Zaim代表 閑歳孝子インタビュー「20代の頃は、自信がなかった」

はじめて資産形成を始める!となった時、あの人はどんなことをしているのか、どんな経験をして始めたのか・・・。そんな疑問に答えるべく、みなさんに代わって新人がいろんな人にインタビューして聞いていく本シリーズ。第1弾は800万ダウンロードを超える家計簿アプリ「Zaim」代表取締役の閑歳孝子様にお話をお伺いしました。

【閑歳 孝子 かんさい たかこ】 株式会社Zaim代表取締役。1979年、大阪府生まれ。慶應義塾大学卒業後、日経BPで記者・編集業務を3年半経験。その後ITベンチャー企業のディレクターに転身し、並行してプログラミングを独学。2008年、ユーザーローカルに入社。業務外の時間に個人で家計簿アプリ『Zaim』を開発し、2011年リリース。2012年に会社化して現職。800万ダウンロードを超えるサービスに育てる。


_Zaimさんのステッカー、会社のパソコンに貼ってるんですよ。ずーっと。

閑歳:すごい!どこでもらったんですか。

_ご講演の時に頂いて。それ以来ずっと。

うちのスタッフに間違われそうですね。

_そうなんです。ずっとインタビューしたいと思ってたんです。今日はよろしくお願いします。

よろしくお願いします。 


■「このままいくと食べていけないんじゃないか」という不安

_まずはご経歴から教えてください。日経BPからKBMJ(現:アピリッツ)、ユーザーローカルと2社転職をご経験されたんですよね。

そうです。初めて転職する時は収入面の不安はもちろん、社会的な信用がなくなるんじゃないか…と心配しました。きっともう大企業には戻れない、みたいな「一方通行感」の不安が当時は大きかったですね。そもそも信用は「日経」の看板にあって、私個人についているものでもないのに、どこかで勘違いしていたんだと思います。

_それでも転職を決意されたんですね。

えいって。すごい緊張しました。当時は記者だったので文章を書くスキルはあったんですが、これから30年40年と同じ仕事を飽きずに続けていけるのかしらと考えていて。目立った能力もない自分は、この先食べていけなくなるんじゃないかと、すごく心配してました。今思うと、自分に自信がなかったし、「こういうことができるんだ」って胸を張って言えることがありませんでした。その裏返しで、怖かったんでしょうね。

_転職を経験されてからは、記者時代と何が変わりましたか?

記者だった時は、いろんな方に会うことができすごく面白かったんですけど、ある程度まとまったトレンドにならないと記事として取り上げられないという、もどかしさもありました。それをいち早く表現するには、やっぱり作る側に回るしかないと強く思うようになったので、そこの意識が変わりましたね。



■人生は最終的にロジックじゃないところもある

_プライベートはそのころどうでしたか?

27歳の時に家を買おう、となって今の夫と結婚しました。

_すごい順番ですね。笑

ゴールデンウイークの4日くらいの休日で、私の両親との顔合わせ、夫の両親との顔合わせ、両家の顔合わせ、そして物件の契約と、家を購入するまでに必要な手続きをばーっと終わらせましたね。もともと夫は感覚派で、私は慎重派。物件を買うってなったら、通勤経路にある家を全部表にして調べるくらい、私は調べ癖がすごいんです。でも、大きい買い物って手続きが面倒で、もう二度とやりたくなくなるじゃないですか。なので、勢いが大事だなと思いました。夫は貯金できないタイプですけど、お金をすごく楽しそうに使うんです。自分はここに住みたいとか、ここがいいっていうのをズバッと決めて、わーっと盛り上がるタイプ。

_家を買うともなるとロジックで考えたほうがいい気もしますけどね。

そうですね。でも私が常にロジカルに考えてしまうので、ピンポイントに「ここがいい」って言ってくれると救われるんです。最終的にはロジックで決まらない部分って、人生すごくあると思うので。 


■先が見えるとおもしろくない

_別の閑歳さんのインタビュー記事で、「人生の先が見えてしまうとおもしろくない」とおっしゃっていましたが、そう思うきっかけはあったんですか?

なんだろうなあ。高校3年生くらいまでは私、獣医になろうと思っていて、北海道大学の獣医学部が第一志望だったんです。でも、受験生の頃に偶然、慶應義塾大学の環境情報学部の存在を知って。この時、「あぁ、私はきっとここに行くんだな」という直感が働いたんです。何がしたいという明確なビジョンがあったわけではありませんが、だからこそ力いっぱい頑張れば、何でもできるし何にでもなれるというワクワク感が強かったです。今でも、自分が100%以上の力が求められている環境が好きですね。

_今でも常に100パーセントでやられてるんですね。

そうですね。7年ぐらいこのサービスやってますけど、従業員が増えたりしてフェーズごとにやることが変わってるんです。同じ役割で同じことやっていたら飽きてしまいますが、そうじゃないからおもしろい。環境に、すごく恵まれてると思います。


■20代は自分にとってのセーフティーネットをつくる期間

_このインタビュー記事を読んでるnoteユーザーは20・30代の方も多いと思いますが、閑歳さん自身の20代を振り返って何か彼らにアドバイスしたいことはありますか?

