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独白を受け止めて

久しぶりに、刺激的なアルバムに出会った。
名前は「P.S.モノローグ」という。

GOOD ON THE REELという作り手は2006年に結成し、
昨年15周年を迎えたバンドで、私ももう応援し始めて6年目くらいになる。
きっかけは友人の勧めだったけど、どんどんのめり込んでしまって、
最終的には1人でずっと追いかけ続けている。

一番魅力だと感じるのは歌詞。
その大半をボーカルの千野さんが書いてるんだけど、失恋した人、将来に不安を抱える人、絶望している人、家族との関わりに後悔を持つ人、恋人といて幸せな人、希望を持って生活をやり直す人。人を描くのが本当にうまいと思う。
どんなコンディションの時にも聞ける曲が揃ってる。
私は幾度となくこの歌詞に救われてきた。

そんなGOOD ON THE REELが新しいフルアルバムを発売したので、聞いてみた。
https://goodonthereel.net/contents/537960

うん、もう完敗です。

初めて聞いた時、正直「う、うーん…」と思った。
歌詞の隅々まで認識できたかは怪しいけど、全体的にごちゃっとしていると思った。ちょうど作曲の多くとギターを担当している伊丸岡さんが休養のタイミングなので、そのせいなのか…?とも思った。
後で考察してみて分かったけど、この違和感はこのバンドが好きすぎてこれまで真面目に聴きすぎていたが故の、「GOOD ON THE REELらしくないかも」というところに由来してると思う。

でも、2周目聞いて思った。あれ、なんかかっこいい。
GOOD ON THE REELらしくないというより、 むしろGOOD ON THE REELにしかこんなの作れないんじゃないか?いい意味で、綺麗じゃない。ピッタリ揃ってない。後、これめちゃくちゃ作るの大変だっただろうな…と思った。
疾走感がありなんだかピンク色の光が見えそうなサウンドの「ファンファーレ」、リード曲らしく2回目聞けばもう口ずさめるくらいのキャッチーな「ナツメロ」、ピアノサウンドが壮大さを出しつつ千野さんの歌声が最も映えている「同じ空の下で」、当たり前という言葉が何度も出てきて混乱しそうになるけど言葉遊びのような歌詞の中にしっかり芯が通っている「当たり前」
めちゃくちゃGOOD ON THE REELらしいじゃないか、と思った。
気が変わりすぎ?

リリースの夜は全然眠れなかった。
結局深夜から6周くらい聞いて、歌詞を読みながらきいて、ナツメロのMVを見て、また聞いた。聞けば聞くほど好きが募っていく感覚は久々だった。

さらっと書いたけど、このアルバムすごく作り手の大変さが見える。
今まで通りのGOTRサウンドも残しつつ、シティポップだったりちょっとハードなロックだったり、いろいろなジャンルが織り混ざっている。
そして内容も、独白の意味を持つモノローグの名に違わない。
きっと今を生きる人として、バンドマンとして、バンドとしての本音がたくさん詰まってると思った。一見バラバラな曲たちも、GOOD ON THE REELという大きな柱が通っていて、多方向に尖っていても芯が通っている。

私がこのアルバムを魅力的だと思ったのは、何も何回も聞いて自分で魅力に気付いただけじゃない。いやそこは気づけよ、とも思うけど。
リリース日周辺で、何個かインタビューが公開されていたので、それを読みながら聞いてみた。
「なるほど、ここは1つ1つ緻密に音が並べられてるのか。」
「あ、この曲の登場人物、1人じゃないんだ」
こんなことをインタビューで知りながら一曲ずつ丁寧に聞くと、
本当に聴こえ方がちょっとずつ変わってくる。すごいすごい。なんだこれ。
さらにリリース記念のラインライブとかでも一曲ずつ解説聞いて、裏話なんかも聞いちゃって。するする問題が解けていくみたいに、答え合わせをする感覚。
これがめちゃめちゃよかった。音楽を補填できる文章って素敵。

本当は一曲ずつ感想書こうと思ったけど長すぎるね。
GOOD ON THE REEL、多分20代後半、30代の人は「昔聴いてたわ」みたいな人も多いと思うんだけど
一回聞いてみてほしいな。全くらしさを失わずに進化していると思います。

なんかすごく窮屈な日々だな、残暑や曇り空、急な雨も相まって鬱屈としているし、気分もコロコロ変わってしまう。でも、自分にとって好きな音楽があるだけで当分やっていけるね

ではまた〜

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