「本当はグッズ買いたいんだけど、買えない」は言わないほうが良いのか

 確かに言われた側が困るっていうのも分かる。

 いっぽうで、「金銭的余裕が無い」「時間的余裕が無い」というのは社会的に弱い人が陥りやすい事態で、だからこそ無料で見れる(個人)Vtuberをエンタメとして楽しんでいるという側面はあるわけで、

 そういう観点からいうと、上記のような発信は、視聴者の大部分の層に「ここでも経済的強者に対して劣等感を抱かないといけないのか」というマイナス感情を誘発することになりかねないと思う。

 実際、メンバーシップに加入していたり、スーパーチャットを送ったり、グッズを買ったりするような「お金を落とすファン」だけしか居なかったら、同接はがくんと減るだろうし、

「何かの時に一回見て登録はしているけれど、配信をあまり頻繁に見るわけではない人」「切り抜きを主に見ている層」がことごとくチャンネル登録を解除していたら、見かけのチャ登数すらどんと減るだろうことを鑑みるに、

「お金を落とさない層」「時間を費やさない層」からも、配信者は一定のメリットを享受していると言えそうだ。

 だから、(配信者の心に余裕があるのなら)「行きたいけど行けない」「買いたいけど買えない」に対しては、特に反応せずスルーしておくくらいがちょうどいいと個人的には思う。

「買いたいけど買えないって言うな」という発信を見て、彼らが「もう推すのをやめよう」と思ったり、そこまでではなくとも、「リプライやコメントするのをやめよう」と思ったら、

 配信の同接・コメント、ツイート/ポストのリプライ・いいねが減り、プラットフォームにおける露出が減り、宣伝効果が減ると予想される。

 あるいは、「そういうことを言っても(少なくとも表では)受け入れてくれるような配信者」のところに鞍替えすると思う。
 だって、そっちのほうが気持ちいいもの。

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 上に出した例はまだ穏やかなほうで、たまに、「買えないやつはいちいち言わなくていい、買ってくれる人は黙って買ってくれる」みたいな、やや煽り調子のツイートも見かけたりするのだけれど、

 ツイ主としては多分気持ちいいんだろうが、それを見て「じゃあ買おう」となる人ならすでに買っていると思うので、シンプルに視聴者や「潜在的な視聴者」が減りそうである。

 強者ほど「条件はみんな同じ」とか、「事情は誰にだってある」みたいな、「努力次第でなんとかなる」「がんばった人のほうがえらい」的な、実力主義に陥りやすいわけで、だから、自分は必ずしも強者ではないけれど、かといって一番の弱者かと言われればそうだとも思わないので、「運や偶然の産物としての『環境』に恵まれている(世界の中で日本に生まれたというのが最たる例)」ということを忘れないでいようと、自分としても気を引き締めようという気持ちになった。

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