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イノベーションは誰でも起こせる 価値創造加速へ大手50社集う

イノベーション促進を目指す日本の大手企業50社が集まる 「InnovationTech(イノベーションテック)コンソーシアム」が4月15日、発足しました。イノベーションテック というのはアイデアや人の創造力・目利き力などの定性的な価値を定量的に評価する技術です。イノベーションを科学的に分析することで、偶然やひらめきに頼らずとも、誰でも必然的にイノベーションをつくれるようにする。業種を越えた連携で、世界に比べて遅れていると指摘されるイノベーションを巻き起こすのが狙いです。

「イノベーションテックコンソーシアム」を運営する、スタートアップ企業ビジッツテクノロジーズ(東京・港)の松本勝CEOは設立趣旨を説明します。「一言でいうと誰でもイノベーションを起こせるように、新しい技術『イノベーションテック』を使ってサポートしていく。同時にこの技術を日本発で世界に広げたい。多くの企業に集まってもらって当社の技術と共同研究し日本のイノベーションの速度を上げる。会員企業のオープンイノベーションを推進したい」と話します。参加するのはトヨタ自動車、野村ホールディングス、全日本空輸、三井住友海上火災、博報堂など50社。大企業が動いているのを見てもらい、イノベーションテックという文化を広げたいと話します。

■イノベーションはアイデアがなくても実現できる

説明会で紹介された具体例です。出てきたアイデアについてAIがアイデアの意味を理解して価値をスコアリング化します。「これまでアナログにポストイットを貼ってワークショップをやった作業にデジタルツールを使う。どんどん効率よくイノベーションを起こしていける」(松本CEO)

AIが人のイノベーションに関する目利き能力をスコアリング化します。誰がクリエイティブなのか、創造性があるのかを数値化。個人の評価の重みに差をつける仕組みで、「目利き」の人ほどの発言ほど重くなります。正しい価値を測定します。質のいいものはチャットツールで連携しい、キーワードを入れればだれでもアクセスできる。アイデア出しに関心の薄い社員を巻き込んだ知見の共有ができる。AIスピーカーとディスカッションするケースも出ているとのこと。

■「知見の共有に重点」

事業になる前の早い段階でアイデアを外部に公開するのが特徴です。「どの会社とどの会社の組み合わせが最適なものかを診断し、イノベーションの成功確率を高めていく」。実行フェーズでは知見のポイントを共有し、みんなが引っかかるものは何かを解析、事業の成功確率を高めていきます。

松本CEOは「知見の共有に重点を置いて活動する」と強調しました。「(世界のイノベーションの一大拠点である)シリコンバレーに行くと知見の共有がすごい。自分のアイデアを真似されるよりも、たくさんの意見や修正点をもらったほうが圧倒的に成功確率が高いというのが分かっているからだ」。日本の企業は特許からなにやらで自分たちの情報を隔離する。圧倒的にフィードバックが足りない」
この話を聞いたとき、プロCTO(最高技術責任者)、レクターの広木大地取締役のインタビューを思い出しました。

広木氏「隠せば隠すだけ増える」という錯覚が日本社会に蔓延している。それはゼロサムゲームをやり続けた結果では。いろんなものを隠すのが当たり前になってしまっている。オープンにすればするだけ増えるという文化圏では、いろんなイノベーションを引き起こせる可能性がある。

「イノベーション創出力が高い」というのをAIはどういう定義で判断するのでしょうか。松本CEOは①アイデアの質(人が共感・納得するかどうか)、②組織がビジョンミッションに共感・コミットしていること③実行フェーズの強さ④人の成長速度といった項目を列挙します。

イノベーションには教師(正解)がいません。重要なのは共感性や納得性。人が共感するユーザー体験がいいアイデア。教師がないものは共感性と納得性を高めていかないと成功しない。松本CEOは「シーズの組み合わせは多ければ多いほどイノベーションが加速する。成功確率が上がる。いろんな会社にできるだけ入ってほしい」と話してました。

【イノベーションテックコンソーシアム  当面の活動】
1.イノベーションテックを活用したアイデア創造ワークショップの実施
2. 新たなイノベーションテックツールの研究開発
3. デザイン思考テストの開発・実施(設問設計、テスト結果の利用等)
4. 研究・政策提言等に関する議論及び各種勉強会の実施

4月7日の日本経済新聞です。


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