曲順で振り返るライブレポ(The Mirraz 427@新宿Marz)

僕らなんてたまになんか不必要になる
生まれなきゃよかったとか思う事もある
生きていればきっといつかなんて言葉が
嘘くさくて嫌になって嘔吐したくなる
だけど今日だけは今だけはこの日だけは
君と出会えたって喜びだけで心満たしたい
迷い、涙、苦しみ、「嫌い」、痛み、怒りも
何もかも忘れるんだ 何もかも忘れよう
"We are the fuck'n world" The Mirraz

The Mirrazの毎年恒例自主企画ライブ「Pyramid de 427 part12」。12回目となるこのライブは、通常の演奏に加えて、ボーカルの畠山が監督・脚本・編集を行なった短編映画の上映会があるちょっと変わったライブだ。

今回は、クエンティン・タランティーノ監督のReservoir Dogsのパロディー映画"neco-or dogs"。なぜ今この映画なのか?という疑問はさておき、年々編集や監督の技術が上がっていて、毎年楽しみだったりする。

僕はしっかり立ててますか?
恥ずかしくないよう立ててますか?
なんちゃって感傷に浸ってたって
時間は過ぎてくばかりだって
少年漫画の主人公が敵を倒してく 
そんな姿に憧れてたんだ
そんなもんにはなれやしないんだ
"あーあ" The Mirraz

The Mirrazは、2012年メジャーデビュー、そして、2015年に自主レーベルを設立する。ロッキンなどの夏フェスでもかなりのお客さんを動員し、Mステにも出演したこともある。

もう何度失って来たんだ?
目の前を通り過ぎて行くのをそれと気付かずに眺めていた
もう二度と失いたくないないない
"オポチュニティレポート" The Mirraz

しかし、彼らは次第に表舞台から影をひそめるようになる。
畠山の書く歌詞には多くの固有名詞や攻撃的な歌詞が登場する。それがメジャーレーベルとあまり相性がよくなかったのだ。

歌いたい時に歌いたい歌を 伝えたい時に伝えたい歌を
会いたい時に会いたい歌を  歌うだけさ
"スーパーフレア" The Mirraz

武器を奪われた彼らは、歌いたいときに歌いたい歌を歌えなくなってしまった。それも要因の一つとなり、徐々にファンも離れていった印象がある。

まだ怒りにも成長してない 曖昧なこの小さな気持ち
今は蝶の羽ばたきのように何でもない感情だけど
いつかは竜巻のようになると信じてる
願わくばそれが正しい方へ行けるように
僕は信じて進んでいく それしかないから やってやるんだ
"バタフライエフェクトを語るくらいの善悪と頑なに選択を探すマエストロのとある一日" The Mirraz

しかし、そんな状況のママではいなかった。ミイラズは、自分たちのやりたい音楽をするために、メジャーから自主レーベルへと移籍する。

君の料理は丁度 僕の味覚に合うように 
濃い目でパンチが効いていて そして薬味の一手間が絶妙で
例えば朝のみそ汁はちょっとしょっぱいくらいの方が
食欲をそそるというわけで 野菜は大きめでということで
"君の料理(レシピNo.2027)" The Mirraz

文章を言葉にのせる、ラップのリリックのように、言葉を音楽にのせる。そして、これは歌詞なのだろうか?と思うような日常的な言葉で曲を作る音楽も初期の頃から続く特徴だった。また、"君の料理"や"一生忘れない"のような恋愛ソングに対して、社会に対しての歌を歌うのも彼らの特徴だ。

エンターテイメントもなんか 炎上と健康ばっか
見たくもないし聞きたくもないのに
見るしかないし聞くしかないし
検証する動画に対して 評論する一億人です
大げさなタイトルのわりに中身が何にもない記事だらけなんです
"扇風機みたいにあちこち首を回すのにはもううんざり" The Mirraz

タイトルが極端に長いこと、も特徴の一つかもしれない。

ああ 三分以内の名曲で
世界を変えるようなことができたなら
僕はまだ相も変わらずそんなことを思っているよ
君は笑うんだろう 僕もそう思うよ
"名曲" The Mirraz

映画「映画 夜空はいつでも 最高密度の青色だ」の主演俳優の池松壮亮も役作りで、タイアップ曲である「NEW WORLD」と合わせて、聴いていたという「名曲」。

初めてのことなんて、これからも沢山あるから
遊園地、歌舞伎も見よう、スターウォーズ新作やらないかな?
漫喫行って深夜2人でお互いの好きなマンガおすすめしよう
まずは三国志全60巻
そのころの思い出話を聞いて君をもっと知りたい
"ソシタラ~人気名前ランキング2009、愛という名前は64位です~"

恋愛ソングも彼らの手にかかれば、等身大どころか、生活に溶け込んだ利他的でかつ利己的な歌になる。損得を綺麗に切り離されて考えることなんてできない。

今日も明日も明後日も君に会えない
こんなことは他の誰にも言えない 言えないよ
何もかもを捨ててしまいたいや
そして僕はいつもひとりきり
君を呼んでいるんだ 本当は
"君を呼んでいる" The Mirraz

そして、アンコール一曲目。最新アルバム『DEATH IN THE PYRAMID』の最後の曲「君を呼んでいる」。演奏後に、今年は新曲をもうリリースしないと発表された。

EDMをベースとした楽曲から、9th Album『Mr.KingKong』を境に初期の頃のようなLAガレージサウンドに戻った。これをきっかけに2017-18年のミイラズは怒涛の勢いで楽曲を発表してきた。そんな彼らがリリースしないというのはまた何か別の新しいことをやろうとしているのではないか?そんな気がしてならない。

プロタゴニストの一日は誰にも知られず始まると
満身創痍で今日も終わる「きっと明日は…」って眠って
泣きたい時には泣けないで 泣きたくないのに泣けるんだ
描かれなかった小節はそっと心の奥で鳴るんだ
かっこ悪いからかっこつけるのさ
さぁその涙で腫れた眼に似合ってなくたっていいからレイバンかけて進め
"プロタゴニストの1日は"

プロタゴニスト(主人公)になろうとしてきた彼らと彼らのファン。絶対に売れて主人公になってほしい、そう思えた平成最後のミイラズのライブだった。

#音楽 #ライブレポ

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