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点字ブロックとアクセシブルツーリズム。人のためではなく、自分のため。

高田馬場に佇む日本点字図書館は、視覚障害者の大切な資源です。1940年に創設され、点字図書や録音図書の貸し出しを通じて、視覚障害者の知識へのアクセスを広げています。さらに、アジア各国の視覚障害者への点字図書の提供も行っており、故 本間一夫氏の残した「晴盲二つの世界の公平」の理念は今日のユニバーサルデザインの精神に通じています。

この図書館の存在がきっかけで、1972年には日本で初めて高田馬場に点字ブロックが設置されました。この点字ブロックの敷設は、視覚障害者の移動を支援し、彼らの社会参加を促す重要な一歩となりました。点字ブロックの発明者、故 三宅精一氏の「視覚障害者も外出が当たり前の世界を」という願いは、世界中に広がり、今では多くの国で当たり前のように見ることができます。

しかし、アクセシブルツーリズムの実現にはまだ道のりがあります。点字ブロックの普及はその一例に過ぎず、旅行や日常生活のあらゆる面で、アクセシブルな環境の整備が求められています。視覚障害者だけでなく、すべての人が平等に社会に参加し、旅行を楽しむことができる社会への第一歩として、点字ブロックの歴史を振り返ることは大きな意義があります。

今後も、点字ブロックや日本点字図書館のような取り組みを通じて、ユニバーサルツーリズムの推進と、すべての人に優しい社会の実現を目指す必要があります。アクセシブルな旅行環境の整備は、持続可能なツーリズムの重要な柱の一つであり、私たちの社会がより包括的で公平なものになるための鍵となります。

忘れてはならないのは、我々は死なない限り、誰もが老いるこということです。また、老いてから、若しくは老いるまでに、何らかの障害を持つ可能性もあります。「情けは人の為ならず」です。ユニバーサルデザインの推進は未来の自分のためなのです。

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