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ほんの些細な一言

高次脳機能障害が理解されず悶々とした日々を送っておりました。
痛みや痺れも同様に見えないから理解されにくい。
仕方ないけれどやっぱり辛いんですよね。そんな中、ちょっとした一言が嬉しかったという体験から感じたことを綴ってみました。

高次脳機能への配慮

子供の頃自転車で転んで前歯を折りました。神経を抜く処置をしてあったため虫歯になっても痛みがなく、くも膜下出血後に久々にぐるっと一周レントゲン写真を撮って前歯に虫歯があることがわかりました。

検診で外から見てもわからず痛みも無かったため、かなり深くまで虫歯が進んでいたようで、抜歯の可能性もあると言われました。

前もってくも膜下出血があること、高次脳機能障害があることを院長先生にお伝えしてあったため
「次回はご家族と一緒に診察にいらして下さい」
と言われました。

虫歯くらいで‥なんて呑気に考えていましたが、抜歯しなければならないかは削ってみないとわからないこと、抜歯の場合は差し歯にするのか、するとしたらどの素材にするのか。それともインプラントにするのか等々、選択肢も多く、確かに夫に付き添ってもらって良かったと後から思いました。

細やかな心遣い

治療方針が決まってしまえばあとは先生にお任せなので、治療当日は1人で受診しました。
歯医者さんのライトって眩しくてしんどいなと思っていたら
「眩しかったら目を閉じてて下さいね」
と声をかけてくれたり、次に何をするのか予め教えてくれたりしました。

そして結果的には抜かずに済んだこと、そしてその経緯を図に書いて説明してくれたので安心して治療を終えることができました。
もしかしたら説明時に家族が呼ばれたこと以外は高次脳機能障害だからという配慮ではなく、元々のこの病院の姿勢なのかもしれません。でも、高次脳機能障害を持つ私でも安心して通える医療機関というのはありがたいなと思いました。

久しぶりの検診

私は顎関節症もあるので一回の歯石取りが長時間にならずに済むようこまめに歯医者さんに通っています。
今回も4ヶ月ぶりの検診でした。

少しだけ歯石があると言うことでクリーニングしてもらったあと衛生士さんからお話がありました。その際に
「最近フロス使えてますか?」
と聞かれました。

私の場合は糸巻きタイプのフロスが良いと勧められて使っていたのですが、冬場になって左手の痺れがひどいため糸をつまみにくく、ついつい適当になっていました。

そんな経緯をお話ししたら
「そうなんですね。冬場は痺れがひどくなるんですね、大変ですね。」
と言ってくれました。その上で
「出来る範囲で構いません。冬場うまくできないようでしたら検診に早めに来てくだされば病院で対処できますので」
と提案してくれました。

何でもない一言ですが、痺れが辛いことを受け止めてもらえた、そんな些細なことが今の自分にはとても嬉しかったです。

辛いと言うこと、それを受け止めること

一昔前って「弱音を吐くことはよくないこと」みたいな風潮があった気がします。もしかしたら今でもあるのかな?

私は弱音を吐くことをあまり許されない家庭に育ちました。そのためかついつい我慢しがちな部分があった気がします。
でもそれってどうなんだろう?と考えるようになりました。

「辛さをただ黙って耐える」それは美徳と感じられる部分もあると思います。でもそういう人がいると「辛い」とか「大変」と周りの人は言いにくくなるのではないかと思うのです。

誰かが「辛い」とか「大変」と言うことで、周りの人も言いやすくなるそんな一面もあるのではないでしょうか?

今回痺れが辛いことを受け止めてもらえたことをとても嬉しいと思っています。それと同時に、誰かが何か辛さを訴えた時には同じ様に受け止めてあげたいと思いました。

そして自分が体験したことがある辛さであるとかないとか関係なく、人が「辛い」と言っていることをそのまま受け止めたいと思うのです。

「冬場は痺れがひどくなるんですね」と衛生士さんが言ったところをみると、彼女に痺れはないのかなと思います。
それでも私が言ったことを受け止めてくれたことは素直に嬉しいと感じました。

これまで脳外科の外来などで痺れがひどいことを訴えた時に
「冬場は仕方ないんですよ」
そう言われて来ました。

でも、ほんの一言。
「そうですか、それは辛いですね。冬場ってどうしても痺れがひどくなるんですよ」
そう言ってもらえたら受け取り方は随分変わるのにと思います。

そんなに時間がかかることではありません。
目の前の人の感情に、痛みや苦しみを一旦受け止め、口に出してあげることが寄り添いの一歩になり、少しかもしれないけれど相手の痛みを和らげてあげることができるのではと思っています。