見出し画像

映画にブンビーさんも出るみたいだし、ついでに彼を通じて所属先の敵組織のことも思い出そう〜Yes!プリキュア5〜

見出し画像は『Yes!プリキュア5GoGo!』OPから。記事内で言及するが一期においてあんまりなラストシーンを迎えたと思われるブンビーさんが二期のOPにちゃっかり出演してたシーンであり、多くの視聴者どころか声を担当する高木渉氏も驚いた。ちなみにこのブンビーさんはプリキュアシリーズにおいて初めてOPに敵幹部が出てきたという地味に記念すべき功績だったりする。やっぱりブンビーさんも永遠不滅!

・前書き置いておきますよ〜どうぞどうぞ。せっかくですしお茶と茶菓子もご一緒に…あ!茶柱!ツいてますねお客さん

2021年3月20日公開予定のプリキュア映画『映画ヒーリングっど♡プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo大変身!!』にプリキュア5のみんながゲスト出演する発表は大いに話題を呼んだ。それを機に自分は「プリキュア5といっても十数年前の作品だし、どんな内容だったか思い出してから見ればもっと楽しめるだろう」と前回の記事を執筆した。

これを機に改めてプリキュア5見たけど本当によくできてる作品だなぁと関心した。まだ見てないなら見てちょーだい

とまあ去年からちまちま書いてて公開一ヶ月前にようやっと書き上げた記事なので書いてる間に様々な新着情報が告知された。そんな中にこんなのが……

プリキュア映画恒例の前売券特典。今回は2種類のシールになっているのだがおわかりだろうか……?ピンク色のゆめのまちverにココナッツシロップと並ぶように見慣れたおじさんがいることを……

さらに新たなる映画情報にてエゴエゴなる敵の存在が判明、どんな悪事をしでかすかは映画見てからのお楽しみだが、それより声がどう聞いても高木渉。これ完全にブンビーさんが映画で声ありで出るでしょ!ブンビーさんも東京進出か!?と思われてたら公開一週間前のアナウンスにて…

もう公式の方も彼が出るのを見所のように宣伝してる!しかもプリキュア5側を重点に置いた副音声ボイスドラマも同時上映されそこでも当然のようにブンビーさんが出てくる!すごい!ここまでブンビーさん押してくるの感動しちゃう!

過去にも『映画プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!』にて遊園地に遊びに行く過去作品のゲストと共にブンビーさんは声ありで出演してたりした。この映画は歴代プリキュア作品の敵幹部も登場したのだが『ふたりはプリキュアMAX HEART』にて同じく高木渉が声を務めたウラガノス(画像2枚目の中国の猛将みたいな奴)もセットで出ていたし今回もそういう流れで……というかプリキュア5出すならせっかくだしブンビーさんも出したいし、それならもう高木さん敵役もしてもらえばよくね?というのすら勘ぐってしまう

いくら人気あるサブキャラとはいえそこまで厚遇するか?と考えたがこの前だって完全サプライズで出たし…

「なにか食べ物をプリーズ…」
プリキュアシリーズ15周年記念作品『HUGっと!プリキュア』の36話「フレフレ!伝説のプリキュア大集合!!」なるいかにも過去作品プリキュアが出てきそうなタイトルにて夢原のぞみ含む歴代プリキュアと共に告知なしの完全サプライズで出演するブンビーさん。この作品は前も告知なしでキュアブラック&キュアホワイトを奇襲的に出して大いに話題性を獲得した時もあったが、ブンビーさんもそのクチで出てきて視聴者を困惑させた。初代プリキュアに並ぶ偉大な功績!(そうか?)

今や亡きプリキュアのソシャゲ『プリキュアつながるぱずるん』(通称メキシ…キュアぱず)のイースターイベントにて。なんかいる。彼の存在がイースターエッグだ。もはやプリキュア5いるところブンビーさんありまでの登場率だ。


ということでせっかくだしブンビーさんってどんな人だっけ?と思い出してもらうか!と思ったが、別にそれだけだと正直Twitterでバズってそうな一ツイートだけで終わりそう(別に悪く言ってるわけじゃないよ)なので何かオリジナル性が欲しい。ならば彼が所属してた敵組織についても説明すればいいじゃんと思いついた。ナイトメアやエターナルってあんまり語られてないような気がするし。ついでに一時的にバイトしてたからムシバーンも出せる!やったね!

ちなみにブンビーさんと無関係なシャドウ様については触れません。この前の記事でダークドリームについて書ききったし(他の4人はすまんと思うが)こいつは別にいいでしょ。画像は『映画プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ!世界をつなぐ☆虹色の花』にて妖精とお遊戯会めいた追っかけっこの後にミラクルライトの光でしょうもなくやられるシャドウ様。この映画は歴代のプリキュア映画に出てた敵が総出演するが彼(彼女?今だったらノンバイナリーとかジェンダーレス扱いなのか?)だけ扱いが悪い。まぁ元の映画でもダークドリームに取られてたようなもんだし相応しいといえばそうだし誰も可哀想と思ってないし……

変な奴の話で脱線しそうになったがというわけでブンビーさんを通じて敵組織の紹介もしちゃうぞ〜けってーい!(高木渉ボイスで)


・あの頃はまだ良かった……部下もいて威厳は保たれてたし……いやでも上はおっかなかったしな〜なナイトメア時代の話

記念すべき初登場した2話「情熱全開キュアルージュ!」のブンビーさん。今聞くとまだキャラの演技が固まってないのか声が若めに演じてるが、この時からドリームコレット発見したものの回収できなかった部下に「おっと!言い訳はいいわけ?」なんてチョーシよくいびっていた。


「あはっあははははっ私にもいただこうかしら!(裏声で)ドリームコレットをね(こわいおじさんの声で)
6話「プリキュア5全員集合!」にてのぞみと水無月先輩が打ち解けそうになってる所に水を差すブンビーさん。ちなみにその前の話ではプリキュアが羊羹を嗜んでた時に「洋館だ」とダジャレなアドリブ挟みこんだりしていた。高木さんノリノリすぎる

14話「悩める生徒会長かれん」よりタクシーでサンクルミエール学園へと赴くブンビーさん。後述するおっかねえ上司から予算とか経費とか考えるべきとか釘刺されたのにこれである。ちなみにかかったタクシー代は650円、そんくらいの距離なら歩けよ。

23話「大ピンチ!悪夢の招待状!」にて突然プリキュアが社内に来て飲んでたお茶を吹いてしまったブンビーさん。見てるこっちも絶望のドン底に叩き落とすような地獄すぎる展開ばっかのこの話における唯一の癒やしである

29話「のぞみの一日マネージャー」にてうららの時代劇収録で役者に紛れて現れるブンビーさん。めちゃくちゃ似合ってるし後に高木渉さんが大河ドラマに出演したことを考えるとこのシーンがさらに面白くなる

39話「恐怖!デスパライア現る!」にて休日返上で一人虚しく仕事するブンビーさん。電卓での計算と書類の数字が間違ってるという生々しいやらかしに頭を悩まされ……

今さら説明するのもアレだが改めて。ブンビーさん(cv.高木渉)は『Yes!プリキュア5』においてプリキュアと敵対する組織「ナイトメア」の幹部である。なんでも願いを叶えるドリームコレットを奪い取るために妖精ココやナッツ達の祖国パルミエ王国を滅ぼした“悪夢”の名に相応しい敵組織!……なのだが所属してる 皆がまるで会社員のようにスーツを着てる会社風の組織だ。なにか会社ならばなんかしらの利益を発生させる仕事をしてる筈だがやってることはプリキュアと戦闘しドリームコレットを奪い取ろうとしてるばかり。今でもそこの謎な部分は分かってなかったりする。

基本的には不気味な仮面をなんかしらのオブジェクトに貼り付けることによって発生する怪獣コワイナーと共に戦う。画像は22話「ミルクの家出で大騒ぎ!」にて魚系ペットショップの水槽に貼り付けて生み出したクラゲ型コワイナー。ちなみに鳴き声の「コワイナ〜!」が初期の頃はマジで怖かったのか中盤あたりからコミカルっぽく言ってるパターンも散見されるようになったり

もちろん彼らナイトメア社員もプリキュア達と戦う。それこそ本当の姿になって…

これがブンビーさんの真の姿だ!ハチのような怪人態となり屈強なる肉体での物理攻撃をするのはもちろん、針をガトリングガンのように連射したり徹甲弾じみた巨大な砲身でキュアミントのバリアを突き破るといった強敵ぶり!忘れがちだが戦うとけっこう強いんだぞブンビーさんは!画像は33話「大スクープ!プリキュア独占取材!」にてサンクルミエール新聞部の増子美香が真実を知ってしまったのをホラー映画のごとく追い詰めるブンビーさん。この回はマジでこわい。お茶目なおっさんだけではないのだよ

そしてブンビーさんは社内でちょっぴり偉い立場なので部下も当然いるのだ!

この見るからに関わっちゃいけない目つきした男がブンビーさんの部下その1のギリンマくん。檜山修之ボイスの怜悧な囁きが危険人物ぶりを加速させる!そしてカマキリのような怪人態を持ちバッサバッサと切り裂く恐ろしい奴!檜山修之ボイスなので戦闘時のシャウトもおっかない!こんなやべー奴が1話から出てくるのだ!

…とかなんとかやってたけどめちゃくちゃブンビーさんにいびられてヘコヘコしてるんですが!?実は彼、妖精やプリキュアの前だとあんな風におっかねえ存在を装ってたけど社内だとかなり立場が低い。これじゃあカマキリじゃなくてバッタだよ〜!「蟷螂の斧」なんて諺があるけど彼にはそんなことはできない。惨め。ナイトメアは会社風組織なせいかこんな会社員あるあるな悲哀さがよく出てきて、子供と一緒に見てた親御さんや別に子とか関係なく見てる大きなお友達の胃を痛めてくる。なんで日曜朝なのに嫌な平日を思い出させるようなことを……

ブンビーさんの部下その2のアラクネアさん(cv.沢海陽子)名前の通りクモ型怪人で糸でプリキュアを捕縛したり、さらにはコワイナーを縛ることによって強化したりと多芸。人間態はいかにもできるお姉さんっぽいがエリート意識がやや高いだけでプリキュアに負けてばっかりなので実績はそこまでだし、夏のボーナスもシュレッダーにかけた紙屑だけとこっちもひどい扱いである。

ブンビーさんの部下…というかバイトのガマオくん(cv.陶山章央)今の時代は悪の組織もバイトを雇う。こちらもカエルじみた怪人態で舌を叩きつけたり巻きつけたりと嫌らしい戦い方だが人間態の冴えない大柄の無気力な若者姿がキツい。なにがキツいってドリームコレット奪取の成果を達成しないとナイトメアから給料が出ないのか、その日しのぎな他のバイトで食いつないでるのだ。世知辛すぎる。しかも勤務態度は怠惰で最悪で長続きしない。夢に向かって頑張るプリキュアの対比として出すにはアクが濃すぎる。


そんなろくすっぽに結果を出さない彼らをネチネチいびる上司のブンビーさん。今となっちゃ茶目っ気たっぷりな愛されおじさんだけど最初の方は嫌味なおっさんな側面もしっかりあったりする。それでもこの当時から高木氏のアドリブは相変わらずノリノリ。いや〜できの悪い部下がいると大変だよ〜

とまあこんな脂の乗り切った初期のブンビーさんだが、会社風組織なので彼にも上司がいて……

「部下たちがきちんと仕事をしているのか、現場でなにが起こっているのか、責任者である貴方がしっかり報告してくださらないと困ります。」
「カワリーノさん!?依然おかわりーのなく…」

彼こそがブンビーさんのおっかねえ…という言葉すら生ぬるいおぞましい存在の上司のカワリーノさん(cv.結城比呂)いつもは糸目だが目を開くとめちゃくちゃこわい。後述するが本当にやばい人です。ちなみに彼が出てきて先程のブンビーさんの栄華が崩れ去るのが7話「親友ナッツ現る!」、あまりにも短い栄光であった。中間管理職はつらいよ


「希望はどこから生まれてくるのか?」「薄い給料袋から…(ボソリ)」
そしてこれが前回の記事でもちょっと触れたナイトメアの頭首デスパライア様(cv.杉山佳寿子)一応は社長という立場なのだがいかにもな悪の首領の服装をしておりなかなかに浮いてる。コワイナーのような不気味な仮面を付けて素顔を隠し、カワリーノさんの言うとおりドリームコレット獲得に執着してるようだが……

