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説明することの大切さ

患者さんを置き去りにしない

こんな言葉で始まり、回復期で特に説明もなく私が筋トレをさせられていたことに触れて
"筋トレを否定したいんじゃない。何故筋トレをするのかを患者さんにわかりやすく説明することが必要。患者さんにとって自身の将来に関わることなんです"
そう書かれたツイートが流れて来ました。

療法士さんにとっては当たり前のことなのかもしれませんが、私は急性期と回復期ではリハビリの意味合いが違うことなど知りませんでした、なぜ急性期とは異なるリハビリなのか。なぜ筋トレが必要なのかわからぬままに終わった回復期でした。

リハビリとは受け身だけでは済まない、能動的に動かねばならないものだけにきちんとした説明が欲しかったとツイートを読んで思いました。

そしてきちんと説明しないことは患者さんを置き去りにすることなんだという考え方の療法士さんがどのくらいいるのだろうか?そんなことを思いました。

放り出されたような気分

入院中は毎日、療法士さんの指示のもとリハビリをします。けれども退院したらリハビリは一体どうしたらいいのか、とても不安でした。

「退院したらジムに行け」回復期の療法士さんはその一点張りでした。
もともと運動習慣がなく随分昔ですが、ジム通いが続かず挫折した経験がありました。
なので「ジムに行っても続ける自信がないから不安です」と何度か伝えました。
すると「俺はジムに行けと言ったからね。あと行く行かないは緑さんの勝手だから」そう言われました。

思わず私は「なんでそんな突き放すんですか」と言ってしまいましたが、結局話はそのまま終わってしまいました。

ジムがどのくらい費用がかかるのか、家の近くにあるのかさえわかりませんでした。そしてジムに行けと言われても週に何度くらい行って、何をすればいいのか?どうしたら続けられるのか?

もっと丁寧に話してもらえたなら、放り出された気分にならずに済んだのかなと思います。

渡されただけのメニュー

どうしてもジム通いに自信が持てなかった私は、他の人が退院時メニューというのをもらっていることを知り自分も欲しいと頼みました。
2度ほど頼んだもののもらえず、退院の日が迫っていたので家族からも頼んでもらいました。

すると退院前日にポンと一冊渡されました。そしてそのままリハビリが始まり、中を見ることもできないまま最後のリハビリが終わってしまいました。

後から見てみるとかなりの量がある内容でした。が、退院当日は担当療法士さんが休みだったため質問することもできずに退院となりました。

帰宅してからもらった退院時メニューをやってみると1時間半ほどかかりました。入院中はリハビリだけの毎日でしたが、自宅に帰ると普通の生活です。家事をこなしつつ、メニューを全部やるのか、それともこの中の一部でいいのか?毎日するのか、週に何回かでいいのか?何もわかりませんでした。

他の療法士さんや他の病院はどんな感じなのでしょうか。
もしかしたら退院後のリハビリのことなんて自分で考えるのが当たり前なのでしょうか。
ただ、退院したら誰にも何も聞けなくてとても不安でした。

丁寧な説明

現在は自費のリハビリとつながっているので相談できる人がいます。何を聞いても丁寧に高次脳機能障害をもつ私に配慮した説明をしてくださるのでとても助かっています。

先日、次のリハビリまで間があるのに困ったことがありSNSを通して聞いてみました。

以前、少し歩いても足腰が痛くなったり肩に痛みが出る状態の時がありました。そのときはあまり動かずに様子をみましょうと言われていました。
その後少し良くなったので
「用事がないときはお散歩したりしましょう」と言われていました。

ところが先日、二日ほど出歩かなかったら収まっていたのに、丸一日出かけたらあちこちに痛みが出てしまいました。なので
「用事の時以外は家で静かにしていた方がいいでしょうか?」
そんな風に聞いてみました。
その際にいただいた返信が下記の通りです。

"ご相談ありがとうございます。
痛みが少しでも収まる状況があるのは、すごく良い事だと思います。
以前に比べて、段階が一歩前進したと感じています。

こんなイメージです。

①まずは痛みをとる(できるだけ安静)(以前)
②運動(散歩•外出)も入れながら、1日休息日を必ずとる(現在)
③1日の中で休む時間を作る(先の目標)

①の時期ではないので、無理のない範囲で動けると良いなとは思っています。
例えば、今日のように痛みが出た次の日は、ゆっくり休む、みたいなペースが良いかと考えます。

ご参考になれば幸いです。よろしくお願いします。"

こんな風に丁寧に説明していただけると
「前回はできるだけ動かないように言われたのになんで今回はいいの?」
と思わずに済みます。そして現在どの段階に自分がいるのか、更には自分が良くなってきていることが見て取れます。

そして次のステージのことも示してくれることで、先のことがイメージでき、希望が持てます。

希望と書くと「大袈裟だな」と感じる方もおられるかもしれませんが、何度も痛みに襲われている私にとっては「ずっとこのままなんだろうか?」という不安がつきまとっています。
なので「この段階を抜けたら次はこうなれる」という具体例を出してもらえることはとてもありがたく、安心して休息を取りつつ動き次のステップを目指せるのです。

説明することが与えるもの

今回は質問に答えるという形でしたが、リハビリを進める上でもこういう風に今の状態を示し、これから何をするのか、何故するのかなどをいつもきちんと説明してくれます。

きちんと説明をすることは、他に患者さんがいるにも関わらず、大勢の中の1人ではなく、ちゃんと自分と向き合ってくれているんだと思わせてくれます。

自分の現在の状態を知り、何のためにどういうリハビリをするのかを本人が知ることは、リハビリをする上で重要なことだと思います。そして丁寧な説明や真摯な対応は寄り添ってもらえる安心感を与えてくれるのではないでしょうか。

Twitterで流れてきた「患者さんを置き去りにしない」という言葉。
私は、置き去りにされたと患者が感じないこと、寄り添われていると感じることこそがリハビリのモチベーションにつながり、前を向こうという気持ちにさせてくれるのではないだろうかと思います。