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注目の成長企業トップが激語り-NEXTユニコーンmeetup

ユニコーン、それは、可能性の獣ーーー。「機動戦士ガンダムUC」でこのような表現が出てきます。ユニコーンーーーガンダムUCもOTのいるバンドのほうも有名ですが、この数年はビジネスでもよく聞く言葉になりました。

「ユニコーン企業」という言葉の定義は「企業価値が10億ドル以上の未上場スタートアップ」とされています。元は「滅多に出会うことのないもの」などのニュアンスから、「ユニコーン」との呼称が与えられたそうです。その後、米中を中心にユニコーンは続出していますが.....

日本経済新聞では、次なる成長企業(=ユニコーン)をフィーチャーすべく、独自調査をもとに「NEXTユニコーン」企業を選定し、紙面や日経電子版、特設サイトでご紹介しています。

先日1月29日に「NEXTユニコーン」に選定された企業のトップをお呼びしてイベントを開催しましたので、ご紹介したいと思います。

まずお話したのは日経でNEXTユニコーンを担当した編集者の加藤貴行。記者として長くスタートアップを取材し、ドイツに赴任しヨーロッパのスタートアップシーンの取材もしていました。なお好きなレスラーはミスタープロレス・天龍源一郎さんです。

NEXTユニコーンは自社による独自調査で、企業価値も記者が算出しています。データをもとに電子版や紙の記事として掲載し、特設webサイトも作るなど幅広い表現を使っています。今回のイベントもその一環です。

加藤は「世界で産業構造が大きく変化し、時価総額上位の企業が大きく変わる中で日本はあまり変化がない。だが時代は変わっており、日本でもスタートアップが増えると大企業でのオープンイノベーション、スモールとビッグビジネスの共振が生まれている」と話します。

今回のNEXTユニコーン調査は、「こんな報道してほしい」などの意見を募集しているそうです。(註:何か建設的なご提案があればコメント欄にお書き頂ければ伝えておきます)

つづいてスタートアップ向けの投資管理ツール「FUNDBOARD」を運営するケップルの神先CEOが登壇。スタートアップの資金調達環境についてお話されました。

実は神先さんは会計士の出身。スタートアップ向けのサービスをしているうちに、こうしたサービスを始められたそうです。
(註:ケップルには日本経済新聞社が出資しています)

神先さんは資金調達環境について、自社サービスに見る傾向と会計士としての知見、そして具体的なニュースをもとにご紹介。

詳しくは参加された方だけの特典ですのでポイントをかいつまんでみますと・・・

・企業によるスタートアップ買収増加
・投資家が多様化。特にエンジェル投資家など
・地方の信金と組む 
・海外ベンチャーキャピタル(VC)が日本に注目
・ファンドが大型化
・BtoBサービスが増えている
・金融市場悪化の影響は足元はないが、数年後はあるかも?
・IPOタイミングの長期化、スモールM&A(合併・買収)が増えている
・大企業の「新規事業開発のアウトソース」としてのスタートアップ出資が根付いてきた

ということです。

続いてはNEXTユニコーン、TBMのCEOである山崎さんです

TBMの主力製品は「LIMEX」という素材。石灰石を主原料にしたもので、紙やプラスチックの代替素材として訴求しています。生産時の水の消費量が少ないため、環境負荷が低いことが特徴です。身近なところではスシローや吉野家のメニューにも使われているそう。石灰石は世界に豊富に存在し、また、水資源が少ない国からの引き合いが多く、すでに世界進出を進めています。

直近、サウジアラビアで事業展開を進めているほか、今後は中近東の各国、アフリカへの展開も目指しています。

続いての登壇はウェルスナビの柴山CEO。資産運用ロボアドバイザーの会社です。

ロボアドバイザーについてはご存知の方も多いでしょう。スマホを使ってカジュアルに分散投資ができるのが特徴で、現役世代を中心に利用が広がっているそうです。ウェルスナビの預かり資産は1200億円を突破。1年前の500億円から急伸しています。「利用者のうち20-30代が半分なので、リタイア層のイメージが強いこれまでの資産運用サービスと違い、働く世代のためのサービス」だということです。

また同社は主に販売面で様々な企業と提携しており、大企業の「オープンイノベーション」の経験が豊富です。

最後は登壇者によるトークセッション。モデレータを日経の奥平編集委員がつとめました。(日本のスタートアップシーンの現在を書いた著書『メルカリ』も好評です!!)

まずはお二人が経験した経営の危機について。
TBMの山崎さんはやはり資金調達だったそう。リーマン・ショック後には特に苦戦したものの、経済産業省の補助金を受けたことが好転のきっかけになったそうです。またお金の出し手はVCよりも企業が多かったそう。
また、トレンドとしてSDGs(持続可能な開発目標)や大企業のオープンイノベーションが出てきたことも大きかったそうです。

一方の柴山さん。金融での起業は、投資家は許認可が取れたら、規制当局はユーザーが取れたら、という「ニワトリと卵」状態になり、苦労をされたようです。そうした中で最初にベンチャーキャピタルがリスクを取ってくれたとのこと。担当の方は相当なリスクを取ったようで「人の思いが動かす要素が大きい」とかみしめていらっしゃいました。

スタートアップと大企業との協業において重要なのは「キーパーソン」というのはお二人共通の見解。山崎さんは「企業の中で熱量込めて啓蒙してもらった、その人が起点になって資本業務提携になった。戦友であり仲間」とおっしゃってました。

柴山さんは加えて「責任者、経営トップ、事業部門トップと理念を共有できるかが重要」と指摘します。日本企業において調整コストは増えがち。トップとの”握り”ができていれば現場は動きやすい.....身に覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

大企業との協業の注意点としては「単純に顧客基盤と技術をそれぞれ持ち寄ってくっつける...のような考えだと、事業が伸びない傾向にある。重要なのは理念のすり合わせ」(柴山さん)。「事業がうまくいかない時もある。最初の段階できちんと”握っておく”ことが重要」(山崎さん)とのことでした。

イベントの様子は電子版にもググッと濃縮して掲載しております。こちらには動画もありますので、ぜひご覧ください

以上、これでもイベントのほんの一部でしたがご紹介しました。
ご来場の方はその場で登壇者への質問もできます。次の機会にはぜひお越しいただけますよう、お待ちしております。