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2-1 感情脳と理性脳を使い分けると、驚くほど伝わる

【経営層と従業員の視えない壁を越える】

1-3でお伝えした「属性の違い」ですが、経営層と従業員の間にはいつも視えない壁が大きく立ちはだかっているものです。

経営層の方からすれば「~をしてください」の投げかけに素直に応じてくれない。投資家や株主を説得し賛同を得る為の売上が、従業員を守ることなのに伝わらない。自発的な行動がない、かと思ったら相談もなく突発的に関係の無い事をはじめる。注意すると士気が下がり距離がさらに空く。など挙げていけばきりがなさそうです。

従業員の方からすれば「~をしてください」と現場も知らずに指示ばかりしてくる。経営層の言っている事がコロコロ変わる。漠然としたアドバイスはあれど、具体的な行動まで落としてこない。自分で判断し何かをすると「もっとこうした方が…」と注意をうけ、かといって何もしないと評価されない。報われない。などです。

従業員が良かれと思った自発的行動も、経営層から「もう少しこうしたほうがいいよ」とアドバイスを送ったつもりが、受けた側の真実は否定・非難に受け止められてしまうものです。これは僅かな事実に対して必要な情報=プロセス=物語が不足し、真実のベクトルが散漫している事が大きな原因です。

経営層の方は「でも、しかし、私だったら」と言っていませんか?

従業員の方は「どうせ、だって、私なんか、」と言っていませんか?

経営層は理性脳が主体、従業員は感情脳が主体。それぞれの活躍する属性が異なる同士がありのままの事実を羅列するだけでは、到底「伝わる」ことは出来ません。「伝える」事は出来ていたとしてもです。

事実を生み出す【行動<目標<目的】では属性の壁を越える事は、アイコンタクトで分かり合える関係にでもならないと汲み取り切れないでしょう。今1番必要なことは、この先にあるべき【意義】です。つまり【行動<目標<目的<<<意義】です。経営層の目的は利益拡大/目標は昨年度経常利益の35%成長/行動は毎月の売上を10%ずつ上げる為の営業・キーパーソンの教育体制の構築・中途採用の強化などなど。従業員の目的は生活の向上/目標は昇給と恋人作りでWLBの構築/行動は認められるような行動アピール・決められたルールを徹底して守る・よく発言をするなど。

極端な表現ですが、そもそもの目的を共有しきれていない典型的なケースです。個々のアイデンティティーにこの目的を浸透させる事に私自身様々なカタチで取り組んできました。社訓を掲げて読み合わせたり、壁に視える様に貼ったり。しかし、どれも思った効果は得られず日々火消しの様な個別面談に追われ、経営層にも従業員にも笑顔が少しずつ減り次第に視えない壁の脅威にさらされるようになりました。離職率や従業員満足などでも明らかな状態までいくと手のつけようが見当たらない時もあります。

同じ苦労をかけるにも、ただの苦労と【意義のある苦労】では大きな違いがあります。それぞれのアイデンティティーに意義という価値観・背景情報を物語で伝わるようにする事で、事実が大きなベクトルでは共通認識として真実に変換されます。お金を稼ぐ意義。会社に属する意義。仕事を通じて得られるあなただけの意義。この物語をキーパーソンに可視化し用意する事で、同じ事実も、やらせれているのか。自分で選んだ先のやるべき事なのかを明確に示す事ができます。

属性の壁を越えるとは、意義を物語に変え時間的・精神的コストを先行投資し長期的な事実へのコミットへ繋げる事です。売上であれ、営業であれ、採用であれ。なぜそれを私がするのか?を意義立てて、事実を明確な情報と共に個々の価値観へ落とし込む事こそが【伝わる】ことであり、視えない壁を貫く貫通力を持った言葉になるのです。

行動、目標、目的を明確に伝わるようにアウトプットするために、それぞれの価値観を知りコミットしやすい物語として意義を浸透する事が大切です。