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一年を振り返って


寂しくも幸せだった退院の日

早いもので回復期を退院してから一年を迎えました。
急性期病院でも誰にもおめでとうを言われることのない退院でしたが、回復期でもまさかの担当者療法士さんが3人ともお休みで、担当看護師さんがおめでとうを言ってくれただけの寂しい退院となりました。

それでも3ヶ月半ぶりに我が家に帰れることはとても嬉しく、コロナ禍で面会出来なかった家族に会えた喜びはひとしおで、待っていてくれる人がいるというのはいいものだと幸せを噛みしめた瞬間でした。

有頂天だった1ヶ月

くも膜下出血を起こす前に会う約束をしていた友人たち。
とにかくハイテンションだった私は失った時を取り戻そうとするかのように活動的に動き回りました。

当時は大人数ではなく個人的にお会いするだけで、常に心配する夫が付き添ってくれました。そのため、何かおかしいと感じつつも高次脳機能障害に気がつくこともなく、怖いもの知らずといった状況だった気がします。

また、友人たちとの会食に加え、近くのクリニックでのリハビリ、回復期で勧められたジム通いと、よく身体が持ったものだと今更ながらびっくりですが、このころまでが絶頂期だったように思います。

下降し始めた日々

1ヶ月半を過ぎた辺りから状況が少しずつ変化し始めました。
まず現れたのは今も悩まされている麻痺した左足の脛の痛みでした。
通っていたクリニックのリハビリ担当者からはジム通いをやめるように、そして自費リハを探してリハビリに専念してはどうかと言われました。

当時は悩みに悩みましたが、この時自費リハを勧めてもらったおかげでリハフィットへとつながることができ本当に良かったと思います。

高次脳機能障害に気付いて

この頃から様々な異変に気がつき始めました。
趣味の刺繍をやっても図案がポロポロ頭から抜け落ちてしまうこと。
買い物に行ったらカゴに同じ品物がいくつも入っていたりすること。
ほかにも、ちょうど当時手にした本「脳が壊れた」に書かれているのと同じ症状がいくつも当てはまりました。

もしかして高次脳機能障害?
急性期でも回復期でも無いと言われたのに?
くも膜下出血のフォローアップで診てもらっている脳外科の先生に相談しても埒が開かず、途方にくれるばかりでした。

急降下

気付いた高次脳機能障害をどうしたら良いのか?頭を悩ませている間に見舞われた突然の右半身痛。
年も押し迫った頃のことでした。
経験したことのない痛みに救急車で病院へと運ばれました。が、原因はわからず、その後も救急搬送されたり入退院を繰り返すこととなりました。

そして入院する度にリハビリはストップ。
痛みで精神的に落ち込み、更に痛むという悪循環へと陥ってしまいました。

わかり始めたこと、わからないままのこと

そんな中でも明らかになったこともありました。
くも膜下出血以前から悩まされていた右上肢の痛み。
リウマチや線維筋痛症を疑われていましたが、その可能性がないとの診断が下り、代わりに左右に肩関節周囲炎があることがわかりました。
これは大きな一歩で三年越しでようやく治療へとつながることが出来ました。

わからないままなのは視力低下の原因です。
くも膜下出血の後遺症でテルソン症候群となり手術を受けました。
失った視力は取り戻したものの、退院後から徐々に視力が低下しています。
手術した大学病院で検査を受けたものの未だ原因はわからず、経過観察となっています。一度視力を失った私にとっては視力低下は脅威で、どうにもならないと思いつつも不安に駆られています。

翻弄された一年

こんな"山あり谷あり谷あり"の一年でしたがなにより心強かったのは自費リハビリの先生方の存在です。

せっかくつながった病院での高次脳機能障害のリハビリもありましたが、現在では理学療法士さん・言語聴覚士さん全て自費リハビリでお世話になっています。
皆さんお互いに連携をとり、私の生活全般を支えようとしてくださり本当にありがたいことと思っています。

保険診療でのリハビリが良くないというわけではなく、限界があるというのが正しいのでしょうか?
正直回復期にはいかずに自宅から自費リハに通えば良かったと思うことがあります。

急性期でそのまま退院できなくはないけれど、10年20年後を見据えて回復期に行く方がよいと言われました。
けれども回復期で行われたのはあくまでも退院がゴールのリハビリでした。

左手の麻痺にも高次脳機能障害にも気が付かれないままの回復期であったならば、無理をしてでも退院すれば良かったというのが今の私の素直な気持ちです。

ただ、回復期を経て紆余曲折あったからこそ"自費リハビリ"というものの存在を知り、現在に至っていることも事実です。

また、回復期にいた時は色々ありつつも担当者を信頼し、リハビリを頑張ったという思いもあります。
このことはもしかしたら、今後私に何かをもたらしてくれるのかもしれないと小さくはありますが(笑)期待をしています。

体調に高次脳機能障害に翻弄された一年。
ここから先の一年は一体どうなるのか?
残された能力で何が出来るのかはわかりませんが、いつもそばにいてくれる家族とセラピストの方々に支えられながら1日1日を過ごして行けたらと思っています。