他にもカワリーノさんに並ぶ上級幹部のハデーニャさん(cv.小宮和枝)にかつてカワリーノの上司だったブラッディさん(cv.丸山詠二)。それぞれ鳥のような怪人態とコウモリじみた怪人態を備わり、ブラッディさんは前回の記事で書いた恐るべき弁術でナッツやキュアドリームの精神を追い詰めた老獪な強敵である。ちなみにナイトメア幹部のモチーフは蝶といった昆虫を捕食する生物で統一されている(コウモリは虫食が多い)

あと背景にいっぱい出てくる仮面つけて黙々と仕事してる謎の社員。語りかけても全く返答しない不気味な奴ら。実は……


これがブンビーさんが当初勤めてたナイトメアだ。しかしこの組織の真の恐ろしさはまさに絶望、それをプリキュア達だけでなく社員にも求めてくるのだ……


・振り返ると本当にとんでもない会社だったよあそこは!労基とか無いの!?って私たち人間じゃないから人間を守る法律は適応されないのか…なナイトメアの“黒い紙”


ナイトメアという組織がいかにヤバいか、それを端的に表すのが「黒い紙」や「海苔」と呼ばれる存在である。

前回話したようにプリキュアと視聴者に恐怖と絶望を刻み込んだ23話「大ピンチ!悪夢の招待状!」、しかし絶望の闇に沈められたのは彼女たちだけではない…彼もだった……
失敗続きのギリンマくんに手渡された黒い紙(改めて見たらめっちゃ海苔っぽい)ナイトメアを辞めるか、それとも“これ”を使うか、決断を迫られた彼は……


「これを使えば俺は俺でなくなってしまう……だが構わない!それでお前たちを倒す力を得られるなら!!」
渡された黒い紙の正体は黒きコワイナーの仮面、それを自身に装着すれば二度と元の姿に戻れぬ代わりに絶望の魔獣と化し強大な力を得られるとんでもないものだった!体がぐにゃぐにゃに曲がりボコボコに膨れ変容する姿は後戻り不可能といわんばかり……こんな風になるのは知っていたギリンマくん、しかし彼は選んだ。前にクビを宣告されそうになった際に退職届を引き裂いたように。

理性と自我を捨て去った魔獣の力は凄まじくプリキュア達を圧倒する。しかし彼女たちが絶望から立ち直り再び希望を掴む心から生まれた「プリキュア・ファイブエクスプロージョン」にて倒され……そのまま仮面ごと崩れ去った。23〜24話は前に話したように失敗しても再びやり直す話だが、彼にはそんな機会は最悪の形でしか与えられず報われることはなかった。残酷な大人の世界だ……


「ギリンマさん……貴方のナイトメアに対する忠誠心は素晴らしいッ!!」
そもそもなんでこんな呪物の類があるのか、そしてそれを強要するのか、この黒い紙をブンビーさんが渡した際に「デスパライア様が〜」と言ってたが、その決断に対してはどうやらカワリーノさんが一枚噛んでいるようで……



(ナイトメアのために……そして…私のプライドに懸けて……!)
ギリンマくん亡き後にアラクネアさんも同じように……しかもこちらは自分から望むように、己の“他とは違う”というプライドを守るために己を捨てようとする。手にする瞬間に恐怖にたじろいでるみたいだが、それなら手元からポロリと落とせば……ほら、自分自身で掴んだ。
30話「ミルクの決意とみんなの力!」はミルクの御世話役見習いとしての誇り、そして逆に将来の夢を持ってなくてプリキュア失格などと言われるのぞみの話……たとえ自身の夢が無くてもプリキュアとして頑張る少女とのえげつない対比である


「あなた…今までナイトメアに貢献したことありましたっけ?」
さらに魔の手はガマオくんにまで迫る!活躍すれば正社員どころか幹部待遇も可能と都合のいい言葉に唆され、ちょいと思わせぶりな言葉を残し………それだけでない、さも忘れたかのように“黒い紙”も残し無知な愚か者に拾わせるよう誘導する。確かにガマオは努力せず成功したいと甘ったれたことぬかすシャバ僧だったかもしれない、しかしそのつい楽な方に流されたい無気力さを漬けこまれ悪い大人によって知らぬ間に捨て駒にされる謂れは無い筈だ!
36話「目指せ完走!マラソン大会」はどんなに辛くても努力してやり切る大切さを書いた話、楽な道には必ず裏があるのだ……

だんだんとこのカワリーノなる男のヤバさが分かってきただろう。しかしこれでまだ序の口である。恐ろしいことに。



「私の言葉はデスパライア様の御言葉。つまり、これはデスパライア様のご意思です。」
ついにハデーニャさんにまでも黒い紙を手渡すカワリーノさん。そんなんデスパライア様が思ってるわけないだろと突っぱねる彼女にこの言葉。ちなみにデスパライア様は黒い紙とか一言も言及してない。マジで彼の権限だけでこれまでの非道なる行いをしてる疑いがある。そして当然逃げられずハデーニャさんも……
43話「こまちの決意とナッツの未来」は前回の記事で書いたようにこまちさんが自身の執筆行為が果たしてナッツさんのためになっているのか悩む話だが、カワリーノさんはそんな彼女みたい自身の行為に対して悩みなぞ微塵も疑わない。本当にこれらの苛烈な行いがデスパライア様がどう思ってるかとも。

そんなカワリーノに流石にやりすぎだ、昔はこうじゃなかったと苦言を呈するかつての上司ブラッディさん。普通だと古参だの老害だの言われがちな言及だが対象があまりにもヤバすぎるから仰る通りになっている。そして彼に問う、「お前の目的はなんだ?」と。まるで彼が主君デスパライア様に対して面従腹背の意を持っているかと疑うように。

「デスパライア様のために働くこと。それ以外に目的などあるんですか?」

結論から言うと彼、カワリーノのデスパライア様への忠誠心は嘘偽りのない本物である。そしてブラッディさんが逃げ帰った際に漏らした「ドリームコレットが完成した」という言葉……この報告さえあればもう十分、たとえ自分の元上司だろうが用済みと黒き仮面を被せ絶望の闇に沈める…
すべてはデスパライア様のために。これまでの残忍な行いも全て…


…ってブンビーさんは!?完全にカワリーノさんの話ばっかになってるじゃん!そもそもブンビーさんのためにこの記事書いてるのに!でもナイトメアの話になるとどうしてもこうなっちゃうし…そんなブンビーさんのナイトメアでの末路は……

「あぁはい実はその自分探しの旅に出てみようかな〜なんて。あはははは…(退職願をビリビリ破られる)ああーっ!!」
実はブンビーさん、ブラッディさんが絶望の淵に沈む前にこんな所にいたら命いくつあっても足りやしないとばかりにナイトメアからを逃げ出そうとしてた。しかし主デスパライア様に背を向けるような行為をカワリーノさんが許す訳なく……
「デスパライア様のために働かないのなら存在している価値はない」(ああ嫌な展開だ…やっぱしぃ!?)「デスパライア様のお役に立たないものは今すぐ消え去るべきですよ…」

「あ…あんたそうやって部下を何人も消して……」「ほう?私に意見するつもりですか?」
「あ…ぁ…ああするさ!あんたは俺たちを利用してるだけだ!俺たちはあんたの道具じゃない!

「あ゛?」
「あっスイマセン…」「そういう考えなら仕方がありませんね…」


「こんな終わり方いやだ〜!!」
「結局なんの役にも立ちませんでしたね」
最後のちょっとばかしの抵抗虚しく、あっけなくビルから叩き落されてしまった……これがブンビーさんの一期でのラストである。これから話す終盤の展開に彼は全く関与してない。

最終的にカワリーノさんとデスパライア様だけになってしまったナイトメア。彼が社内の同士たちを礎にしてでも叶えたいという主の願いとは!?そして彼と彼女の関係とは!?それは意外にも“ある関係”に近かったのだった…!


・私この場にいなかったから知らなかったんだけどカワリーノさんもデスパライア様もこんな悲しい終わり方だったんですね……ちょっと憐れんじゃお。な“夢の果てに待つもの”

46話「カワリーノ非情の策略!」より。ドリームコレット完成の報を受けやることはひとつ。外にいたココをボコボコにして(命までは奪わなかったのは有情か、それともこれから始まる“絶望”に招待したいが為か)彼に変装すればドリームコレットをいとも容易く奪い取れる。かつてパルミエ王国を傷ついた精霊に変装してナッツに匿われる形で内部に入り込み崩壊させたように。
「デスパライア様…最初から私一人いれば十分だったのです」(しっかし小々田先生が絶対やらなそうな悪い顔してんな)

次の47話「ドリームコレットを取り戻せ!」にてドリームコレットを奪われたもののまだ使われてないから希望は残っていると諦めないのぞみ達。しかしそれならばとカワリーノさんはナイトメア本社の闘技場へ案内する。“トドメ”という絶望を捧げるために

これがカワリーノさんの真の姿だ!名前から察するようにカメレオンモチーフだがそこまで元ネタに似てない。しかし素の状態で他の敵幹部よりも一回りでかく格闘戦も超強く、さらにはプリキュア達の攻撃も二本の尾で受け流し無効するという実力者!前にブンビーさんが「あなたが本気を出したら会社が壊れちゃう」と言ってたのは伊達じゃない!

さらにカワリーノさんは抜かりない。見せしめのようにミルクに絶望の仮面をつけさせようとする!ミルクが健在だとファイブエクスプロージョンで逆転されるかもしれないのでそれを封じる算段だ!
「ありがとうございます。ドリームコレットを渡してくれて」ココに変装した際に気付けず渡してしまった過ちを責めれば、ほらこの通り。騙した本人が追い打ちをかけるのが最悪すぎる。


もはやプリキュア達に勝ち目なしという絶好のタイミングでデスパライア様がドリームコレットを使い願い―不老不死―を叶えた!仮面が割れ見せる素顔はさながら全盛期のお美しい御姿……そしてドリームコレットが願いを叶えるのは一度きり、すなわちココ達が叶えたかったパルミエ王国復活の夢は潰えてしまった。「もしかしたらまだ可能性はあるかも」という幻想の希望を現実で目の前で砕かれたらもう…

話は続き48話「希望VS絶望 最後の対決!」へ。願いを叶え終わり石のようになり力を失ったドリームコレット。ココ達のためにあれだけ頑張ったパルミエ王国復活の夢、それが無駄な徒労と化した報われぬ結末……まさしく“絶望”である。倒れた先にカワリーノさんが黒い紙をばら撒くと絶望の闇が沼のように広がりプリキュアを呑み込まんと……





戦いの最中に落っことしたであろうアクセサリー。思い出してほしい、17話「純情乙女の恋物語」でのりんちゃんの話を。たしかにあの時の片想いは実らなかった、しかしそれでも前を向き、アクセサリー製作を続け、結果的にそれが誰かの喜びに繋がった。プリキュアとして一緒に歩いてきた道は無駄ではなかった。自分の将来の夢に繋がったのだから(まさかおもちゃの販促が最終局面の希望に繋がるなんて……)

りんちゃんだけでない、かれんさんだってそうだ。プリキュアになって信頼しあえる友達ができて、彼女たちとの物語で自身の夢を見つけた。42話「りんとかれんのひそかな約束」でそれを確認しあった。
うららとこまちさんも元から自身の夢を持っていたとはいえ一人では決して進み続けることができなかった。みんながいたからこそだ。41話「伝える気持ち こまちとうらら!」でいつかお互いの夢が結びつく所まで行きたいと語り合った。


「絶望の闇を退けた!?なぜ…なぜ絶望しないのだ……“彼ら”のようにはいかないというのか?」
たしかにプリキュアとしての目標という夢であった「ドリームコレットでパルミエ王国を復興する」という夢は叶わなくなった、それでも彼女たちのプリキュアとしての物語という一年間の旅路は自分達の“将来の夢”へと繋がった。無駄な徒労なわけない。絶望なんて決してしない。それがプリキュア5だ。その強い希望は絶望の闇を跳ね除ける!

ちょっと待って“彼ら”って誰よ?そう、なんとナイトメアの背景で黙々と働いてた仮面社員は全員パルミエ王国の住民だった!

