やまぐち

ドキュメント72時間ウォッチャー。 非公式で毎週語る音声配信やってます。配信はこちら→…

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ドキュメント72時間ウォッチャー。 非公式で毎週語る音声配信やってます。配信はこちら→ https://lit.link/d72hwatch  あと音楽も好き。

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    セトリやアーティストの言動だけではなく、その場の雰囲気から感じたことを書きます。

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最後に行ったライブから160日が経った

最後に行ったライブから160日が経った。 まだ肌寒い2月の末に渋谷で行われたそのライブは入口でのアルコール消毒、そして、観客のマスクの着用が義務づけられていた。そのため、観客のほぼ全員がTシャツ1枚にマスクという出立で、ライブ開始前の高揚感とは全く別の緊張感のようなものがライブハウス全体に満たされていた。 2月末の段階でいくつかのライブはすでに自粛要請に従い、中止や延期が発表されはじめていた。世間からのライブハウスへの風当たりも強くなりはじめていた。そんな逆風の中で開催さ

    • 「ドキュメント72時間 年末スペシャル2023」への出演をPodcastでふりかえりました

      2023年12月30日に放送された「ドキュメント72時間 年末スペシャル2023」になんとドキュメント72時間東京支部のメンバーとして出演しました! その感想と発表された視聴者投票ランキングの順位をふりかえりました。番組と合わせてぜひご視聴ください。

      • 「ドキュメント72時間 年末スペシャル2023」TOP10まとめ

        12月30日(土)にNHKで放送された『ドキュメント72時間』年末スペシャルで発表された視聴者ランキングをまとめました。 本編はもちろん、番組とは関係なく勝手に配信している我々のポッドキャストも合わせてお楽しみください。 10位「島根・黄泉比良坂 あの世との境界で」9位「フジロック 待ち望んだ夏の日に」8位「岡山 24時間営業のドライブイン」7位「福岡・高速バスターミナル 年の瀬を走る」6位「福岡・高速バスターミナル 年の瀬を走る」5位「大病院の屋上庭園で」4位「北海道・礼

        • 面白いだけはもうダサいのかも知れないーー『ドキュメント72時間』考察

          NHKで放送されている番組『ドキュメント72時間』が好きだ。72時間、一つの場所を定点観測する。そこを訪れた人や通りがかった人へインタビューするというシンプルな構造なのに見入ってしまう不思議な魅力がある。 この番組をかれこれ10年以上見ているのだが、ひょんなことから知り合った友人と一緒に2年ほど前から続けているこの番組だけを語るポッドキャスト配信の節目として、改めて72時間の魅力を書いてみようと思う。 普段ポッドキャストを聴いている方も、そうでないドキュメント72時間が好き

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          10本

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          読む「ドキュメント7.2時間」(ポッドキャストウィークエンド後記)

          ポッドキャストをやっているとよく「普段どんなポッドキャストを聴くんですか?」と質問される。そうなる度に「あまり聴かなくて……」と申し訳なさそうに答えている。 実際、Spotifyが個人個人に公開している年間聴取データによると、僕が2023年に聴いたポッドキャストは累計200分程度らしい。 ちなみに音楽だと3753曲、アーティストは1510組らしい。1曲3分だとしても、1年のうち7.8日は音楽を聴き続けていたことになる。さらにSpotifyのサブスクとは別に普段からウォークマ

          読む「ドキュメント7.2時間」(ポッドキャストウィークエンド後記)

          僕が走らないのには理由があって…

          「えっ、走らないんですか?」 そう聞かれることが多くなった。最近は時間を問わず、街でよくランナーを見かける。彼らは、軽快かつ細やかなハンドリングで街を走り抜けていく。そんな姿を横目に、半ば羨ましいなと思いつつも、今に至るまで僕はランニングをしていない。 理由はいくつかある。まず、運動がきらいな子供時代を過ごしたこと。体育の授業のバスケやサッカーの試合に漂う、あの独特のヒエラルキーや空気感が嫌いで、高校時代のほとんどは体育館やグラウンドのすみっこで、授業をサボって雑談に花を

          僕が走らないのには理由があって…

          遅いインターネット(個人的な話)

          「遅いインターネット」という矛盾を含んだ言葉に出会ったのはいつだっただろうか? 個人的な話中学生の頃、新しいものが好きだった祖父のお古として与えられたwindows98をいじりながら、学校やテレビからは見られない、あまりにも欲望がむき出しで、危険な「オトナの世界」をモニター越しによく垣間見ていた。クリックすると画面が真っ暗になるブラクラや、いきなり大音量で奇声を発するサイトなど本当に今考えるとクレイジーなものしかなかった。 けれども、中学生だった僕のとって、それは普段真っ当

          遅いインターネット(個人的な話)

          「アイムクレイジー」は何を選んだのか?

          人生には選ばなければいけない瞬間がある。自分の人生を完全に徹底的に生きるか、堕落した人生をダラダラと続けるかのどちらかを。 (劇中より) カメラのレンズくらいちゃんと拭けばいいのに。「アイムクレイジー」の最初のシーンに抱いた感想だ。そして、ビビットすぎてかなり白飛びした絵づくり。なんだかいろんな部分がちぐはぐでホームビデオをみているみたいだった。 そんな映画を観た帰り道、初めてThe SALOVERSに出会った曲「china」を久々に聴いた。 ドレスデン 僕らは何かと差

          「アイムクレイジー」は何を選んだのか?

