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【レポ】「FACTFULNESS」著者アンナ・ロスリング・ロンランドさん来日講演が開かれました。 #ファクトを活かそう

2019年7月10日、日本経済新聞社で、世界100万部のベストセラー「FACTFULNESS」の著者講演が開かれました。出版後に初の来日、そして今回の来日では唯一の講演会というスペシャルなイベントでしたので、アンナさんのご発言を中心に内容をレポートします。

■講演の録画はこちら(いま観れます)

■ファクトから世界を読む習慣を身につけよう

アンナさんはFACTFULNESSの共著者。統計情報から世界を理解することを目的としているギャップマインダー財団の共同創業者でもあります。財団のWebサイトでは、世界各国のデータがわかりやすく視覚化されているのでチェックしてみてくださいね。

FACTFULNESSが話題になったきっかけはこのチンパンジークイズです。賢い人ほど物事を偏った目で見ているということを浮き彫りにさせてくれるこのクイズ。「えっ、私の見る目、チンパンジー並み・・・」という結果が出て衝撃を受けた人も多いと聞きます。ぜひ挑戦してみてください。

■印象に残ったアンナさんのご発言

そんな本を書いたアンナさんの来日講演。講演の中から、印象に残った言葉をまとめました。

「自分が知る限り、チンパンジークイズを初見で全問正解した人は世界に一人もいない。1問間違いですら世界に1人しか知りません。でも、きょうのみなさんに事前にアンケートを応えてもらったら、12問正解の人がたくさんいましたよ!これは、みなさんが本を読んでくれたからに他ならない(笑)」

「どうやったらチンパンジーを超えられるのか?自分で本を探して、読んで勉強するにはなかなか難しいですよね。そのために作ったのが10の本能とその解決策なのです。この10個は、思考フレームワークなのです」

「世界は常に変わっています。悪いまま、留まっているわけではありません。でも、人間はドラマチックな話が好きだから、ついつい世界がずっと悲惨なことになっていると思いたくなってします。これは本能なのです。このことを理解しましょう。データを基に物事を見れば、世界は徐々にではありますが、良くなっていることに気づけるはずです」

■FACTFULNESSを仕事に活かすには

参加者はビジネスマンが多かったので、「FACTFULNESSを仕事に活かすには」というテーマでも語っていただきました。印象的な質疑を紹介します。

Q:FACTFULNESSでは複雑なデータが美しく表現されています。データをきれいに表現するために、良い方法を教えてください。
A:「まずは直感、パッションです(笑)。自分がきれいだと思うように作った、というのが正直なところ。バブルチャートなんか、自分の手でここに置くときれいだなという部分にバブルを動かしましたし(笑)。自分はUIの素人なので、専門的なことはわかりません。ただ、自分たちは日頃から、データをきれいに表現したいねと話していたんです。美しく表現すること、意味があるように表現することが必要だねとずっと思っていた」

Q:未来って予測できますか?
A:「なかなか難しいと思います。正直、まだその段階にはないですね。でも、世界について夢を見ることはできます。透明で、もっと学習環境が生まれ、すべての部門で壁が取り払われ、古風なものがなくなる夢です。データに基づいて物事を語る未来です」
「例えば、みんなが話している流行語。みんなその言葉を話しているけど、それってどんな意味だろう・・・って思ったことはありませんか?あなたとあの人は、その言葉について同じ定義を共有しながら会話できていますか?どういうことですかって、質問をためらってしまったことはありませんか?そこで一歩質問してみるのです。事実に基づき物事を正しく判断するって、そういうことです」

Q:ご家族について教えてください。
A:「自分には子供が3人いるけど、誰もFACTFULNESS読んでない(笑)。一番上の子は、自分の友人がFACTFULNESSを読むことも『裏切りだ』っていうの(笑)」

Q:ビジネスなどですべてのデータが揃えられない時や、データが出る前に判断しないといけない時、どうしたらいいですか?
A:「多くのソースを組合わせることですね。でもそんなにうまくいかないですよね。データって複雑ですし。そういう意味では、徐々に世界が良くなってくるのを待つしかないかもしれないし、少しづつオープンなデータを求めていくしかない。不完全なデータであっても使っていくしかない。Google検索だって、登場した当初は完璧なサーチエンジンじゃなかったんですし」
「世銀、国連などのデータは英語で形式も標準化されていますが、各国政府が出しているデータは各国の言語で表現されているし形式もバラバラですよね。そこは自分で問い合わせるなどして埋めていくのが近道ではないでしょうか」
「人間には知恵や知性があるから、不完全なデータであっても意味を加えられる気がしています。現代って不必要なデータまで海のようにあるじゃないですか。要らないものを排除することも大事です」
「学校で学んだ知識もそうですよ。昔あなたが学校で学んだ知識ややり方は、陳腐化しています。アップグレードしないといけない。なので本当に大事であり学ぶべきことは、世界を正しく捉える方法そのものを学ぶことなんです」

Q:「10の本能」を知らなかったがために起こった失敗ってありますか?
A:「時に欧州委員会は事実ベースで判断しないことがあり、市民を惑わせることがありました。なのでこれを正そうということで、データを調べるところからやり直しましょうと。そうしてまずはデータ集めに取り組んだのですが、これが本当に大変でした。政治家は成果を焦るんです。すぐPRしようとする。すぐ賛同を得ようとする。より良い判断のためにはもっとデータが必要だとわかっていたので、時間をたっぷりかける必要があった」
「スウェーデンで政治家にチンパンジーテストを受けてもらおうと試みた時も大変でした。受検に対してかなり拒絶反応が出ました。日本の皆さんも、政治家にこのテストを受けるように促してください。そうするとデータを基に物をみる方法が広がると思います」

■ありがとうございました!

FACTFULNESSを読んだという方も、まだ読んでいないという方も、このイベントや録画配信が、改めて本を読む機会になれば嬉しいです。あなたのビジネスや働き方、物の見方が少しでも前に進むきっかけになればと思います!

■講演会をやってみて

今回、FACTFULNESSファンがたくさんいることがわかりました。著名人の方も本をテーマにしたインタビュー、関連イベントに登場してくれました。
これからもこういった、本をテーマにしたイベントや情報発信をやっていきたいと考えているので、ぜひあなたのリクエストを教えてくださいね。

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