祖国を滅ぼされ、未来への希望を持てぬ所に絶望の仮面をつけられ労働力として用いられていた……(侵略国の住民を奴隷として搾取すると書くと生々しい)
いくらプリキュアが絶望しなくてもパルミエ王国復興の夢は叶わないのは変わらない、さらには国民は既に絶望しきっているという救えない状況だ。うっかり漏らした情報だがハッキリ言ってお前たちに希望なんか残ってないと二人の王子に突きつける!のだが……

「よかったココ…」「みんながいるナツ…」

「みんながいればもうドリームコレットは必要ないナツ!」「みんなさえいれば王国は蘇るココ!みんなこそがココ達にとっての夢と希望そのものココ!」
「「一緒に新しいパルミエ王国を創るココ(ナツ)!!」

そもそも彼らは国が滅び行方不明になってしまった国民が無事か心配し続けていたのだ。国を滅ぼしてしまった罪を赦せず自身を責め続けていたのだ。それがみんな生きてると知れた。ならばドリームコレットを使わなくたって国民と一緒に新しいパルミエ王国を建国すればいいのだ。彼らもまたプリキュア達を通じて絶望から立ち上がる力を得ていた。そして希望の光が灯ったのだ……絶望を叩きつけた筈が却って希望を授けてしまった。完全に逆効果である。

そして彼らも24話「新たなる5人の力!」でプリキュア達が絶望の底から脱出する瞬間を見ていたのだ。ならば彼らだって可能性さえあれば元に……(余談だが当初はただのモブキャラだったが、脚本を書いてる内にこの設定を思いついたそうな)

ちなみにカワリーノさんもプリキュアが絶望から脱出する瞬間を見てたけど理解不能で済ませてました。結局のところ彼は人間は絶望から立ち上がれるという事実を理解できなかったのだ。実際に見たというのに……

ドリームコレットを渡してしまった罪で絶望してたミルクもココ様たちの希望の言葉が心に届き自ら仮面を破った!失敗してもやり直せばいい、かつて絶望した5人もそうだったように…!


「絶望の仮面を打ち砕くとは……」

なんか話が違うぞとギロリと部下を睨むデスパライア様。せっかく夢を叶えた主の機嫌を損ねるのはまずいと慌て怯えるカワリーノさん。さんざんブンビーさんを始めとした下の者を無能扱いしネチネチいじめたり捨て駒にした自分が、上の者からの圧を受けるという同じような境遇を受けている皮肉ぶり

「なぜです!?なぜ……貴方達は絶望しないのですか……これだけ私が念入りに絶望へと導いているというのに、なぜ希望を失わないというのです!?」
「もういい……お前らの夢だの希望だの何もかもすべて消し去ってやる!」


これだけ絶望を覆す希望の力を目の当たりにしても決して理解しようとしないもはや意固地すら感じるカワリーノさん。もう敬語で話す余裕すら無くなり大量の黒い紙を自身に貼り付けさらに巨大化を!他の幹部と違い意思は失ってないのは流石だが、この巨大化展開は皆さんお察しのとおり……


「今こそ御二人とプリキュアの気持ちに報いるときミル!プリキュアと一緒に絶望を希望に変えるミル!!」
絶望を打ち破ったミルクの号令と共にパルミエ王国民の絶望の仮面も解き放たれ……ただでさえ強力なプリキュア・ファイブエクスプロージョンがパルミエ王国住民の希望の力でさらにブーストされる!いくら絶望の力が強かろうと希望の力がそれを乗り越えるだけだ!!

希望の力に消え行く間際に映る主の顔は……まるで彼の消失に対して微塵も悲しまぬ冷徹なる表情だった。たしかにカワリーノさんのデスパライア様への忠誠心は嘘偽りのないものだった、しかし彼の献身は彼女がどう思ってるか意に介さない暴走した独り善がりに過ぎなかったのだろう
……このまま終わっても惨めな因果応報で済んだであろう。このまま、でも。しかしそれで終わらなかった。


そして話は一期の最終回である49話「夢と希望のプリキュア5!」にて決着する。

最後の戦いとして不老不死と化したデスパライアが無数の影を生み出して襲いかかる!無限に湧き続ける絶望の影にも諦めず倒し続けるプリキュア達!彼女たちの希望の源を絶たんとデスパライアはキュアドリームにココの幻覚を見せ甘い言葉で諦めさせようと促すも……そんなの本当の彼を知ってる彼女に効く訳がない!

未来に対して迷いなく突き進むプリキュア達!ドリームコレットでの夢はもう叶わないのになぜ絶望しないとたじろくデスパライア!そして彼女はつい漏らす……なぜドリームコレットを使って不老不死になりたかったのか、その願いを抱いた理由を。

「なぜだ!?お前たちは怖くないのか!?老いることが怖くないのか!?力が衰えていくのが怖くないのか!?
デスパライアは未来へ進むこと、即ち歳を取り老いていく自分が怖かったのだ。だから奇跡の力を用いて不老不死という形でその恐怖を払拭した。39話「恐怖!デスパライア現る」にて痩せ細った手を見るにかなりの高齢だったのかもしれない。絶望とは前を見ずに立ち止まることならば、常に仮面をつけていた彼女は……


「永遠の命を得ても私は……なぜ……!?」
しかしその根本的恐怖を不老不死という形で克服したのに未だに恐怖の念は残り続ける。プリキュアやパルミエ王国民と違ってなぜ自分には……その答えが分からず苦しむデスパライア。その姿を見たキュアドリーム、いや……


夢原のぞみは敵の目の前で変身解除をした。こんな敵地ド真ん中で戦闘能力を解くなんて正気か!?しかしだからこそなのだ、戦いではなく、彼女と話しがしたいから故の証明であるのだ。
「私もあなたも同じだと思う…だから話したいの」「同じではない!」未来に希望溢れる若いお前たちとは違う、私は先の不安しかないのに…

「でも…怖かったり不安だったりするんでしょ?みんなと同じように、あなたも心を持ってるからだよ」

「お前はどんな時でも希望を持ち続けている……怖いと思ったことはないのか!?」
「怖いよ……今でも怖いと思ってる…でも平気だもん!」
うまく行かない自分自身、誰にも理解されない孤独、そして時が進むと同時に終わる日々……前回の記事でめいっぱい話したように彼女たちプリキュアも最初から希望に満ち溢れてたわけではないのだ。だから恐怖や不安に怯える今のデスパライアの気持ちに共感できるのだ。そしてどうすればその恐怖や不安を乗り越え先に進めるか、その手段を知っている。

「私はみんなと一緒に、頑張ってるだけだよ!」

「仲間がいるから恐れを退け希望を抱けるというのか……」

すてきな仲間たちと見つけた結論。一人ではどうにもならなくても、みんながいるから諦めない。そして彼女は手を差し出す、かつての自分が救われたように。あなたの希望の支えに……


「無礼者が!デスパライア様は貴様が気安く手を触れていい御方ではないわ!!消え失せろ!!

その瞬間、手を遮るように大量の黒い紙から湧き出し、神聖なるデスパライア様を汚そうとする者を誅さんとカワリーノさんが復活!彼はかつて「最初から私一人いれば十分だったのです」と言っていた……その意味は主への忠誠を超え、まるで独占したい敬愛の為の排斥も含まれるようで…

狂乱する部下を払い除けるデスパライア、そして「彼女の話を聞きたい、どうすれば希望を持てるのか知りたい」と言う。しかし彼は…
「あなたは不老不死になったのですよ!これからは全世界を絶望で覆い、唯一絶対の支配者になられるのです!これ以上なにを望むのです!?」
カワリーノは主の本当に望んでいたもの、抱え続けていたものをこれっぽっちも知らなかった。「私の言葉はデスパライア様の御言葉」などよく言えたものだ。そして「永遠の命を得ても安らぎは得られなかった。そのうえ世界を絶望で覆っても虚しいだけではないか…」と言われ……

デスパライア様!?……それではこれまで私がやってきたことは…無駄だったと……


彼にはデスパライア様への献身こそがすべてだったのだ。その努力が無駄だったと認識し、彼にとって何もかもが無くなり心が折れた先に待っているのは……“絶望”である。彼の下に絶望の闇が集まり……沼底から絶望の魔獣と化したブラッディさんがかつての部下を引きずりこむ!敬愛するデスパライア様の夢を叶えるためプリキュアやパルミエ王国の住民たちだけでなく組織内の仲間も次々と絶望の最期へと追い込んだカワリーノ、その末路は自分自身も絶望そのものに喰われてしまったというある意味ふさわしく、そして救われない因果応報であった……

先程やられた際の冷淡な表情と打って変わって、絶望に沈みゆく彼の手を掴もうとしたデスパライア様。プリキュアが言っていた“仲間”という存在、彼女にとって自分に尽くしてくれたカワリーノは……気づいてしまったのだろうか。しかしそれはもう手遅れだった。

カワリーノの絶望が強すぎたのか、はたまた自分を愛してくれた存在を失ったからか、彼女の絶望の力が暴走を始めてしまう!このままでは世界が絶望に覆われるどころか消滅してしまう……意を決したデスパライアはプリキュア達に自分ごとこの世界を封印してほしいと頼んだ。
最後のとき、自分のせいで祖国を滅ぼすまでに巻き込んだパルミエ王国民に謝罪し、そして彼女は永遠の命ゆえに無限に続く孤独へと……

“悪夢”は消えた。しかし確かに手を掴もうとしたのだ。絶望から抜け出したいと願ったのだ。それでも……夕暮れを前に彼女は無言で佇んでいた。


デスパライアとカワリーノ、この項目に入る前に“ある関係”に近いと言ったがお気付きだろうか……よく見るとデスパライアとカワリーノはココとのぞみの関係に割と近かったりするのだ

・叶えたい夢を持ち、それを叶えるために他者の力を借りる
・その人の夢を叶えるためにめいっぱい尽くす

しかし最大の違いが存在する、カワリーノさんはデスパライア様の夢を叶える為に仲間という社員を使い捨てにし、そもそもその叶えたい夢自体が一方的な解釈で済ませていて、その夢を叶えることしか考えてなかったから無駄だと知った瞬間にすべてを失った。対して夢原のぞみはそんなことなかった。ココの夢を叶えたいと頑張りつつも自分を支えてくれる仲間のことを大切にしお互いに支え合い、ココ自身とも心を通わせあい絆を深め、仮にドリームコレット使用での夢が叶わなくなってもみんなと過ごした日々を通じて自分の将来の夢を持てたから絶望しなかったのだ。

ちなみにのぞみも11話「のぞみとココの熱気球」にて「勉強できなくたって私はプリキュアとして(ココの夢を叶えるという)目標が持てたもん」とプリキュア活動に全振りし自分ことは別にいいでしょとカワリーノさんみたいになってた時もあった。その夢の顛末、そして彼の末路を考慮すると割と危なかったのである。この後に小々田先生が自分を大切にしてほしいと彼女に教えてくれてよかったと改めて痛感する…

そしてデスパライア様もドリームコレットという奇跡を用いて不老不死という形で全盛期という過去の姿を取り戻し老化…本来あるべき未来へ進むことを拒んだ。一方でココ達は奇跡の力で本来の夢は叶えられなくなったものの国民と共にパルミエ王国を真っ当に復興させる形で未来へ進むことを決めた。これもまた対比となっているだろう。画像はGoGo7話「レッツゴー!パルミエ王国!」で国民がせっせと(古典的ながらもかなりの効率で)城を建設して即興で簡素な玉座を用意している。これが少しずつでも前へ進むということだ

以上がナイトメア編である。長くなってしまったがまさに『Yes!プリキュア5』の本質が全て詰まってるようなラストだったから仕方ない。それにしてもこの記事を書くきっかけになったブンビーさんはマジで終盤には全く絡んでないんだよな……ってあれ?

????「あーちょっとちょっときみ、手紙を一通届けてほしいんだ。速達でね」

届け先は……夢原のぞみ!?そして内容は……

決めポーズ取ってるおっさんの絵はもしや…!?

「私からの手紙は届いたかな?久しぶりだな……プリキュア!(CM挟んで)もう一度言う、久しぶりだな……プリキュア!」

(GoGo3話「運び屋シロップの友達」より)



・心機一転!新たに就職した先に待っていたのは……下手したらナイトメアより冷酷非情なる組織だったのだ!もう嫌だよわたしゃ……なエターナル編

「わたくしブンビーと申します!この度こちらで働きたく面接を受けに来ました!!」

(GoGo2話「のぞみとココ 悩める再会」より)


ブンビーさん生還!うわあああああブンビーさんが生きてた!生きてたんだ!!幻想(ユメ)じゃねぇよな……!

