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旅とわたし (0) ギリギリアル

旅に出た理由は一言でいうと「現実逃避」

その頃の自分はというと、仕事、プライベート、家族、環境、人間関係などなど…
会社の先輩にガチな顔でお祓いを勧められるレベルでいろいろが重なり、ストレスとプレッシャーから病院で「軽度のうつ状態」と診断されていた。(いきなり重たい話ですみませぬ)

会社を休職し、元来アクティブな方だったが、人と会うのも趣味もSNSも何もやる気が起きなくて、何もしてないのになんかもうしんどい。
1日中ベッドの上で、生命維持できる程度の栄養をとって屍のようにぼんやりするのが精いっぱい。

かろうじでスマートフォンにはさわれたので、ぼんやりネットの記事を流し読みしていた。そこで「死ぬまでに見たい世界の美しい風景(うろ覚え)」といった記事を発見。

"死ぬまでに、だなんて屍みたいにかろうじで生きてる今の自分には ぴったりじゃないか"

なんてくっさいことを思いながら記事を開くと、そこには美しい湖畔にそってカラフルな家が立ち並ぶ、なんともメルヘンで幻想的な写真。写真の横には

「オーストリア / ハルシュタット」

と書いてあった。
ハルシュタット。オーストリアの、ハルシュタット。
頭の中で聞きなれない地名をくり返す。でも、ひと目見た瞬間、反射的に「ここに行く」と決めてた。なんなら向こうから呼ばれてる気がした。(希望的観測)

当時は12月中旬。ちょうどハルシュタットに降り立つ日をクリスマスあたりに設定。海外でクリスマスをすごしてみたかったのだ。

会社では優等生を決め込んで、「いつも笑顔のいい子ちゃん」を気取っていた。……でもこんなラベルとっぱらいたかった。

自分のことを誰も知らない土地で自由気ままに、美しい風景を見て、日本と全く違う文化にふれて、なんならそこで何かに巻き込まれて野たれ死んでも、それはそれで構わないかなって思いながら旅支度を始めることに。

そうと決めてからの行動は早かった。
あんなにぼんやりしていた頭が急にさえわたって、格安の航空チケットを手に入れ、安くて評価の高い宿を手配、現地での交通手段もわりとスマートに英語を交えながら手配。
何か行動しないと、生きがいを見つけないと、このまま万年床で腐って死ぬ、という恐怖がうっすらあった。(ここまで動けたのも、鬱が初期段階だったことがあると思いますが…)

そんなこんなで、久々に楽しいという感情を取り戻しながら3日くらいでおおかたのスケジュールが決定。

ざっくりこんな旅程です。

12/23 成田空港を出発
12/23 ポーランド着(乗り継ぎ)
12/24 チェコ着
12/25 オーストリア着
12/26 オーストリア ハルシュタット着
12/27 チェコ着
12/31 チェコ発
1/1 空の上で新年を迎える(わくわく)
1/2 成田着

旅程を見るとお分かりいただけるかと思うが、ハルシュタット(オーストリア)が旅のきっかけだったのに、チェコ成分多め。

理由としては、学校行事のクラシックコンサートで 「モルダヴの川」を聴いて感動して以来、音楽の街・プラハの夜景や生のモルダヴ川を見てみたかったこと、海外の雑貨が好きなので可愛いと噂のチェコ雑貨を手に入れたかったこと、画家ミュシャの作品が好きなのでミュシャのルーツ・チェコでそれ関連のグッズを手に入れたかったから、などなど。

パッキングは前日夜に済んで(ギリギリでいつも生きています)、いざ当日を迎える。

あんまり不安はなかった。
たぶん今思えば深夜テンション&人生のランナーズハイに近かった。

旅本篇に続きます。

以上、人間でした。

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