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「お札 開けてしまった 大丈夫」

※こちらのnoteは「noteのcakes」にて2019年2月に投稿されたものです。
せっかくなので少しずつ出していこうと思います。

2月3日は節分だ。毎年特に豆まきなどすることもなく、恵方巻きもなでksの生配信「なでつも」 で3日じゃない日に食べる程度だ。

ちょっと前に実家から送られてきたおかきが大豆の海苔巻きみたいなものだったので、この日はたまたま10粒程無意識に食べていた。

しかし今年はいつもと違うことをすると心に決めていたことがある。早稲田駅近くにある穴八幡宮のお札を張るという作業だ。「一陽来復」のお札と言って、商売繁盛・金運上昇にご利益があるらしい。フリーランスで仕事をしている人やタレントの知り合いなどが毎年貼っているので、移籍して間もないし、私もやってみようと買いに行った。

一度目に買いに行ったら思った以上の行列だった。一応並んでみたものの、あっという間に仕事の時間になってしまったので断念。2回目にして小1時間並び、やっと手に入れた。

壁に貼るお札くださいと言ったらクレープを紙で包んでる様な形の物を渡された。 思ってたのと全然違った。

毎年貼っている友達に当日「買ったよ」とLINEしたら、ギリギリはバタバタして焦るから早めにいろいろチェックしておくんだよとアドバイスを貰った。その前にカレー食べに行かない?とその友達に誘われたが、予定があったので断った。

家に帰宅して、とりあえず方角の確認と貼る壁の確保をした。今年は西よりの方角らしく、私の家の場合は玄関の隅っこに張るのがよさそうだった。

ところでこのクレープみたいな形、いったいなんだろう。お札って普通キョンシーみたいな長方形の紙だよなあ。

そしてなんの疑いもなく、クレープの形になっているお札の、糊が付いている部分をビリビリと破った。破って開けたら長方形になってお札っぽくなると思ったのだ。

開けると中から2粒の大豆と銀杏のようなものが出てきた。コロンと手のひらに転がる。その時、これは開けちゃいかんやつだとようやく気づいたのだ。

焦ってもしかたがないのでとりあえずネットで調べる。そもそも破る前に調べるべきなのだが、私の性格上思い立ったら間髪入れずにやってしまうのでそんなこと考えても後の祭りだ。ちなみに自分のこういうところが大嫌いだ! 毎回大嫌いって思いながら直んないわ!

「一陽来復 お札 開けてしまった」
「一陽来復 中身を見てしまった」
「一陽来復 お札 開ける 効果」
「一陽来復 開けてしまった でも大丈夫」

色んなワードの組み合わせで検索した。お守りを開けてしまった人は多数いたが、穴八幡宮の一陽来復のお札を開けた人は、インターネットを駆使しても見つけられなかった。お守りを開けて中身を見てしまっても全然大丈夫だよ!と慰めてくれる一文も見つけられなかった。

情けなさと天罰の恐怖と2019年終わったわという気持ちがこみ上げてきて、しばらくシクシク泣いた。どうでもいい話だが私が泣く理由ベスト1は「自分が情けなくて」だ。今回泣いたことによりまたもやぶっちぎり1位を更新した。

毎年お札を貼っている友達とカレーを食べに行っていたらきっと貼り方の話になっていただろうから、お札を破っちゃいけない、そのまま貼るってゆうこと知れたんだろうな。そんな、たらればな事を考えたって仕方がないのだけど。

いや、でも意外と大丈夫なのかもしれない。両面テープで破った部分をとめて、豆も入れて元通り風に仕立て、「破って中身見ちゃったんだけど元通りにして壁に貼るのありかな」と別の詳しい友達に聞いてみる。即返事がきて、「神社に返しに行くべき」と言われた。ですよね、 なかったことになんないですよね。はい、返しにいきます。

だんだん辛くなってきたので古くからの友人に一通りの流れをLINEしたら「何かに頼ろうといろいろ信じてる気がする、焦っているの? 何かにすがりたいなら家族を頼りなよ」と返事がきてハッとした。家族ー! お札より頼れるー! 信じれるー!

友人に相談してよかった。目が覚めた。お札を毎年貼る習慣は素晴らしいことだと思うけど、そもそも私には毎年ちゃんと貼ることなんて向いていなかったのだ。

翌日もちゃんに会ったので、お札を破って泣いた一連の話をしたら、ひとしきり爆笑された。これにより私は完全に復活したのである。

2019年2月3日

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