とかこんな茶番はともかくナイトメアから唯一生還したブンビーさん、新たに再就職し二期の『Yes!プリキュア5GoGo!』でもプリキュアと戦うことになったぞ!というより出番は前より明らかに増えたというか世知辛い職場に揉まれる愛着あるおじさんポジションをさらに盤石のものとしたフシがある

あの時カワリーノさんにビルから叩き落されたけど、奇跡的に窓枠に掴まり自分が飛べることを思い出して逃げ延びたのだ!(ちなみにシナリオ構成の成田良美さんがラジオでゲスト出演した際に「最初は他の幹部と同じように死ぬ予定だったが惜しくなって生かした」と言及していた。愛されおじさんめ!)

そんなブンビーさんが再就職した先はまた悪いことしてる組織エターナルだった。“永遠”の名を冠する世界中のあらゆる貴重品を保管する博物館と言うと聞こえはいいが……まあ正直に言うと多くの文明から略奪を働き盗品を飾るこれまた物騒な組織である。略奪物品を展示した博物館というと現実世界の某博物館を思い出すかもしれないが、ナッツに人間界で発生した略奪の歴史と照らし合わせて批判されてるのでたぶんそこらへん意識してる節がある。

こちらが当館の一番偉い御方の館長。誰も本名で呼ばず終始この役職名だけで話が進むのがちょっと不気味。「価値を真に分かる者こそが宝を所有すべき」「価値の分からぬ者が宝を壊さぬよう守っているだけ」と傲慢かつ盗っ人猛々しい理念で数々の文明から宝物を“没収”してきた存在だ。これまた前回の敵みたいに顔を常に隠し、さらには浮遊型の椅子に座り続けるが……そして今期のヤバい人です

声を担当したのは突飛なアドリブでおなじみ千葉繁さんだが超マジメでシリアスなラスボスなのでいつものアドリブは皆無。一方でアテレコ中に好き放題アドリブ入れてる高木渉さんを心底羨ましいと思っていたとか。ちなみに画像のGoGo22話「のぞみ先生大いに頑張る!」にてブンビーさんが初邂逅してトップと知らず馴れ馴れしく話かけちゃったシーンなのだが、千葉さんは「(おっさんの顔が近くて)口臭い」と呟こうとしたと高木氏がゲスト出演したラジオで言及してたそうな

そんな館長に甲斐甲斐しく仕える秘書兼収蔵した物品を見定める鑑定士のアナコンディさん(cv.山像かおり)また前年の関係と似た流れか?はい、そんなかんじです。ですがまぁ最後まで見てくだされ、こっちもこっちで……
部下をポンポン捨て駒にするカワリーノさんに比べればまだマシかもしれないが、こちらも成果を上げぬ者を“価値無きもの”と見なし相応の対応をしてくる冷酷さを見せつけるぞ。ゴルゴンみたいに髪がうねうね動いておっかねぇし石化の睨みももちろん備えてます。

そんな盗賊集団のエターナル達、彼らは運び屋シロップがプリキュア宛に届けた荷物…伝説の花園“キュアローズガーデン”への扉を開くローズパクトなる貴重品に目をつけ我々が所持するべきと力づくでうばいとるとばかりに襲いかかる。

こちらがエターナルが用いる怪獣ホシイナー。目が多数付いたボールをオブジェクトにつければこの通り不気味なモンスターに。大きさも山そのものをホシイナーにする超巨大規模からアリにジャストフィットなちっこいサイズまで様々。

もちろん館長やアナコンディさん以外にも幹部が存在する。そしてなによりブンビーさんが初めて“友”と呼べるような間柄の存在が出てきたのだ!


「それ、没収するよ。」
こちらが1話から登場していたスコルプさん(cv.子安武人)短髪で長身で冷淡そうな目付きのいかつい兄ちゃんだ。戦闘時はサソリのような怪人態になりワイルドに戦うぞ。そしてなんとこのスコルプさん、GoGo10話「出た!青いバラの力!」にてブンビーさんと共闘することによってプリキュア達を全滅寸前まで追い込むという偉大なる快挙を成したのだ!プリキュアもみんな一緒だから強いのなら、こっちだって仲間がいれば強くなれるのだよ!(なおあと一歩のところで突如現れた青いバラの戦士の乱入で形勢逆転されてしまう)

そんなせっかくの共闘作戦も青いバラの戦士に不意にされたスコルプさん、それ含めたローズパクト確保の失敗続きで任務から外されてしまった際にアナコンディさんに逆上したせいで自ら後を無くしてしまったのを「せっかく仲良くなれそうなのに焦っちゃダメ」「前の組織の経験上、感情的に動いてもいいことはない」とブンビーさんが説得力ある助言するも……

「優しい男だな…」
GoGo11話「華麗に変身!ミルキィローズ!」にて自ら魔獣のような姿になり(理性は残ってるので黒い紙よかマシ)プリキュア達に最後の勝負を挑むも、再び現れたミルキィローズの浄化技で……
「さらば…ブンビー…」

新入りのくせに彼が自分より年下なのもあってか「スコップさん」「酢昆布さん」挙げ句の果てには「山本さん」とわざと間違えてけっこう馴れ馴れしいスキンシップで接していたブンビーさん。最初は当然のようにいけ好かないなんて思ってたスコルプさんだが自分が悩んでた際に(すぐそこで買ったケーキ食いつつ)(悪の組織の近所にケーキ屋あるのか)柔和なアドバイスしてくれたり、こちらも「ボンビーくん」 とお返ししたりと打ち解け合いかけてたスコルプさん。上記の共闘もこのまま失敗続きじゃお互い価値無きものとして処分されることを危惧し逆転するためタッグを組んだという前期の下の者に威張り散らしてたブンビーさんだったら絶対受けないような提案だった。ナイトメアでの世知辛い一件は間違いなく彼を変えつつあった。のだがそんな絆を深めてたスコルプさんはもう……

その後のGoGo14話「ミルキィローズの秘密!」にてスコルプさんが遺したミルキィローズのデータを報告書にまとめ提出するブンビーさん。評価は良好だが修正点がひとつ…
「作成者はブンビーさん、貴方ですよね?」
「いやぁスコルプさんのデータを元に書いたので、スコルプさんの名前を……」
スコルプ…誰です?そんな名前は今エターナルに存在していません
ろくに成果を上げず消えた者を、自身に刃を向けかけた者の名前を報告書という形で残す価値もない。ブンビーさんは確信した…ここもヤバい所だと。そして彼は知らなかった…これがまだエターナルという組織のヤバさの片鱗にすぎないということを。
 
(わたしはまたなんて組織に入ってしまったんだ……)

「お茶が入りましたよ〜

しかしそれでも(まだローン残ってるとか)生きるためと恐怖心を抱えつつも逆らえずローズパクト奪取しようとしたり失敗したり、そして我々が彼といえばでイメージするしがないお茶汲みキャラとしてなんとか細々とがんばるブンビーさん。実はお茶汲みキャラは二期で確立したようなものだったりする。前期は部下を失った後でも紅茶を飲むくらいのちょっぴりな余裕はあったのに……


そして話は飛び……ブンビーさんといえばこの話!と代表的にもなってるだろうGoGo35話「ブンビー衝撃発言!」にて彼のターニングポイントが発生する。短絡的に見ると明らかに悪い方向への意味で

「あの〜アナコンディさん私の報告書はどうでした?今回のは我ながらよく書けたと思うので…」「まだ読んでません。」
「そうですか……では後で感想を……!?(あれは私の報告書……!)
そんなお茶汲みすら無視され、さらには報告書すら読む価値が無い仕打ちを受けるブンビーさん。もう一度言うがエターナルは価値無きものには存在すら許さない組織である。これは流石にヤバい、ヤバすぎる。こうなったら……前と同じようにするしかない!

切られる前に退職しちゃお。

流石にこっちは無視するタイプの冷遇なのでカワリーノさんみたいに忠誠を果たせと追いかけはしないだろうし。賢い選択だ。ところでごく普通の求人誌を見てるがこういう所にもエターナルの求人募集とか載っていたのだろうか

ということで今度は辞める前に再就職先を探すブンビーさん。しかし後ろから「時期尚早」なる四字熟語が聞こえ…あ!キュアドリーム!なんか彼女も将来の夢とかで大変そうだなぁ……とふと思いつくことがあってのぞみだけでなく他のプリキュアも観察し始める怪しいおじさん。どうやらみんな夢に向かうもうまく行かず悩んだりしてるみたいだ。それならば!……もう嫌な予感しかしない

「君たちのことは徹底的に研究し勉強させてもらった。そして私はある結論にたどり着いたのだよ…衝撃発言はこのあとすぐ!(CM挟んで)はっきり言わせてもらうぞ!私がプリキュアのリーダーになってやる!!

……こいつ何言ってやがる?どうやら「みんなが悩んでるのは導くリーダーがいないからなので、私ブンビーがプリキュアのリーダーとして就職してやる」とのこと。は?
ただでさえこれだけでもひどい妄言なのに「ということで迷えるみんながちゃんとキュアローズガーデンに行けるようにリーダーの私にローズパクトを預けてくれ」とまで言ってきた!恐ろしいことにブンビーさんはエターナルとしての没収行動ではなくマジでプリキュアのリーダーとして任せてほしい故の善意で言ってる。問題です、今のブンビーさんの言動を四字熟語でなんと言うでしょう?答えは……『曖昧模糊』で『支離滅裂』だよこれじゃあ。
「おまえエターナルで嫌なことでもあったロプ?」「ばっバカなそんなことは……」「図星みたいね」

案の定エターナルとしての詭弁だろとこれっぽっちも信じられず(そりゃそうだ)こうなったら実力行使で分からせてやると戦闘へ(いつもの展開じゃない!byくるみ)まだ自分のことをプリキュアのリーダーと思い込んでる危ないおじさんがよりにもよってナイトメア時代に部下のギリンマくんやアラクネアさんに見せた高圧な態度で言うことを聞かせようとする!勘弁してくれ〜!(しかもこういう時に限ってブンビーさんはやけに強い)
 
前期を見てれば理解してるだろうがそもそもプリキュア5はリーダーみたいなのは存在しなくてもお互いに支え合って抜群の信頼関係を築いている、カリスマ性高い言われてるキュアドリームも前回の記事で話したようにみんながいるからこそなのだ。
「まぁ今日のところは勘弁してやろう。でも気が変わったらいつでも私のところに来るがいい」やられてもまだ諦めてない姿に呆れるみなさん。なんだったんだろあれ……

それから約一ヶ月後のGoGo39話「モンブラン国王を救え!」ブンビーさんは相変わらずエターナルに帰ってなかった…気温も、心も、懐も寒くなってしまう……どこか暖かい場所に行かねば……

という訳でナッツハウスに来ました。

もはや敵の威厳なぞ皆無だ。エターナルと言われても微妙な表情するし……しかしローズパクト完全覚醒のキーパーソンである4つの君主が最後の一人、モンブラン国王が復活したのを見て(この状態で没収すれば今までのやらかしがチャラになるのでは)と考えプリキュアに挑む!未だ根は悪役である(ちなみにこれがブンビーさんがTV本編での最後の戦闘になりました)

案の定返り討ちに遭うもせっかくゲットした貴重な情報を伝えねば!と久々にエターナルへ。アナコンディさんがいたから報告だ!でもなんか様子が……
「もう(報告書を)提出する必要はありません。だってあなた……プリキュアのリーダーになりたかったんでしょ?」あっこれはアカンやつだ。てかアナコンディさんどこからそんな与太話じみた情報を……

そのとき突如地下階段が開かれる!これはスコルプさんが言ってた成果を上げない穀潰し社員を放り込み無限に続く階段を死ぬまで下り続けさせる通称“廃棄物処分場”!いやだぁぁぁ!!!と抵抗空しくも吸い込まれ……
 
「うるさい男。」そしてアナコンディさんの顔は不敵の笑みを浮かべていた。まるでこのローズパクト覚醒秒読みという情報こそが真に知りたかったように



「まだまだぁ………でも…これからわたし……どうしたらいいんだろ……」


ブンビーさん再び生還!そう簡単にくたばるタマじゃない!!でもこれからどうしよ……未来は正直お先真っ暗だよぉ……

せっかく再就職したエターナル、しかし結局はここでも酷い仕打ちばかりだった……ブンビーさんの明日はどうなる!?


