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3-2 デートが下手な人は、採用下手

【面接上手な候補者=ミスマッチ・アンマッチ】

私は人材紹介を全く使わずに採用を行う事はオススメしていません。これは突発的な産休・ケガ等の人員不足や戦略的に時短拡大を狙う状態では効率的に人材紹介をむしろ使うべきだと考えています。あとは頻度の問題です。

健全な自社採用が機能・定着した状態での一般採用と人材紹介採用の比率は80:20程度が良い状態でしょう。現在の1名あたりの採用コストが広告宣伝費等を込みで1名150万円前後だとすれば30万円未満に抑えるような採用比率は創れます。宣伝はこの位にしておいて。

人材紹介とは云わば転職活動ないし面接を円滑に手助けし採用を斡旋するものです。大手になると候補者側のエージェントと、対企業側のエージェントは異なるため、候補者からすれば転職の相談をしていたエージェントは面接当日には来なく、別の担当=面接のプロとでもいいましょうか。より採用までを円滑に進める担当とで分かれています。何を隠そう、私もヘッドハンターとしてIT系経営コンサルタントの引き抜き等を少々行っていたので。つまるところ、ミスマッチ保障の返金制度がある採用後3ケ月以内は確実に「経験のため、履歴書にキズがつくから半年はいた方が…」などと、転職の斡旋=採用し入金&返金期間の在籍さえ促せれば100万円単位でキャッシュが入る。すべての人材紹介が当てはまる事でもありません。良いエージェントは沢山います。しかし、人材紹介の業界に根深く残るキャッシュのルーティン化は往々にして存在する事も事実です。【採用できる】と【採用し定着する】は似て非なる事です

ここでお伝えしたいことは、面接上手な候補者を採用しないことです

3-1でお伝えした、給与や休日での差別化面接では、面接のプロである対企業側エージェントは兎に角まずは内定まで持っていく為の試行錯誤を常に繰り返し幾つものパターンを持っています。給与交渉に関しても、看護師の人材紹介は年収の20%が平均です。候補者が500万円以上は欲しい。と事前に転職相談エージェントに訴えていたとしても、対企業側エージェントは紹介Feeとの兼ね合いもあり460万からはじめてステップアップすれば500万円以上は貰える。などと口約束して淡い期待を助長して面接時に妥協させていれば何が起こるでしょうか?「本当は500万円以上を希望していた候補者ですが、貴社であれば460万円でも入社したいそうです」などと言われた面接担当者は、何を期待しどう動くでしょうか?

これも極端な例で恐縮ですが、実際に起こり得る事です。つまり面接上手な候補者を採用しないとは【相手のインサイトニーズを抽出しないまま表層的な妥協案を鵜呑みにしない】という事です。

私はコンサルタントとして1次面接ではこう聞く様にご提案しています「あなたは誰ですか?」5~10分で、できる・やりたい・やるべき・なりたい・避けたい・押し通したい。を誘導してご本人に語って頂きます。用意してきたマニュアル化した受け答えではなく、もっと熱のこもった本心の部分・インサイトとして顕在化していない本音を一緒に探る事が重要です。その一歩目が「あなたは誰ですか?」という最も抽象的な表現を具現化する作業です。ここでのテーマは【率直】という共通認識を与えていれば素直よりもより深部の率直な候補者の言葉が現れてくるものです。

次に、候補者のキラーワードを3つ程抽出し自社の理念を率直にぶつけます。2:1の割合で未完な部分。マイナス面を添えてお伝えします。例えば候補者のキラーワードが【家族の時間を大切にしたい】だったとしましょう。これを活かすとこうなります。

弊社では残業時間は月に●●時間程度です。これは業界の平均と比べて●●時間ほど短くなっております。ですが、実際に●●時間残業がある事も事実で今この課題をどれだけ減らせるか取り組んでいます。これは楽をして働く事を薦めているのではなく、就業時間中にどれだけ自身の時間をセルフマネジメントし業務は業務。プライベートはプライベートに注力して時間を費やせるか?という課題だと考えています。なので、あなた(候補者)自身のお力添えが必要な大切な事なのです。勝手に仕事が効率化するほどまだ弊社は大きくもありません。ですが、社員1人1人が考え導き出した良き就業スタイルは積極的に導入し検証しています。家族との時間も、就業中の時間も双方が良き状態でお互いを支え合うような就業スタイルを私と一緒に考えて、どちらも妥協なく胸を張って「私のスタイル」だというものを創れるように協力しながらより良きものとしていければと存じます。

ここでも、事実に対してそれぞれのアイデンティティーに落とし込むべき真実のカタチを、候補者の言葉から抽出し促しています。単衣に、残業時間は●●で業界平均よりも圧倒的に少ないです。という事実だけではなく、あなたにとって何が価値観にリンクし、また今後どうすることで更に良い事象を見出す事ができるか?まで、こちらが提案し候補者のための面接にカスタマイズしてあげる事で、原点回帰ポイントとすることも。更なるインサイトニーズを掘り起こす事も、ファン化させ同じ悩みを持ったコミュニティーに伝わるようにもする事が可能です

ご機嫌取りの様な面接も事実としてまだまだ蔓延ることもしばしばですが、ミスマッチ=早期離職。アンマッチ=内定取消。を未然に防ぐには、この面接術といいましょうか。インサイトニーズを抽出し且つ、個別性を持たせた表現を物語として使いこなせる様になる事が、採用率・定着率に繋がっていきます

それを創るのが私の仕事でもあり、直接コンサルタントとして介入せずともこういったカタチで小難しくならないように努力しながら医療・介護に留まらず良き採用を促せるようにフォローさせて頂ければ幸いです。