空家を減少 栃木市の対策とは?

 全国的に空き家が増加し、年々問題が深刻化している。そんな中で、独自の対策で空き家を減少させている栃木県を視察した。【井川諒太郎】
 訪れた栃木市は、人口約15万人で県内3番目の都市。街には伝統的な日本家屋が点在し、江戸時代などには市内の川を使って江東区の木場に木材を運んでいたという。
 市では持ち家率が全国平均の61・2%より高い79・2%に上り、空き家の急増が懸念されていた。そこで2017年3月に空き家対策計画を策定し、さまざまな抑制策を実施してきた。効果を挙げたのは地域との連携だ。自治会などと連携し、地元の空き家情報を市に通報する制度を構築。これまでに300件を超える空き家を発見したという。また、予防セミナーや出前講座など周知活動も徹底した。
 発見した空き家への対応として、NPO法人など民間とも連携。空き家バンクへの登録を促し、リフォーム補助や定住促進の支援制度なども充実させた。都心に近いなどの立地も功を奏し市によると、空き家の成約件数が日本一になった年もあったという。こうした対策で、空き家件数を、2015年の2007戸から2020年には1740戸に減少させた。
 翻って江東区ではどうか。総務省によると、区の空き家率は7・7%で全国平均を大きく下回る。一方で、危険な空き家なども存在する。区では空家等対策計画を策定し、対策を進めているが、まだまだ古い建物が多い地域は多い。「空家予備軍」を早期に見つけ出し、対応をしていく必要があると感じた。先進事例を参考にしながら質問に生かしていきたい。

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