ちなみにエターナルには他にも横暴かつワガママなおっさんのタコ型怪人ネバタコス(cv.島田敏)や、二人組で活動し怪人態は殻に固着するように合体するイソーギン(長身の方cv.チョー)&ヤドカーン(小さい方cv.乃村健次)もいるが正直今回の記事ではあんまり触れる所が無いので割愛させていただく。だってこの後に話す終盤発生したエターナルの内部抗争に全く関わってないんだもん彼ら……

・番外 そんなこんなで生きるために私は新しい働き口を見つけたのだがここにも法律は適応されず……このケーキもみんなで食べればもっとおいしいんだろうなぁ……なムシバーン編

エターナルから逃げてきたブンビーさん、実はだいたいそのあたりの時系列においてガマオくんよろしく“とあるアルバイト”をしていたのだ。それが『映画Yes!プリキュア5GoGo!お菓子の国のハッピーバースディ♪』での一幕だ。

今日は夢原のぞみの誕生日ということでみんながバースデーケーキを作ってくれたのが物語の始まり。この描写もあってか映画公開日の11月8日を彼女の誕生日と扱う非公式設定も。あの川村敏江氏もいつぞやの誕生日にお祝いイラストを描いてたぞ!

こんな幸せ満開な誕生日になると思ってたら突然空から降ってきたオーブンからデザート王国のチョコラ姫がやって来た。どうやら悪い人に追われてるそうだが……

わはははははは!!ふははははははは!!あーひゃっひゃっひゃっひゃ!はっはううっげほっげほっくるしい…

「やあ諸君。まずは一言、ハッピーバースディ」


オーブンの中からボワッとおもしろおじさん登場。ついにブンビーさん銀幕デビュー!ちなみにこのブンビーさんはプリキュア史上初の映画出演した敵幹部であり、夢オチやオールスターズもの恒例の再生怪人を除けば11年後に放映し最近アマゾンプライムビデオで配信された『映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』(スタプリ知らなくても見れちゃうタイプの映画だし、なにより超傑作なのでプライム会員なら是非とも)のテンジョウさん以降までその独自性を破られなかった偉大なる快挙だったりする。快挙なのか?

招かれざる客はプレゼントと称してせっかくのバースデーケーキをホシイナーにしやがるというひどい仕打ちをしてくる!のぞみのために作ったケーキをなんとか元に戻さねばとプリキュア達はケーキ(怪人)を叩きのめす!

「ああなにやってんのホシイナー!?」ちなみにここは台本には「ブンビーさんらしい台詞を一考」と高木渉さんの完全アドリブ任せだったそうな。安心と信頼のアドリブである

ともかくしてホシイナーボールを浄化したプリキュア達。これにてケーキも元通り……と思いきや!

ケーキはもらった!


人のバースデーケーキを奪い取るという、ちゃっちいながらも人の想いを踏みにじる地味に陰湿な悪行しつつ退却するブンビーさん!せこい!せこいながらもこの嫌がらせは効く!のぞみちゃん涙目じゃないか!

みんながせっかく頑張って作ったケーキを奪うなんてひどいぞブンビーさん!と思うが、ふと思えばブンビーさんもケーキ絡みでプリキュアにひどいことされたんだった……

それこそギャグ全開フルスロットルなGoGo9話「名探偵こまち登場!」である!職場の廊下で歩きながらケーキ食いつつスコルプさんに呑気ながらも案外救いになる助言を授けた後に出撃したのだが口にさっき食べてたケーキのクリームつけたまんまだった。これだけならお茶目なおっさんで済まされるのだが……

なんかプリキュア達の様子がおかしいんですが!?こっちをいつも以上に敵視してるんですが!?どうやらキュアアクアが買ってきたホールケーキが突如として消えたので犯人探しをしており、口についたクリームだけで彼をケーキ泥棒と判断したのだ!いや私じゃない!知らない!!冤罪です!!


「いやだからこれは私が元気のないスコルプを励まそうと買ってきたモンブランとロールケーキと…」「召し捕ったり!」「ああっちょっと離せ!」
この言葉にドリーム一人だけ気付いたものの時既に遅し、ブンビーさんはまだ悪事もしてないし戦闘もせず一方的な言いがかり吹っ掛けられて逃げようとするも、冤罪として成敗されて退場していった。あんまりすぎる。きっとこの時の恨みが巡りに巡ってケーキ泥棒に走らせたのかもしれない……

ケーキ持ちつつ雇われ先に帰還するブンビーさん。“任務”は果たしたので報酬を……と思ったら「そのケーキでいいだろ」とアッサリ片付けられた。現物支給だなんて私は正当な報酬を求めてるんだと反論しようとするも無駄に終わり……
そしてエンディングで明かされる犬耳を装着し(舞台になったデザート王国民のマネである)独り虚しく他人のバースデーケーキを食べるブンビーさん。この映画のテーマと照らし合わせると実にトホホなオチである。ちなみにこの映画でのブンビーさんの出番はこれで終わりです

とろこでブンビーさんに頼まれた“任務”というのは「プリキュアをチョコラ姫と共にデザート王国へおびき寄せろ」だった。そんなこと誰が何のために……それはこの映画の敵ムシバーンがプリキュアをお菓子にして食べたいからだった!え?お菓子!?

この激シブおじさんがムシバーン(cv.大塚明夫)だ!こんな見た目も声も…名前はちと妙だがトンデモレベルでかっこいいオジサマがプリキュアをお菓子にして食べたいという某魔人みたいにファンシーを通り越した邪悪な作戦を企んでるのかと言うと……


「おいしいお菓子を食べたい、それが我が望み」ただそれだけ。そのため世界最高の甘味が揃うデザート王国に来た。しかしそれでも“おいしい”と感じなかった。焼菓子で作られたであろう城の柱を齧りつく(大人気ない)痕から見るに決して満たされない欲望を抱え続けていたのだろう。そんな彼がプリキュアならば……と考えたのがキッカケである。改めて書くと欲望の果てに人食があるとかけっこう怖いぞ!

ムシバーンの主だった手法は洗脳であり、これでチョコラ姫の母デザート女王を思うがままにし娘を脅すことによって共犯へと持ちかけたりした人の心ない奴だ!他にも側近だろう二人も操ったり、さらにはココも……

「私を満足させてくれ……」

もはや別アニメの主人公みたいにまで闇堕ちしたダーク小々田。これで草尾毅はイケメンパラダイスすぎるでしょ。
本来は戦闘能力皆無なはずの彼だが洗脳されたらプリキュアに匹敵する強さでキュアドリムに襲いかかり、さらにはパルミエ国王としての力であるキュアフルーレを自ら剣として無慈悲に振るうミルキィローズよろしく妖精としての潜在能力の高さを見せつける!ココなのもあって本気を出せないのぞみ!おのれムシバーン……しかし!

「ココ!……私を思い出して………」

ココ本人の記憶がムシバーンの洗脳に対抗している!ならば………!
この大スクリーンでするキスシーンでお気付きの方もいるでしょうが「彼の記憶を呼び起こすため」にやってるということは、改めて言いますが既に彼と彼女はそういう経験をしてるということである。やはりあの雪降るクリスマスの夜、ツリーの下で……

キスした後の顔が“女”すぎる。ともかく洗脳から完全に解放したのだった。この愛の力を見せつけられたムシバーンは……

勇気などくだらん!

希望などくだらん!

ましてや愛など!……

操ったデザート女王の手をかざすムシバーン。そして娘からの「お母さまから離れて!」の言葉……
 
彼女もまた満たされない彼を助けようとお菓子を振る舞うという最上の施しを与えた。それでも彼は分からなかった。感動を味わい、愛を感じる“心”が無かったから。チョコラ姫の母を想う愛の叫びで洗脳から目覚めたデザート女王が泣きながら伝える……私にはそれが分からなかった。理解されぬ断絶があった。


「事ここに至ればもはや言葉など不要、私の全てを呑み込む欲望が上か、お前たちの愛と勇気と希望が上か、決着をつけるのみ!」
満たされぬ欲望に怒り苦しむムシバーン、その悲しみを夢原のぞみは感じ取ってしまったのだ。何も持たない、どうすればいいか分からない過去があったからだろうか……

ムシバーンの圧倒的な強さに太刀打ちできないプリキュア達!しかしそこにデザート王国民だけでなく映画を見てるみんなからのミラクルライトの光、すなわちみんなから託された想いの力で……

想いを咲かせる奇跡の光。シャイニングドリーム!

今となってはプリキュア映画の恒例になった(今回のはないけど…)ミラクルライト。それが2回目の登場にして「みんなから授かった想いの力で強くなる」という作品コンセプトに見事にハマった使い方をするのは流石である。そして白き羽根で飛びスターライトフルーレを構える姿はまさに戦天使……

「私…分かったの、おいしいお菓子を食べる方法。お菓子は一人で食べてもおいしいよ。でも…みんなと分け合って食べれば何倍も美味しいお菓子になる!」「私は楽しいこと、嬉しいこと、悲しいこと…全部みんなと分け合いたい!」独りとしてではなく、みんなと一緒にいるからこそ。その人との繋がりによって生まれる力こそが心の力。彼女はみんなの想いを一斉に受けて戦う……いつの間にか脱いでるしライトセーバーみたいなの携えてるムシバーンとの盛大なるチャンバラのシーンは見物だ!これは女児向けアニメの映画だぞ!

プリキュア・スターライトソリューション!

無数の光弾で貫き悪を倒したドリーム。しかしその顔は悲しみを帯びていた……

「なんでもない力がこんなに……お菓子もそうなのか……みんなで分け合えば美味しさが増すのか……」
スターライトソリューションのsolutionとは解答を意味するが、このみんなから託された想いの力こそが、ムシバーンが真に欲しかったものへの“解答”だったのだろう。暖かな力に包まれ満足な顔して消えてゆく彼……そして彼女は涙を流す、もう少し早く知っていれば……

前回話したダークドリーム、ナイトメア編ラストのデスパライア、そしてこのムシバーン……夢原のぞみは手を取り合おうとするもできなかった者達との別れが数多いのである。自分がココをはじめとしたみんなのおかげでここまで来れたからこそ、困っている誰かを助けたかったのに……


そしてこの分かり合えなかった話、そしてシャイニングドリーム覚醒の根本にある「伝わる想いの力」というのは終盤のエターナルにも当てはまるのだ。残念なことに、悪い意味で


・欲望と策謀渦巻くエターナル!女同士の争いと野望に巻き込まれし優男の運命は!?私はもう関わりたくありません〜でも頼まれたら考えちゃおうかな〜そこの角まがっちゃおうかな〜


前年のナイトメアはいわばカワリーノさんという一人の盲目的信仰者が組織内での狂気と絶望の惨劇を数多く引き起こしたが、エターナルはそこまで一人が絶対的な権限を握ってないせいか複数の人物による内部抗争じみた足の引っ張り合いも展開される。

例えばかつては館長の側近で現在は引退していたが、彼直々の命令で切り札として招聘されたシビレッタさん。その彼女とアナコンディさんの女の争いとか…

この比喩表現とかでなくマジで頭からでかいキノコが生えてる老婆がシビレッタ(cv.鈴木れい子)唯一ブンビーさんと一度も面識のないエターナル幹部で、それもそのはず彼女は自身の籠もる書斎にて所持する本の世界にプリキュア達を引き込み、そこで本のシナリオに見立てるようにローズパクトを没収せんと襲いかかるタイプの敵だからだ。基本的に戦闘はホシイナー任せだが後が無くなり激昂した際にはキノコの笠が舞茸のように反り返り、自らを笠に包みミサイルの如く突撃するという実はアグレッシブなお婆様。ちなみに設定資料には彼女の若かりし頃の設定イラストもあったりする。


「館長が気の短い御方だというのをシビレッタさんが一番ご存知でしょう…?」
「あんなのが館長のお側にいるなんて……よっぽど人手不足なんだろうねぇ」

そりゃもう現役秘書のアナコンディさんとは会話の端々からピシピシと感じるほどに険悪ぶり。前年のカワリーノさんとブラッディさんがマシに見えるほど。しかし“ある時”を境にアナコンディの方から強気に出られ……

「シビレッタさんはよくやってくださいました……館長に代わって私から申し上げます。もうここで好きなだけ本を読んでいいそうですよ
GoGo42話「こまちの決意とアラビアンナイト」より。かつて館長の側近として勤めてたならそれが何を意味するかは容易に理解できるだろう……彼女の人生という物語の“終わり”と同意義である。彼女は最後の本を取る……無限に連なる終わらない物語、我々が言う『千夜一夜物語』を。


