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今日は節分

登場モノ

栗万子姫:栗万の妖精

大福豆子姫:豆大福の妖精

その他等、妖精

大福佳代(だいふくかよ)は父栗万十郎(ちちくりまんじゅうろう)と再婚したけれど、先妻の子である栗万子姫(くりまんこひめ)が憎くてたまらなかった。姫は高級品として扱われるのに対して、自分の子である大福豆子姫(だいふくまめこひめ)は庶民的ねと言われるし、妹の大福塩子姫(だいふくしおこひめ)はおばあちゃんの原宿でアイドル活動しているんだって?などと言われるから。

佳代の狙いは和菓子界の庶民でいることではなく、茶の湯界に食い込むことだったので、父栗万十郎との再婚もその手段でしかなかった。しかし再婚しても佳代たちへの世間の風当たりは変わらず、庶民的ですことと、嫌みを言われているように感じていた。

佳代は長女の豆子姫を柏餅の君と結婚させ、さらなる足掛かりを得ようとしていたけれど、肝心の豆子姫はいぼだらけの顔を気にして、外出したがらなかった。
佳代は一計を講じて、豆子姫と栗万子姫に豆を与えた。そしてそれを土に撒いて育てるように言いつけた。二人の姫は素直にこれに従い豆を育て始めた。しばらくして、豆子姫の撒いた豆は芽が出て育ち始めた。

けれども万子姫の豆は芽を出さなかった。栗饅頭家の下働きをしていた餡子玉男(あんこたまお)は万子姫が丹精を込めていたことを知っていたので、これには何かからくりがあるとにらんでいた。

一方、豆子姫は自分に豆を育てることが出来ると自信をつけ、顔のいぼも個性なのかもしれないと前向きにとらえられるようになっていた。佳代はこの計画が上手く行った事に満足した。

万子姫は自分の豆は芽を出さなかったと悲しい思いをしたけれど、豆子姫の豆の世話を手伝うようになった。しかしこの育ってきた豆から黒い霧が生まれ、瞬く間にあたりは暗闇に支配されてしまった。霧はモノたちから正気を奪いあっちこっちでお豆さん、クリクリの醜態、淫行が繰り広げられた。

一夜明け霧は去り、この様子を覗き見ていた餡子玉男は恐ろしくなって、柏餅の君の元へ駆けつけた。柏餅の君の家系は子孫繁栄を司る霊力を持っているので、彼はたちまち事の真相を知ることが出来た。

柏餅の君は玉男に邪気払いのイワシの頭を持たせ、豆子姫の豆を引っこ抜いて焼き払うように命じた。

そして佳代のところに向かった。柏餅の君は佳代から豆の出所を聞いた。佳代はそれが鬼退治に使った豆であることと、娘の豆は生豆だったけれど万子姫の豆は炒り豆だったと白状した。佳代は豆子姫の豆が育ち、栗万子姫の豆が芽を出さないで姫が悲しめば胸がすっとすると思っての仕業だった。

しかし、鬼を払った豆子姫の生豆には鬼の悪気が乗り移り黒い霧に姿を変えたのだった。豆子姫は母親のたくらみにも気が付かず、浮かれた自分を責めてまた、顔のいぼをむしり取る癖が出始め、顔からは年中、汁がこぼれているようになった。

万子姫は豆子姫に同情し、彼女の顔のいぼを何とかしてあげられないかと医学の道に進む決意をした。少女たちの春はすぐそこまで来ている。


大変貧乏しております。よろしかったらいくらか下さい。新しい物語の主人公を購入します。最後まで美味しく頂きます!!