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「国境を越える・ハードルを越える」~宮内さん、為末さんをお迎えして

10月10日(木)午後、日経CNBCでは開局20周年記念シンポジウムを開催しました。私が担当させていただいたのは3部構成のうちの第2部。「ハードルを越える~今、日本に求められるもの」というテーマで、オリックス、シニア・チェアマンの宮内義彦さんと元陸上選手、現在は株式会社Deportare Partners代表の為末大さんにご登壇いただきました。朝エクスプレスを一緒にやっている改野由佳キャスターと私が進行役です。

第1部と第3部は日経CNBCらしいといいますか、「どうなる世界経済」とか「どうなるマーケット」みたいなそのものずばりのテーマです。間に挟まれた第2部はなぜ「ハードルを越える~今、日本に求められるもの」?

まあ、色々と考えてはいたんですが、要はお2人を交えたセッションをやってみたかったわけです。ものすごく。

宮内さんが創業から関わり、その後経営者として引っ張ってきたオリックスは、私が記者としてまさしく駆け出しの1年目の秋(昭和63年秋)からしばらくの間、担当させていただいた企業です。担当当初は、まだ社名がオリエント・リース。その直後にプロ野球球団を買収してオリックスに社名を変更、日本の金融界、実業界でますます存在界を高めていったころです。よく分からないなりに、大きな刺激を受けました。その後の記者生活でずっと抱くことになる“金融”への関心の原点となる問題意識を教えていただいた取材先です。

為末さんとお仕事をさせていただくのは初めてでした。実はずっとファンで、結構ご著書を読んだりとか講演を聞いたりしていました。自分自身は陸上競技とは無縁ですが、アスリートには基本的に尊敬の念を抱いています。為末さんの場合にはそのプロ意識とか、哲学性とか、言葉の力がすごいんですね。ツイッターのフォロワーは47万超!SNSやメディアなどを通じてその魅力をご存知の方も多いと思います。

それぞれの国境を越えた原体験であるとか、起業や勉強の苦労、(心の)ハードルを越えたポイントなど、様々にお話しいただきました。みなさんが投資するおカネは、今では当たり前に国境を越えているわけですが、国境やある種のハードルを越えていくのは、おカネだけではないですよね。一人一人の生き方も、そして企業活動も。

為末さんには、このセッションでもさまざまに印象的な言葉を発していただきました。一つ例を挙げるとすれば、アスリートのセカンドキャリアについてのお話しでしょうか。アスリートだけに、ある程度若いうちから、セカンドキャリア、サードキャリアを築かなければならないケースが多いのですが、「(スポーツのように)こんなにも夢中になれるものにまた出会えるのか?」とか、「そもそも自分にできることが(スポーツ以外に)あるのか?」といった悩みを抱えるのだそうです。多くのアスリートが。そして為末さんご自身も。

加えて「成功したアスリートであればあるほど、プライドが邪魔をして何かを新しく教わる、傾聴するという気持ちが持てなくて失敗してしまうケースが多い」とのこと。他人事ではないです。また、成功経験があだとなって環境変化への対応を阻害する点では、企業でもまったく同じだと感じました。

セッションの最後に、お2人にそれぞれ会場にいらした方へのメッセージをお願いしました。

宮内さんはちょっと考えた後で「10歳の時に敗戦を迎えたが、戦争ほど理不尽なものはない。戦争への道は決してたどってはいけない。そのためにも、もっと多くの人に、特に若い人に政治に関心を持ってほしい」という意味のことを話しました。少し意外でした。経営のガバナンスやマクロ経済の関心、あるいはキャリア形成や健康の話かと勝手に想像していたのです。その後自分で考えてみましたが、まさしくこれこそが宮内さんのこの日の大切なメッセージなのだと思います。

宮内さん、為末さん、お忙しいところありがとうございました。拙い進行を巧みに修正してもらった改野さんにも毎朝のことながら深謝です。ご来場いただいた方々も本当にありがとうございました。みなさんはどんなことをお感じになったでしょうか?

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