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『近所の清楚なビッチ妻』

気が付けばもう2021年も残りわずか。年末の大掃除を進めるなら、12月に入る前にやるべし! なんてハウツーもよく見かけますが、いきなり大きなところから手を付けようものなら大変な目に遭うわけで。ならば、小さいところから始めてみよう。

というわけで書きたいのに全然書けてないエロマンガの感想を書くことからはじめようと私は思い立ったわけです。間隔を空けすぎて、最後に書いたのがいつだったのか思い出せない。応仁の乱ぐらい昔のような気がする。

今回は葵ヒトリ著/コアマガジン出版『近所の清楚なビッチ妻』について書いていきたいと思います。

はじめに

収録作の内訳は収録順に表題作の長編「近所の清楚なビッチ妻」全4話、短編「夏だし中出し肝試し」、最後に長編「義母なしくずし」全5話で計10話収録。目次にあるフリーページというのは長編2作の誕生秘話について描かれた4コママンガと長編の後日譚になる。

表情豊かな人妻乳

好みのエロマンガの傾向として質感のあるおっぱいを描いてくれる作品が好きだ。本作はその質感の表現も素晴らしいうえで、おっぱいの形状が多様に変化する。

重力を受けてのたわみ方、口や手による愛撫を受けたときの歪み方、挿入後シーンの揺れ方、全てのおっぱい描写にこだわりを感じる。多様なおっぱいの姿を見ていると、「おっぱいの表情が豊か」とか「おっぱい百面相」といった言葉が頭をよぎる。

ひとりの人間がこれほどまでにおっぱい描写の引き出しを持つことができるんだと、葵ヒトリ先生のおっぱい愛に敬服せざるを得ない。同時に今後のおっぱい描写にも注目していきたい。

※以下内容のネタバレ有り





人妻側からの不貞な肉体関係の求めというのが収録作全てに共通している。

厳密には短編「夏だし中出し肝試し」だけは他の長編2作と違う。浮気なんてするつもりの無い人妻が手籠めにされるものの、知ってしまったセックスの快楽を今度は自分から求めるようになるという、いわゆるNTRや快楽堕ちの話だ。長編2作は人妻側から主人ではない男へ関係を求めるというのがストーリーの出発点なので、手籠めにしようという男側からの能動的な働きかけからはじまる「夏だし中出し肝試し」はそこが違う。ただ、最終的に電話で夫に助けを求められるにもかかわらず、そのまま自分を手籠めにした男とのセックスを続けるという終わり方を踏まえると、前述した「人妻側からの不貞な肉体関係の求め」というのが他の長編と共通していると考えてもいいだろう。

「近所の清楚なビッチ妻」

エリートの夫を持つ人妻と肉体関係を重ねるキャリアも家庭もない冴えない中年男性。自分がエリート夫から妻を寝取ってやったぞと肉欲と同時に自尊心も満たしていた男だったが、実はその不貞関係は強すぎる妻の性欲を解消してくれる相手を探していたエリート夫の思惑でしかなかった。

フリーページにある作者の記述曰く、「義母なしくずし」ほど人気は出なかったそうだが、最終話の結局はエリート夫の手のひらの上に自分はいただけだった、というどんでん返しをくらった中年男の感覚というのが、エリート夫からの説明を聞いて中年男の内にわき上がる驚きや後悔といった感情を通して伝わってくるのは読んでいて面白かった。

またタイトルにあるビッチ妻というのが、夫に構われなくなった欲求不満な妻というシンプルな存在を表していたのではなく、夫に調教され、ときに出世の道具としても使われて、結果的に男無しではいられない身体となった妻という特殊な存在を表す言葉としてシフトするのも面白い。

実はこの長編はNTR男が返り討ちに遭う話、という側面もあるので、NTRものが嫌いでNTR男には酷い目に遭ってほしいと思っている人(どのくらいの人数いるのかはわからないが、ゼロ人ということはないだろう)は読むと満たされるものがあるかもしれない。

「義母なしくずし」

同居する娘婿の強すぎる性欲と立派な男根を目の当たりにした義母が、性欲が原因で夫婦仲が引き裂かれないようにしたいことを建前に、娘婿との肉体関係に及んでしまう。

概略を自分で書いてみて改めて振り返ると、「近所の清楚なビッチ妻」よりも「義母なしくずし」の方がシンプルかつストレートな話である。人気の明暗を分けた一因なのかもしれない。

確かに己の胸中に問いかけると、欲望に素直でかつ直球で単純すぎるぐらいの話の方がエロマンガはシコれるんだよ! と返ってくる。

と同時にいや、エロマンガだからこそ輝く複雑怪奇な世界観や特殊な登場人物の入り組んだ相関関係などがあるんだからそちらの方がシコれる! とも返ってくる。

答えは無い。私にできることはひとつの目でエロマンガの明日を見て、ひとつの目でエロマンガの昨日を見つめることだけである。

フリーページにて娘に最後まで関係がバレなかった展開について読者から不評の声も届いたと記載がある。確かにエロマンガの定石だと娘に発覚しての3Pだとは思うものの、娘が寝たままの母娘3Pってあまり読んだことがないのもあって新鮮だった。ので個人的には発覚しないままでも問題なかったと考える。あくまでも義母を主役のままにしたい、というのもシンプルな本作のストーリーの性質に反してはいない。

終わりに

人妻ヒロインのエロマンガが好きな人や巨乳好きは買って後悔しないので是非読んでほしい。

あと書いてから気づいたが、前回取り上げたのがかるま龍狼先生でこれまた人妻が得意なエロマンガ家だった。傍から見てると自分が人妻系エロマンガしか読んでない奴なので次は人妻系以外から選出したい。

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