見出し画像

「スープラ」is BACK!! 豊田社長の復活への思い

トヨタ自動車‏が17日、高級スポーツカー「スープラ」の新モデルを発売し、記者発表会が都内で開かれました。私の学生時代は「クルマを持っていないと、女の子にモテない」といわれたもんです。私を含め周りにクルマを持っている人は結構いましたが、さすがに高額なスープラを乗り回す人はいませんでした。そんな憧れの高級スポーツカーです。でも最近の人気はエコカー、若者のクルマ離れも進んでいるといいます。自動運転も進化しクルマを取り巻く環境が大きく変わりつつある今、生産終了から17年も経った車種をなぜ復活させたのでしょう。その答えを探りにクルマ大好きな私が発表会に参加しました。

■17年ぶりの復活

以前の「スープラ」は2002年まで販売されました。5代目となるスープラは17年ぶりの復活です。日本の初代モデルは「セリカXX」という車名でした。スポーツカー「セリカ」のボディに直列6気筒のエンジンを載せていました。
新型は今年1月に北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)で世界初披露されました。日本のモデルは「SZ」「SZ-R」の4気筒モデルと6気筒モデルの「RZ」の3つのグレード。伝統の直列6気筒エンジンと後輪駆動(FR)は継承しています。提携しているBMWとの初めての共同開発車です。

新型GRスープラの販売価格(税込み)
グレード  2.0リットル直列4気筒ターボ  3.0リットル直列6ターボ
SZ         490万円            なし
SZ-R        590万円            なし
RZ         なし          690万円

■豊田社長の思い

会場のMEGA WEB(メガウエブ)は多くの報道陣でにぎわっていました。歴代モデルのオーナーも招かれていました。冒頭でトヨタのGAZOO Racing Companyの友山茂樹プレジデント(トヨタ副社長)が開発の経緯やエピソードを披露します。「スープラ」の復活を誰よりも強く望んでいたのはテレビCMでも熱く語っている豊田章男社長でした。

豊田社長はトヨタのテストドライバーの最上位、マスタードライバーです。「モリゾウ」の名前でレーシングドライバーとしても活躍中です。2007年、もうすでに生産が終わっていた中古のスープラを駆ってドイツのニュルブルクリンクのレースに参戦したときのことです。豊田社長の師匠でマスタードライバーの成瀬弘さんが嘆いたといいます。「ドイツ勢を見てみろ。開発中の新型車で走っている。トヨタが勝負できるのは中古のスープラしかない」

その言葉が忘れられず、豊田社長は「いつかスープラを絶対に復活させる」と決意します。成瀬さんは2010年に事故で亡くなります。昨年、ニュルブルクリンクで新型スープラを最終テスト走行した際、「成瀬さん、ついに新型スープラでニュルに来ましたよ」と声をかけたそうです。熱いエピソードですね。

買ってもらえるようになるまで改善積み重ね

開発スローガンは「数値を追い求めるのではなく、いかに乗り手が車両と一体になって運転する楽しさを感じられるか」。友山プレジデントは自身も1997年型の80スープラに乗っています。「乗って楽しいの神髄」など熱い言葉が次々に飛び出します。

左はGAZOO Racing Companyの友山茂樹プレジデント

エコカー全盛、自動運転の技術が進んでいます。私は内心、「スポーツカーは売れないんじゃないか」と思ってましたが、完全に撤回します。
友山プレジデントのこの言葉で目覚めました。
「スポーツカーは儲からない、売れない。ファントゥードライブの時代じゃないと、冷ややかに見る人がいるのも事実です。でもやめていったら、その後に何が残るんでしょうか。かつての移動手段であった馬はクルマに置き換わりましたが、競走馬は残っています。自分の意志どおりに自由に速く美しく移動したいという人間の欲求は普遍的なものであり、それを実現してくれるものに対する人々の感情は心ときめくものがあります」
「儲からなければ儲かるようになるまで、売れなければ買ってもらえるようになるまで、歯を食いしばって改善を積み重ねる、それがトヨタ本来の姿ではないでしょうか」
1990年代にトヨタのMR2を運転していた時の楽しさを思い出しました。楽しいは正義です。本格スポーツカーの復活にエールを送りたい。「乗りたいっ、でもお金がない」。悶々とした気持ちで会場を後にしました。

余談
ステージに展示されていたのは上級グレード「RZ」の専用色「マットストームグレーメタリック」。このカラーは複雑な塗装が必要なため生産量がごくわずか。2019年度の生産はわずか24台!!17日から6月14日までの約1カ月間に専用Webサイト限定で商談申し込みを受け付けます。商談順は抽選のうえ、新型スープラをベースとしたマシンも出場する「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」のレース決勝当日となる6月22日~23日に発表するそうです。

会場には旧モデルも多数展示されていました。これは学生時代にあこがれた三代目のA70型。懐かしい!!

■Twitterでも発信しています


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?