私は20代は割と貯金できたタイプなんですけど、それは必ずしも正解ではないかなと思っています。たくさん飲みに行ったら、それで仕事やプライベートが充実する可能性もありますし。投資も、今だったら小さな額から始められる入門向けのサービスがあるので、情報をちゃんと集めて、不安になりすぎないよう自分に合ったやり方を見つけていくといいんじゃないでしょうか。そういう意味で、20代は自分にとってのセーフティネットを作る時代なんじゃないかな。

_セーフティネットですか。

私は心配性で、食っていけないかもしれないって思ってた話を最初にしたんですが、そんな心配をしない人ももちろんいますよね。きっと、どこかで「大丈夫だ」っていう安心感があるんだと思うんです。助けてくれる家族や友だちがいるとか、換えが効かないスキルを持っているとか、そもそもすごく気持ちがポジティブか。そういう人って、他の人からもらう前に、まず自ら周りに与えている方が多いなと感じます。徳を積んでいるというか。それが、自身のセーフティネットをつくることにつながるんじゃないでしょうか。

_徳を積む、ですか。どうやって徳を積んでいったらいいのでしょうか?

noteで発信するのは相当、徳を積んでると思います。noteって、必ずしも絶対に書かなきゃいけないから書いている人ばかりじゃないですよね。それでも自分から時間を使って発信して、誰かに情報を与えることで、巡り巡って自分に返ってくるんだと思います。こうした情報発信から始めるのは、気軽でいいんじゃないでしょうか。


■小さな金額で自分を知る

_少し話題を変えて、お金の話をしていきたいんですが、資産形成応援プロジェクトでは少しでも「資産形成」に対する読者のハードルを下げたいと思っています。そのためにどんなことが必要だと思いますか?

すごく具体的な話をすると、現状は証券会社の口座開設ひとつ取っても手間が多いですよね。煩雑な手続きを乗り越えるためにも、世の中の空気感の後押しは必要でしょうね。ロボアドバイザーは、すごくデザインやインターフェースが分かりやすく作られているものが多いので、まず投資自体を試してみたいという方におすすめです。

_相場が悪くなると解約したくなったりするんですが、そういう時はどうすればいいですかね。

小さい金額から始めるのがいいかもしれません。やってみたら「自分はすごく株価に気持ちが左右されるな」とか性格が分かってきます。初心者の方へおすすめしている「長期投資」は本来、相場に波があっても動じないタイプが向いています。まずは少額から慣れていって、たとえ多少、損しているフェーズであっても気にならないよう精神を鍛えておくのがいいんじゃないでしょうか。

_閑歳さんは実際になにを投資ではやられているのでしょうか?

ロボアドを2つと、iDeCoと、つみたてNISA、あと毛色が違いますが保険も1つ入ってます。投資のためなのか貯金のためなのかっていう目的を明確にするようにしていて。いろんな商品を試しながら「なるほど、なるほど」って納得しながら比較するのが好きです。

_ありがとうございます。それでは最後に、Zaimの今後の展開を教えてください。

今はフィンテック業界全体が盛り上がっていて、そのうちの一つのサービスとしてメディアなどで紹介いただくことが多いのですが、私たち自身が一番の目的としているのは「一人ひとりの暮らしに寄り添い、行動を変える」ということです。業界側が個人を変えるということではなく、「わたしはこういうことを大事にしているから、こんな暮らしを実現したい」と、個々人が自分で判断できるようになることで、社会全体が変わると思っていますZaimを使うことで、一人ひとりの暮らしが変わると嬉しいですね。
今、Zaimは「家計簿サービス」と言われることが多く、また自分たち自身でもそう定義していますが、家計簿という言葉だと、主婦の方が使っているイメージがいまだに強いと思っていて。

_そうですね。

実際はそうではなく、認識と現実のギャップがある男性の熱心なユーザーさんもたくさんいらっしゃいます。若い方は、そもそも自分がどういう状態かわからない人も多いので、「家計簿」という言葉に引っ張られず、Zaimを通して自分のことをよく知ってほしいです。

_日経の読者でいうと、プレ退職世代も多いです。

そうですね。退職金など、ある程度まとまった額が入ってくると、「このお金を狙って、誰かが騙してくるんじゃないか」という警戒心が強まると思います。お金について、私情を挟まずに信頼できる情報をくれる人って、本当に少ないんですよ。そういうところでZaimが客観的なデータを提供して、問題解決につながるといいですね。今まさに、そういったことが団塊の世代の方々に必要になってくると思うので。

_今日はありがとうございました。
(このあと閑歳さんと記念撮影させて頂きました) 


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

9
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。