「アタシは来る日も来る日もあらゆる本を読み聞かせて差し上げた……なのにちっともあの御方の心は動かなかったじゃないか!」
かつて彼女もアナコンディさんのように館長に献身的に仕え、世界中から収集した物語を彼がこちらに向いてくれたらと読み聞かせた……結局は彼はその努力に応えてくれなかった。『千夜一夜物語』は毎夜物語を語るシェヘラザードのようだった過去を持つ彼女に相応しくもあり、そして民を虐殺する暴君シャフリヤールから皆を守るために決死の夜話に挑んだシェヘラザードと違い己の為だけに本を使うも実らなかった物語に絶望し、本を他者を苦しめる道具にしか用いれなくなった彼女の報われぬ最期の舞台であった。

余談だがGoGo30話「王の力とナッツの悩み」にて『竹取物語』の世界に引き込んだ際に「アタシの物語だからアタシの勝手でしょ!」と年老いた自分自身が主役のかぐや姫を演じていたのは改めて見ると物悲しさがある。彼女は想いを向けられ寵愛を受ける主役になれなかったのだ……

無人と化した書斎、アナコンディは持ち主の書物をもはや残す必要ないと焚書する……そもそもが館長が興味を示さなかったもの、即ち“価値のないもの”であるように
そして目障りであった。館長の気を引かせようと尽力する自分をせせら笑うシビレッタが、そして彼女よりも強大な存在の“”が……

“奴”の詳細は後に話すとして、エターナルといえばもう一人こういう内部抗争に足を突っ込んでしまった人物がいる。ムカーディア

なんだこの露骨に顔が良すぎる長髪の男は!?彼こそがムカーディア(cv.置鮎龍太郎と声も良い)プリキュアシリーズ初の美形敵幹部だ!ちなみにキャラデザの川村敏江氏いわく「(敵のデザインって)いつもはキワモノばかりだからたまには全然違うのもいいかな」とのこと。
顔が良い敵幹部なのか優遇されており、いかにも胡散臭いイケメンらしい専用のBGMを持ってたり、BD-Box特典の設定資料集では3ページにも渡って掲載される(ラスボスの館長だって1ページなのに!)というまさに顔が良いは正義といわんばかり。でも意外にもプリティストア等でグッズ化はされてなかったりするし、オリジナル美形キャラもよく出してくるコミカライズ版でおなじみ上北ふたご先生は一度も描いたことがなかったりする

アナコンディさん直々に招聘した彼、これまでの仕事も完璧にこなすし気も効くしなにより顔が良いのでいつもおっかねえ彼女も彼には甘い。もうなんでまだいるのか分からない無能なおっさんなんかどうでもいいくらいに(そしてここあたりでブンビーさんは身の危険を感じ逃げたのだった)

そんな彼が初登場したのはGoGo29話「高原でイケメンとテニス!?」とそのまんますぎるタイトル。「百井京介(ももい きょうすけ)」と名乗りプリキュア達に近付き隙を見計らいローズパクトを奪わんと……(置鮎龍太郎ボイスのイケメンがテニスしてるだけで某作品を思い出して笑える)
その後も素性がバレてないのを活かし定期的にプリキュアと接触し表向きは気さくで顔が良いお兄さんを演じ何度かローズパクトを奪い取ろうとしていた。

…とまあこれだけなら単に顔が良い狡猾な敵だけなんだがGoGo36〜37話「危うし!ファイブDEチャンス!(前編〜後編)」でTVの番組に出演しようとしたプリキュア達を罠に嵌めミスターマジックなる気持ち悪い格好し気持ち悪いハイテンションで気持ち悪いホシイナーのバックダンサーをつけてTV番組のミニゲーム方式で小馬鹿に追い詰めるトンチキ極まる作戦を敢行。終始ひっどいノリが続き視聴者を困惑と笑いの渦に叩き込んだりした。なにやってんだろコイツ……ちなみに上記のアナコンディさんにバラをプレゼントしたのはこの作戦決行前。うーんこんなの見せられたら……

「ん?いつもお茶を入れてくれる人は…?」
「そんなにあの男のことが気になるのでしたら…ご案内してさしあげましょうか?」
そんなスカした顔のムカーディアさんも失敗が続いたのか、それとも直前のミスターマジック作戦がアレだったのか、あれだけ顔が良いからとチヤホヤしてくれたアナコンディさんから見かけなくなったお茶汲みのおっさんと同じ末路を辿るぞと遠回しに脅される。エターナルは成果を上げない社員に価値を見いださないのだ……流石に焦るムカーディア。焦った顔も絵になる美しさ。

ということで偶然アクセサリーショップの前で見かけた純情乙女りんちゃんに接触しうまいことローズパクト没収せんと情報を手繰ろうとする。タイトルもGoGo41話「りんちゃんイケメンとデート!?」とこれまたそのまんますぎる(一応前期の27話「りんちゃんイケメン幽霊とデート!?」のオマージュである)。道中で迷子の少女とやり取りがあるも興味ない程度に冷たいイケメンと一緒にカフェでお茶することに……
 
「お待たせしました、お茶が入りましたよ。当カフェ一番人気のスペシャルケーキとティーセットでございますよ。」
お茶ってこの店員の声なんか聞き慣れたやつなんですがまさか!?

ブンビーさん、まさかのカフェでバイトしてた。


「お前がどうしてここに!?」「お前こそプリキュアと呑気にお茶など飲みやがってホントに…」
プリキュアだけならともかく、せっかく正体を隠しきっていたムカーディアがまさかの地下送りされたと思い込んでたお茶汲みおじさんと邂逅してしまったせいでバレてしまった!なんたるハプニング!
「まさかお前もプリキュアのリーダーになろうと考えて……」いい加減にそれは諦めろよ!

せっかくのバイトをバックレざるを得なくなった可哀想なおじさんは放っておいてバレちゃしょうがねえとムカーディアも怪人態となって襲いかかる!美形だった仮の姿とは違って普通にザ・怪人みたいな見た目してるな……

とまあ怪人態になってそこそこ善戦したものの案の定返り討ちに遭い退却するムカーディア。GoGo44話「届け!みんなのプレゼント!」にてもう後が無いと策を練るためにアナコンディがまとめた報告書を読み漁る……なにやら運び屋シロップの項目だけ所々を検閲済の如く塗り潰されてるではないか。アナコンディに見つかり激怒されるもあの反応からして知られたくない重大な秘密を隠している……これはひょっとしたら…!

そして街中にいたシロップに問いただす。お前とアナコンディしか知らない秘密が存在する、館長すら知らないその事実を明らかにして告発すれば自分を切り捨てようとするアナコンディを失脚させて俺がエターナルのナンバー2になれると……別に百井はそこまで他者を蹴落とすほどの出世欲にギラついてる訳ではない、単純にそうしなければ生き延びることはもう不可能な所まで追い込まれたからだ!
記憶を失ってるシロップに尋問し空白を無理矢理こじ開けようとする!そして「館長宛の手紙」と呟く……

次のGoGo45話「キュアローズガーデンの扉現る!」にて漏れ出た情報を頼りにアナコンディのデスクに厳重に保管された“手紙”を発見する!これこそがシロップの記憶を呼び起こす鍵そのもの!そしてその情報を俺が生き残るためによこすのだ!シロップは自分の記憶が戻ったらみんなといられなくなるかもしれないと怖がっていたのに、彼らエターナルはそんな盗み取られる側の心情なぞこれっぽっちも意に介さない薄情なる組織であると再確認する。

しかしそれもプリキュアに邪魔されたムカーディア。このままでは浄化技モロに食らうので国王完全復活と手紙の存在だけでも館長に知らせようとするも……
「困るんですよ……あの“手紙”を館長に見せられたら。」
脚が石化して逃げれない!?彼女に気付かれていたというのか!そのまま一撃を受け彼は……

「扉を開けてくださりありがとうございます、プリキュアのみなさん」

邪魔者は退治しついにキュアローズガーデンへの扉が開かれる!しかしその機会を待っていたのはプリキュアだけではない、アナコンディさんもであった……館長には敢えて四国王いまだ揃わずと嘘をつき、館長宛の手紙を隠すという背信行為をしてでも、館長にキュアローズガーデン開園を悟られぬよう虎視眈々と待っていた理由とは!?もはや報告書など不要、全て私がカタをつけて差し上げましょう……

「フローラの息の根を止めることによってね!」


キュアローズガーデンの主にして館長が心から欲する唯一の女性、フローラの抹殺だった!


・アナコンディさんも生き方が真面目すぎるんですよ……私みたいにひとつの職場に執着しすぎず自分自身を大切にして…でも私も結局それで逃げてばっかしだもんな……

『Yes!プリキュア5GoGo!』の物語のキッカケでもあるのに前回の記事含めてこれまで触れなかったキュアローズガーデンの主フローラ。彼女が運び屋シロップを通じて夢原のぞみにキュアローズガーデンへの鍵となるローズパクトを託したのが新たなる戦いの始まりだった。


「夢原のぞみさん……あなたにどうしても伝えたいことがあって、この手紙に私の想いを込めて送りました。」
こちらがそのフローラさん(cv.皆口裕子)GoGo1話「復活!プリキュア5!」にて上述の通り彼女たちにローズパクトを渡したのだ。「危険が迫ってる」は十中八九エターナルのことだが「まもなく私は消えてしまう運命」というのは……その送ったローズパクトを邪悪なるものから守りつつキュアローズガーデンへ来てほしいという見ず知らずの彼女からの遠大な頼みを二つ返事で了承するのが信頼と実績の我らの夢原のぞみよ。

ローズパクトから花の種を送ったのもフローラさんだ。それをミルクが丹念に世話し奇跡の青いバラを咲かし、ミルキィローズとしてみんなを守る力を得た。このように陰ながらプリキュア達を支えてくれたフローラさんだが……

フローラさんが夢原のぞみをキュアローズガーデンへ呼びたかった理由、それは自身の命が残り僅かだったので、素質ある彼女を新たなるキュアローズガーデンの主へと継承させたかったのである。GoGo38話「二人の力!ドリーム&ローズ!!」の時点で彼女の体はけっこう弱っており花も連なるように萎れつつあり……

そしてキュアローズガーデンはあらゆる生命の源を司る庭園であり、そこのバラが散るとなればあらゆる命が朽ち果てることになる。だから自分が死ぬ前にローズパクトをパルミエ王国周辺の4国王の力を借りて覚醒させ、封印された扉を開きここまで来てほしいと……

女子中学生にこんな重要すぎる役職を就かせるのとかちょっぴり考えちゃうが、それでも夢原のぞみはキュアローズガーデンの主になるに相応しい素質を持っているからである。しかしなぜ扉は閉まっているのか……それの理由が館長と呼ばれる男であった。


そもそもフローラさんと館長は旧知の関係(そのせいか館長と役職名で呼ばない。本名でも知ってるのかな)でかつては彼もキュアローズガーデンに訪れていた。しかし彼の苛烈な価値観……キュアローズガーデンをあらゆる宝物で飾り究極の花園としてみせようという言葉に危機感を抱き彼を追放し、誰も入らせぬよう花園の扉を封印した……
「なんなんだこれは……これが答えだと言うのかフローラ!?キュアローズガーデンは必ず我が手で手に入れる!必ずッ!!」

「あの人の頭の中はキュアローズガーデン……いいや、フローラのことでいっぱいなのさ。昔からずっとそうなんだよ」
(GoGo30話、シビレッタより)

その断絶からずっと館長はいつの日もいつの日もフローラのことばかり……そのフローラが自分でなくプリキュアを選んだという事実を知ってからその欲求はさらに過剰に……シビレッタさんが仕えてた頃のあらゆる本を読み聞かせた献身も、そしてアナコンディさんの多数のコレクションへ貢献するため世界各地の文明から略奪し彼に捧げる施しも興味ないとけんもほろろにしてきた……このゲッカビジンの花を永遠に保管したものだって貴方のためなのに……(余談だがこのシーンで作画班が彼女の口紅を塗り忘れてる。かわいい)

しかしその想いに対して絶望しきって諦めがついたシビレッタとは違い、アナコンディは……館長が自分の方に向いてほしい故に、彼がそれしか興味を向けないフローラを殺したいまでの強すぎる嫉妬の念を抱いてた。まさに蛇のようだ。そのために(プリキュアのリーダーになりたいとかぬかしてたアホが持ってきた)ローズパクト完全覚醒のための四国王集結という重要情報を館長に「まだ揃ってない」と嘘をつく背信行為してでも隠していた。館長に“収集”されるより先に扉が開き次第すぐフローラの命を仕留めたかったから。こんな女の愛憎劇をお出ししてるがプリキュアは小さい子のためのアニメなので「息の根を止める」という形で言ってるが、端的に言えば想い人からの寵愛を授かりたい故の嫉妬から発生した明確なる殺意である。こわい

さらに物語が始まる前、それこそナイトメアがパルミエ王国を襲撃する前に遡る……フローラはシロップに館長宛の手紙を配達依頼してたのだった。彼の危険な考え故に一度は拒絶してしまったとはいえ、彼女はある“想い”を伝えたかったのだろう……
それは届かなかった。二人の関係に何かしらの進展が発生すると危惧したアナコンディが強奪したからだった。そしてこの彼女の妬ましさ故に取った行為がこれから話す救われない悲劇の始まりであった……(ちなみにこの際の衝撃でシロップは記憶を失ったし、その上でアナコンディさんは「エターナルが協力すれば貴方の正体が分かるかもしれない」と彼を裏切らせようと交渉してきたりしたこともあった。大人ってずるい)


「残念だけど、ゆっくり貴方の相手してる暇はないの」
扉開かれし次回のGoGo46話「絶体絶命!没収されたプリキュア5!」(タイトルの時点で嫌な予感しかしない)にておぞましい野望叶えるべきアナコンディさんが本気を出すために髪が本当にゴルゴンめいた蛇になった真の姿へと変貌する!(隠れ巨乳だったんすね)ミルキィローズを一方的に叩きのめしメタルブリザードすら跳ね返す館長の側近に相応しい実力者!


