして本の紛失を防ぎましょう。

おまけ

そして、もう一つ。いろいろな本に触れさせるためにできる方法として「本を交換する」があります。限られた本を有効に活用するには、同じ学年の先生と相談して本を時々交換するとよいです。自分が選んだ本だけでなく他の人が選んだ本に触れることも子供たちに取ってはよい経験になるかもしれません。また、低学年担任から高学年担任に変わったという場合などでは、学級文庫に置く本の種類が大幅に変わります。自分の本を他の人に貸し出したり、他の先生の本を期間限定で借りたりするのもいいですね。

どんな方法でも、いろんな人とコミュニケーションを取ることが大事です。学校には必ず本好きの人がいるはずですから、たくさんコミュニケーションを取り、読書活動の充実に一緒に取り組める仲間を見つけるととても楽しいと思います。

今日は、たくさんの本を集める方法を紹介しました。すてきな学級文庫コーナーを作ってくださいね。(自分が所有する本が増えてくると、異動するときにはとても大変なことになります。引っ越しの際はご注意を!)