          サカナクションは、なぜ暗闇を作らなければならなかったのか?

          「あいちトリエンナーレ2019」で2019年8月7日から11日まで開催していたサカナクション「暗闇 -KURAYAMI-」。その名の通り、会場を完全なる暗闇にして、ライブが行われる。演奏される楽曲に馴染みのヒット曲は一切なく、この日に合わせたスペシャルな構成だった。 サカナクションは「6.1chサラウンドLIVE」など音響にひたすらにこだわってきた。こだわり過ぎてライブはチケット代のみでは赤字の時もあるほどらしい。今回のライブもその音響へのこだわりは例外ではない。 それに

          サカナクションは、なぜ暗闇を作らなければならなかったのか?

          「nendo × サントリー美術館 information or inspiration?展」を見たほうがいい理由

          現在、サントリー美術館で開催中の展示会「 information or inspiration?展」。 佐藤オオキ率いるデザインオフィスnendoが新しい日本美術作品の鑑賞方法を提案している本展示会は、単に日本美術の捉え方をアップデートするだけにとどまらない示唆を与えてくれる展示会だ。 1粒で2度美味しい「展示会構成」「1つの展示会のようで2つの楽しみ方ができる」というコンセプトになぞらい、会場構成は、大きくinformation(左脳)エリアとinspiration(右脳

          「nendo × サントリー美術館 information or inspiration?展」を見たほうがいい理由

          曲順で振り返るライブレポ(The Mirraz 427@新宿Marz)

          僕らなんてたまになんか不必要になる 生まれなきゃよかったとか思う事もある 生きていればきっといつかなんて言葉が 嘘くさくて嫌になって嘔吐したくなる だけど今日だけは今だけはこの日だけは 君と出会えたって喜びだけで心満たしたい 迷い、涙、苦しみ、「嫌い」、痛み、怒りも 何もかも忘れるんだ 何もかも忘れよう "We are the fuck'n world" The Mirraz The Mirrazの毎年恒例自主企画ライブ「Pyramid de 427 part12」。12回

          曲順で振り返るライブレポ(The Mirraz 427@新宿Marz)

          過剰な話、電気グルーヴ。

          僕にとって電気グルーヴはフェスで1年に2,3回かみる程度のアーティストだ。そこまで詳しいわけではないし、めちゃくちゃファンというわけではない。 ただ、毎回見る度に彼らのめちゃくちゃなところや、彼らがとても楽しそうに音楽をやっている姿が印象的だったし、その姿はとても好きだった。 そして、おそらく一度でも電気グルーヴを見たことがある人たちや音楽を聴いたことのある人は楽しんだはずだ。 だからこそ、彼らの音楽をなくしてはならない https://www.sonymusic.co

          過剰な話、電気グルーヴ。

          小学生のころ、「電気係」だった

          この記事は、渋谷セカンドステージVOL.20 渋谷ヒカリエで『「学校」をアップデートする』を見て感じたことです。 https://peatix.com/event/602261 実際のイベントの様子はこちらを参照ください。 https://www.obatakazuki.com/schoolupdate 電気係の話僕が小学校1年の頃、クラスの係決めが必ず1学期に1回あった。 クラスは30名程度。不平等を無くすためにと全員に係が割り振られた。 学級委員や「いきものががり」

          小学生のころ、「電気係」だった

          炎上について僕が思うこと。そして、ハリネズミ。

          言葉の力が強くなったり弱くなったりしてることを最近強く感じる。 例えば、Twitter。140文字という現代版川柳のような立ち位置で、日常のなんでもないことをつぶやくツール。ツイート欄に「いまどうしてる?」という言葉があるが、実際は「いまどうしてる?」なんてつぶやく場所ではなくなっている。どちらかといえば、「いまなにかんがえてる?」が近い気がする。Twitterは行動をシェアするツールではなく、自分の思想を宣誓する場所になっている。 そんなTwitter上にも強い言葉と弱

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          ハチクロのその先

          3月のライオン14巻が発売された。3月のライオンを待ち望んでいる僕としてはとても待ちに待った日だ。 ここからはネタバレになります。 今回の3月のライオンに出てくるハチクロのキャラクターについてだ。団体将棋大会に間山の就職先であった藤原デザイン事務所の面々が登場する。その中で野宮さんが山田さんのことを「奥さん」とよんでいる。そして、間山がりかさんのことを「彼女」とよんでいる。みんなそれぞれがそれぞれ結ばれたのだ。ただ、ハチクロを読んだことのある人ならこれがきれいなハッピーエ

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          芥川賞受賞作『ニムロッド』はなぜ仮想通貨を扱ったのか?

          第160回芥川賞受賞作 上田岳弘著『ニムロッド』。芥川賞受賞作ということで話題であるが、この小説の重要な点は別にある。それは、「仮想通貨」をモチーフとして登場させて、それを文学界に認めさせたことにある。 文学とテクノロジーは乖離が起きやすい。まず文学側の人間がテクノロジーについていけていない。「人の温かみがない」という理由だけでヘイトされることさえある。 ただ根本的な原因は、双方の持つスピード感の違いが大きい。文学は普遍的な人の内面の機微を記述することに適している。テクノ

          芥川賞受賞作『ニムロッド』はなぜ仮想通貨を扱ったのか?