「私達は似ているのかもしれませんね。貴方はパルミエ王国のために、私は館長のために……」
「誰かのためじゃない!私は自分のために立ち向かっているのよ!みんなが大切に思っているものを踏みにじるあなた達のやり方が許せないから!」

アナコンディとミルク、同じく主君に献身的に傅く二人。この時のミルクは前のカワリーノさんみたいに他者に尽くしすぎる奴なのかと思っていた。しかし先程言ったように彼女は己のために……

激闘のさなか、突如としてプリキュア達そしてアナコンディの周辺の空間が転移する!そこはエターナル本拠地、すなわち……


「なぜフローラからの手紙を私に届けなかった?」

手紙含めて全て知られてしまった……その経緯を話すため少し話を巻き戻そう。

「う〜んどの仕事もしっくり来ないな〜あ〜あ、とはいえ今さらエターナルに戻ることなんてできないし……第一あの頭ニョロニョロが許すワケが……」

ガマオくんを彷彿させるようにどこかの公園で求人誌とにらめっこなブンビーさん。しかしなかなかいいとこ見つからないようだ……正直エターナルに戻りたいとか言ってるし。そんな風にボヤいてたら……

\ドサッ/


あ!目の前にイケメンが落ちてきた!どうやらムカーディアさん、アナコンディに足を石化させられるもギリギリの所で逃げれたみたいだ。しかしそうとう消耗してるなぁ…何やら館長に急遽報告せねばならないとかでエターナルに連れてってくれだそうだ。ブンビーさんも「ひょっとしたら館長直々に頼めば復職ワンチャンあるかも」という調子いい判断で一緒に行くも……

「館長からの手紙を隠し持つなんてもはやアイツはただの裏切り者!館長、ここはぜひ裏切り者のアナコンディの代わりにこの私を館長の元で…

「……お前など要らぬ」

プリキュア史上初のイケメン敵幹部で多くの注目を浴びたムカーディア、その最期はまさかの「邪魔だったから消した」ただそれだけの理由という恐ろしくあっけないものだった。館長は終始手紙にしか目線を向けず、文字通り片手間で喧しく騒ぐ虫を消した。私が興味を示さない、価値の無いものはどうなろうと知らん。これこそがエターナルなのだ。

彼が要件済んだら頼んじゃおうかなとワンチャン狙ってたブンビーさんも鍵穴からこの一部始終を覗いており戦慄した。ヤバい。こんなにもヤバい所のヤバい長だったなんて。こんな所絶対に戻っちゃダメだ!

話をさっきまでに進めよう…隠していた全てが発覚し館長に問いただされるアナコンディさん。彼女は打ち明ける。自分がどれだけ貴方のために働いていたのか、そんな自分の努力を無視してた館長にフローラを会わせたくなかったと。それこそ彼女の嘘偽りのない彼への“想い”だろう。しかしその言葉を聞いた館長は……

「アナコンディよ……伝説の戦士プリキュアを我がコレクションに加えたい。」

「ですが…今の私にはあまりにも大きな負担が……」

彼は冷たき一瞥だけした。それだけで十分に伝わった。

「……分かりました……」
(ここの場面、プリキュアの後にアナコンディさんへと焦点が移ることはない。視点であろう館長は彼女のことなど眼中に無いのだ……)

アナコンディさんの石化能力、これまでは一部分のみ固めた程度だったが、人ひとり石化させるとなるとかなりの消耗をしてしまうそうだ。ましてや大きな力を持った存在プリキュアで5人となれば力を使い果たし待っているのは……
館長も彼女の能力くらい知っているだろう。だからこそだ。彼は自身の欲しかったものを奪っていた哀れな裏切り者を、自分自身への忠誠を利用し遠回しに自害するよう命じたようなものである。直接手を下さなくてもこうすればお前は喜んで殉ずることを選ぶだろう。あまりの冷徹さに背筋が凍る。こんなキャラに千葉繁のフリーダムなアドリブ入れるの不可能だわ

プリキュアをコレクションに加えようとする館長、GoGo43話「恐怖!エターナルの館長!」にてフローラがなぜ自分ではなくプリキュアにローズパクトを授けたのかという事実が気がかりで仕方なく直接確かめに赴き……自らの意志で強い力を生み出すキュアドリームの姿とフローラの姿が被ったのを見たのだ。そんなフローラのような彼女たちに価値を見出し、必要なき者に命を切らせても手に入れようとする……そういう意味でもアナコンディはフローラに負けたのだ。構図が地獄すぎる……

「館長の望み……私の命を捨ててでも叶えます……!」

一瞬の内にどんどんプリキュア達を石化させていくアナコンディ!一人だけでも肩息なのにそれを5人もするならば……

圧倒していた筈のミルキィローズの一撃で容易く倒れる程になり、もはや立つことすらままならぬ。それでも館長のため……最期くらいはきっと私のことを見てくれると……

「待ってろよ……フローラ(どうして…分かってくれないのですか!?)いざ…キュアローズガーデンへ!」

常に椅子に座っていた館長がついに立ち上がり……彼女の元へ飛び立つためだけに翼が開かれる。地を這う死に損ないの虫ケラなど当然目に入るわけがない。させない…フローラの元へ行かせるならば貴方もこの手で……

……手が止まった。彼女は己を死ぬよう追い込まれようと、愛する彼の命を奪うことはできなかったのだ……


館長は躊躇なく殺す。邪魔だからだ。それだけで理由は十分だ。清らかな涙を彼の鎧に残し塵と消え行く……
エターナルのアナコンディ。確かに彼女もこれまで多くの文明から数々の宝物を略奪してきた、成果を上げない部下を無価値と見做した、そして愛する者がこちらへ向いてほしい故に彼が想う存在を殺したい程に憎んでいた、それらは褒められたものではない。それでも愛する者に微塵の情も無く潰されるという報われぬ最期はあまりにも悲しく、そして館長の冷酷さをこれでもかと強調させた。

ブンビーさんは見ていた。あのアナコンディさんまでもが……あんな奴が世界全て手に入れたらいったいどうなるんだ……

そして館長はキュアローズガーデンへと到着してしまった!彼はキュアローズガーデンを手に入れるだけでなくフローラの命尽きる前にコレクションとして永遠に保管するつもりだ
「やっぱり……分かってくれなかったのですね……」先程語ったように彼女は彼にある“想い”を伝えたくて手紙を送っていた。それは……

「こんな価値の無いものなど……」
「貴方に送ったものこそが、本当の宝だったのです」


バラの種だった。アナコンディはこの種(恐らく彼女も価値なきものと決めつけるだろう)の入った手紙を渡したくなくて隠し続けてた。そしてそれが館長の手元に渡されても全く心を動かさず、彼女は失望を抱いた。はたしてフローラが本当に彼に伝えたかったこととは!?


そしてこのままだとフローラさんどころか世界そのものが危ない!しかしプリキュア達も石化しコレクションとして保管されている……巨大な館のどこにあるのか、そして石化はそもそも解けるのか。絶体絶命の大ピンチを救う鍵のひとつを握るは……

そう、俺たちのブンビーさんだ!


・「気持ちひとつで世界は変わるから」とかそんな歌があったけど、私も変わることができるかもしれない……少しずつ、やり直せばいいんだ。な“彼が見つけたもの”

「さてと、プリキュアの様子でも見に行こうか〜こっちから行こうかな〜あ、開いた開いた」

GoGo47話「気持ちをひとつに!青いバラの奇跡!」より。没収されてしまったプリキュア達を救おうにもエターナルの扉は固く閉ざされていた……そしたらブンビーさんが上の台詞を言いつつ隠し扉を開いて通っていった!罠かもしれないが信じるしかない…

いた!ブンビーさんは館長を好き勝手させておくのはヤバすぎると、プリキュアを助けるべきと判断したのだ。勇気ある決断だ!

とはいっても石化解除の方法までは流石に分からない。それでも彼女たちを信じるしかない、自分がこれまで戦ってきて何度も味わった“アレ”が起こるのを。

どうしようもなく途方に暮れるミルクとシロップ、そこにメルポが石化した筈のプリキュアからシロップ宛ての手紙を受信する。まだ心は生きてる……だから想いが手紙という形で具現化したのだ

それならば……シロップは手に取る。館長がフローラから貰ったものの、価値の無いものと捨てたバラの種だ。彼は価値を見出せなかった、けれどシロップはフローラから教わったことを思い出したのだ。種は無限の可能性であり、それを育てるのは気遣い想う“心”であると

ここからはシロップがプリキュア達との想い出を語るシーンに移る。しかし前回の記事でもあまり触れられなかったシロップだ、ここを機に少し振り返っていこう。敵の説明する記事だけどシロップもかつて運び屋としてエターナル相手に仕事してたし丁度いい


「大切なものは絶対に手放すな。大事なものほどすぐ無くしてしまうもんだ」
最初の出会いはそれこそGoGo1話「復活!プリキュア5!」の冒頭、夢原のぞみ宛の手紙を渡した所からだ。配達した手紙がまさかのローズパクトに変化して気が変わったようにそれをよこせと言い始め……
そして貴重品の情報交換のために来たスコルプに見つかり彼も戦いに巻き込まれる。最初は自身の失われた記憶の鍵となるだろうキュアローズガーデンへ行けるまでの我慢だと思っていたが……

GoGo8話「シロップと謎の手紙」より。シロップが度々見る夢……懐かしさを覚えるバラの花園に近付こうとするも届かず独りに追い込まれる怖い夢。そのことを打ち明けたら「そんな夢を見たら手紙で伝えて。夢の中でも必ず私達が駆けつけるよ」と言ってくれた。ちょうど今石化しながらも彼女たちは手紙を送ってくれたように。

GoGo13話「悪夢のメルヘンワールド!」でシビレッタにキュアローズガーデン…居場所の無い自分に残ってる故郷のような手がかりのためならエターナルにも協力してた過去をバラされ再びこっちへ来いと唆される。しかし過去に傷があろうとその程度でシロップと一緒にキュアローズガーデンへ行くのぞみの決意は揺るがない。さらにはナッツハウスで一緒に住もうと提案されるが今回は断られ…

忘れてはならぬのがGoGo18話「みんなに届け!うららの歌声」だ。いつかは亡き母と同じ舞台に立ちたいうらら、そのゴールはいつになるか分からない……それはまるでキュアローズガーデンへ行きたいともがくシロップのようだ(奇しくも前期で夢のために独りで頑張らなければと追い込んでたのも、自身の正体を知るためにエターナルに協力した過去のある彼に近い)「私たちには行きたい場所がある!そこに辿り着くまで倒れる訳にはいかないの!」である


そして彼にとってのターニングポイントがGoGo23話「シロップが裏切った!?」今度はアナコンディが彼の“全て”を記した報告書と交換条件にローズパクトを要求してくる(ちなみに彼女が記憶喪失の原因なのでその情報の正確さはたぶん間違ってないだろうが…)
しかしそれ以上に「エターナルがその気になればプリキュアなぞ簡単に倒せるし、ローズパクトさえ渡せば彼女たちと争う理由は無くなる」という言葉……みんなを傷つけたくないという想いによってローズパクトをエターナルまで持ってきてしまった。自分の気付かぬ内に仲間としての意識が強くなっていたのだ……辛うじて「大切なものは絶対に手放すな」を思い出し渡すのを躊躇できた(万が一渡した先に待つのはどんな形であれ自身の故郷だと思い出せたキュアローズガーデンの蹂躙なので…)

続くGoGo24話「プリキュア5新たなる力!」にてシロップを連れ帰るためにみんながエターナルまでやって来た!自分はもうみんなを裏切ったから戻れないとココに告げるもローズパクト渡すのを踏みとどまったから裏切ってないと優しく諭し、自分含めたみんなが仲間として帰るのを信じて待ってると伝える。ココはかつてシロップの助けになろうとしたが力及ばずだった過去があり、だからこそ余計に彼を放っておけなかったのだ…
「みんなと一緒に帰りたい……」彼はもう帰ってくる場所を見つけたのだ。

そしてGoGo45話「キュアローズガーデンへの扉現る!」前回のムカーディアの尋問により失われた過去を掘り起こされたシロップ。そのせいでもし自分の記憶が完全復活したらみんなと一緒にいられなくなるのではという未来への不安を覚えてしまう……それほど彼女たちと過ごした時間はかけがえのない“大切なもの”になっていた。

「大切なものは絶対に手放しちゃいけない…将来どうなるか分からないけど、今までみんなと築いたものがここにある。ローズパクトも王様も、そしてみんなと帰るこの場所も絶対に……絶対に渡さない!」
一緒にいた時間から生まれた想い出は決して無くならない。そして自分は独りじゃない。だからこそ怖くても前へ進める。


「シロップはみんなと行きたいロプ……キュアローズガーデンへ……一緒に行くロプ!」
フローラがシロップを通じてプリキュアへローズパクトを託したのはもう一つ理由があった……命尽きる自分が去っても彼が独りにならないように友達になってほしいという願いも含まれていたのだった。その想いはしっかり叶っており、そして今みんなを助けたいシロップの強い想いにバラの種が呼応するよう蕾になり花が咲き……



フローラが“本当の宝”と館長に渡したかったバラの種、それは人の想いによって開花し奇跡を起こす力そのものだった。プリキュア5はそのバラの力で完全復活どころか蝶の羽根が生えるというパワーアップまで果たした!こんなにも凄まじい可能性を秘めた彼女からの贈り物を「価値の無いもの」と気付けなかった館長は…

「あなたはみんなやキュアローズガーデンを傷つけた……絶対に許さない!」
「許さないだと?貴様達になにが…!?(有無を言わさず肘鉄)」
「みんなのおかげで私たちは生まれ変わったの!もう誰にも負けない!」

即座に飛び立ちキュアローズガーデンにて最終決戦へと向かうプリキュア!復活した彼女たちは強化された浄化技を叩きつける!そして……

鎧にヒビが入る館長。そこから覗く素顔……それだけでも秘書が放っておかない美しさが分かる。そして館長は本気を出すと真の姿を表す!

これが館長の真の姿だ!……ってなんかそんなかっこよくないというか鎧着てた方が強そうというか……
しかしその本気の実力たるや恐ろしいものである。純粋にプリキュア達を圧倒する徒手空拳だけでなく攻撃を防ぐ闇のオーラ、大量のホシイナーボールで押し潰したり、挙げ句の果てにはキュアローズガーデンの生命のバラ全てを一瞬で焼き尽くし……


「これで世界は“永遠に”私のものだ……」
そしてGoGo最終回「未来へ!永遠不滅のプリキュア5!」へと続く。館長は価値の無いものを消すことに微塵の躊躇もない、すなわち地球上のあまねく生命を根絶やしにしようとも意に介さない。価値ある宝だけが残ればいい。彼が生殺与奪の権を掌握するということは、こういうことなのだ……
 
「フローラの気持ちがどうして分からないロプ!?この一粒の種を通じてフローラは命の無限の可能性を知ってほしかっただけロプ!」
「種は育てることで美しい花を咲かせるし、その実は人々の命を支えることができるナツ!」
「花が咲いたら奪えばいい、実が付いたらまた奪うまで」
もはや彼の虚しき考えを変えることができなかった……彼女の切なる最後の想いですらも。

もはやなす術無くフローラが永遠の牢獄に閉ざされるのかという寸前でメルポが莫大な数の手紙を受信した!命が消えかけようとも心がまだ尽きてない息とし生ける全ての者たち想いが手紙という形で届いたのだ……全生命の想いを受け取ったプリキュア達は完全に回復しさらなる力をいただき……

「私たちはこの種に託された想いを受け取ったの。たくさんの想いがこの一粒の“命”に込められているの……」
「この種を育てる想いがあればフローラさんはあなたを受け入れたのに…」

「黙れ…」
「こんな争い…しなくて済んだのに!」

「分かったような口を聞くな!!」

『Yes!プリキュア5GoGo!』において度々“手紙”がキーアイテムになる。変身アイテムがキュアモなる電子メールでやり取りできる携帯電話型にも関わらずに。それは今作が「“想い”を伝え、心で感じる」ことにテーマを置いて実物として分かりやすくするため手紙を用いているのだと自分は捉えている。アクセサリー、歌、小説……そして未来への無限の可能性を秘めた一粒の種。ムシバーンのお菓子においても大切なのは込められた想いをいただくというもの。そして彼は最期の瞬間にその心の強さを知ることができた。しかし館長は……
「くだらん!実にくだらん!価値の無いものはすべて消えてしまえ!!」

希望の赤きバラの力授かるプリキュア、奇跡の青きバラの力授かるミルキィローズ、そしてココやナッツ、シロップ達をはじめとした地球上の多くの命の力が悪しき魂を打ち砕く!全ての想いを束ねた種から生まれし輝くバラ……その象徴たる女神が彼を包み込む……
「それこそが…プリキュアと多くの人々の願いが育て上げ生み出した命の力なのです……」


「あのとき私が種を受け取っていたら私はキュアローズガーデンへ受け入れられていたというのか…!?」その力を前にして彼は聞く。もしあのすれ違いが無かったら、もし彼も彼女の想いを理解できていたら……
 
彼女の答えは何も無かった……信じた一縷の可能性をも蹴り飛ばされ、最悪の選択を見た後に彼に対して残るものは、何も……


「私は……私は間違ってなどおらん!私は諦めんぞ!!」元の姿に戻ろうと(最後の最後でめちゃくちゃかっこいいオジサマな素顔を見せてくれる)未だ諦めない館長!だがしかし、鎧に残った涙の粒…“彼女”が遺した想いが輝いて……

「館長……」


「アナコンディ!?」

やっと……私の方を向いてくださったのですね……

エターナルの館長なる者。己の価値観ただひとつで多くの文明から宝物を奪い取り、さらには命ごと無価値と踏みにじる彼は前年のデスパライアと違い最期の瞬間まで誰とも理解し合えず、そして欲する存在からの断絶も叩きつけられ哀れに消えていった。それでも(本人が望まぬ形だろうとはいえ)自分を想ってくれる存在がいたという事実は僅かな救いだったのだろうか……

全ての生命が元に戻り、それでもフローラさんはお迎えの時が来てしまった。彼女は夢原のぞみにキュアローズガーデンの主になるよう頼むも「それならここを開放してみんなを招きたい」というみんながいるからこそ自分がいる彼女らしい返答を受け、そしてその答えに満足しつつ昇天する……一粒の種を遺して。その理由は……それは育てればきっと分かるだろう。



……忘れそうになっていた。この戦いに勝利できたキッカケ作りし彼をだよ!ブンビーさんだよ!!

話を戻してGoGo47話へ。ブンビーさんが石化したプリキュアの元へ案内してくれたおかげで救うことができた(彼女たちがしょっちゅう起こす奇跡の発生による大逆転に賭けていたが)そして彼はこう告げる。

「お前たちとやりあってる内に気付いたんだよ。なんというか……ひたむきさというか、この組織に欠けてるなにかをね。」

2年間も戦い続けてブンビーさんは感じていた。仲間を想い助け合う心、夢を持って頑張る気持ち……改めて非情なる行いを見て何が大切か気付いたのだろうか。

「早く行きたまえ。グズグズしている時じゃないだろう。」「……私もついていこうか?」

「ブンビーさん、ありがとう!」

「あぁ………はやくいけぇ(照れ隠し)」


“ナイトメア”でも“エターナル”でもなく、“ブンビーさん”と呼んでくれた。敵組織ではなく、一人の人間として。歴史的な瞬間である。

そしてブンビーさんの行動のおかげで館長の企みは滅び、世界は救われたのだった……そしてブンビーさんはどうなったというと……

「おい新入り、お茶を淹れてくれたまえ(電話の音)はいなんでもおまかせブンビーカンパニー!


ブンビーさん起業!なんでも屋ブンビーカンパニーとして小さな一歩から始めることにしたのだ!犬の散歩とかなんでもござれ!超テンション社長Yes!

しかしよりにもよってカワリーノそっくりの新入り(しかもわざわざこのためだけに1年ぶりに結城比呂さん呼んだ)がマ〜ジで仕事しない。自分がまだお客さまに割引券を渡してないから早くしろと催促したら「部下の尻拭いするのも上司の仕事ですよ?」と生意気ヌかしてきやがる!最近の若いもんはこんな奴らなのか!

しかしそこは抑えるんだブンビー……プリキュアが種からバラの花を咲かせたように彼を一人前に育ててこの会社をBIGな組織にするんだ……昔みたいに部下いじめなんてしてたらダメなんだ……これが彼なりの成長なんだ……

というワケで夢に向かってまずは使いパシリだろうと全力で頑張るぞ〜!!ってオフィスって高層ビル屋上に建てられたオンボロ小屋なの!?それはともかくブンビーさんは飛び立つのだ!フレフレブンビーさん!!


そして月日は流れて……


そしてこのラストから9年以上経った2018年の作品『HUGっと!プリキュア』36話「フレフレ!伝説のプリキュア大集合!」にて三日間なにも食わずボロボロになって参上したブンビーさん。キラパティ(2017年作品『キラキラ☆プリキュアアラモード』にて出てくる移動型スイーツショップ)にて甘味をごちそうになりつつ、なにがあったか紙芝居方式で話し始めたぞ(手紙に記した落書きの頃から画力上がったなぁ)
どうやらHUGプリの敵組織であるクライアス社……ここで語った敵組織に並ぶやべー所に引き抜かれてしまったのはいいものの、対プリキュア用戦闘ロボ開発を手伝わされるし(かつてのプリキュアと戦った経歴から採用されたのだろうか)案の定職場でコキ使われるしで泣きながら逃げてきたそうだ……ちなみにスタッフインタビューによると放送時の2018年でもブンビーカンパニーはちゃんと存続してるとのこと。彼が帰ってくる場所が残っていると信じたい

しょっちゅう上司にひどい仕打ちを受けたりとつい同情しちゃう憎めない部分もたくさんあったけど、時には部下やプリキュア相手に高圧的な態度を取ってた等身大の人間らしい情けなさも備えたブンビーさん。そんな大人の視聴者が共感しそうな彼がプリキュアを通じて大切なことを学び、自分もそうありたいと努力しているのは見てるこっちも胸を打つものがある。彼が生きてて良かった……


・また話が長くなってしまいましたねぇ……ここまでお付き合いいただきありがとうございますよ。それではみなさん映画館で会いましょうかね。あっお土産もあるんですよ!すこやかまんじゅうといってこれがまた絶品で……


前回あくまでプリキュア側の説明に専念したせいで話せなかったブンビーさんをはじめとしたプリキュア5の敵サイドの話。最初はプリキュアほど長くはならないだろと楽観していたのだが書いてる内にこちらもどんどん内容が膨れ上がって……

ともかくブンビーさん以外にもナイトメアやエターナルといったプリキュア5の敵はこんなにも複雑かつ芳醇に富んだキャラクターであるというのは今回書けて我ながら楽しかった。おかげでここ数ヶ月dアニメストアでプリキュア5漬けしてたのもあって改めて作品の面白さにも気付けた部分がいっぱいあるし……たまにはみんなも過去のプリキュア作品を見るのもどうでしょうか?


ということで今回はここまで。次回は何を書くことになるだろうか……それでは!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?